ジョン(友人との合作)
ジョンがいなくなった。
ジョンが来たのは僕が三歳の頃だ。三歳の頃の僕は犬が怖かった。
まだ小さかったジョンは、僕が恐る恐る差し出した手をペロペロと舐めた。くすぐったい感じがして、僕は直ぐに手を引いた。
その僕の目をジョンはキョトンとした目で見詰めていた。
僕とジョンの友情はそこから始まった。
フリスビーを投げると咥えてきたり、おやつを分けてやるとジョンは凄く喜んだ。嫌な事があると、ジョンに八つ当たりしたりもした。でも、悲しい事や苦しい事がある時そして嬉しい時も、いつもジョンは僕の側にいてくれた。ジョンがいなければ、きっと僕はもっと詰まらない人生を送っていたと思う。
ある雷の夜。ジョンがいなくなった。千切れかけていた鎖を噛み破り、ジョンはどこかへ行った。
僕は雷が凄く怖かったのだけれど、お母さんと一緒にジョンを探し回った。
どれだけ、ジョンの名前を呼んでもジョンは帰ってこなかった。お母さんが「明日また探しましょう。」と言った。
でも、僕は、どうしてもジョンを探すと言ってお母さんに食い下がった。僕とお母さんはジョンの行きそうな所を手当たりしだい探した。でも、ジョンは見つからなかった。
僕がどれ程ジョンが好きだったか。僕はこの時初めて知った。僕は泣いた。それでも、ジョンは見つからず、泣きながらお母さんとお家に帰った。
僕はその夜、泣き疲れて眠った。
朝、目が覚めると、ジョンは庭にいた。帰ってきてくれたんだ。僕は嬉しさのあまりもう一度泣いた。
それから5年の歳月を共に過ごし、ジョンは僕の腕の中で眠るように息を引き取った。嬉しい時も悲しい時も一緒に過ごして、一緒に生きた。
ジョンの眠る銀杏の木の前で、僕はジョンの事を思い出す。ジョンとの十数年の歳月が走馬灯のように流れる。僕は銀杏の前で手を合わせ、最後に心の中で言った。
(ありがとうジョン・・・・・おやすみ・・・・・)
この作品は友人と限られた文字数の中でいかにカタルシスを表現するかという事を元に書いた習作です。