第1話 使えねえ!チートと出会い
6000文字超えました。読みにくかったらすみません。
文章の書き方変えてみました。
これからしばらくの間これでやってみたいと思います。
気がついたらワタルは森の中に立っていた。体の調子を確かめたが特に不備はなかった。
辺りを見回して、
「異世界か……。なんというか、森とはまたお約束だな」
ワタルは苦笑した。
そうしていると、ひゅー、と気が抜けるような音が空から聞こえてきた。ワタルは見上げると、空から物が降ってきた。その物を確認し目を見開いた。
それは随分と高いところから落ちてきたにもかかわらず、ポトっと音をたて、ワタルの目の前に落ちた。
本だった。
外観は茶色の革で造られた、そんなに厚くない代物だった。題名は金色の日本語で”チートのすすめ”と書かれてあり、誰宛か一目で分かるものだった。
「…………いよいよチートが分かるんだな」
期待少し不安たくさんの顔でワタルは呟く。そしてそっと、本を手に取りゆっくり開く。
そこに字が浮かび上がっていく。
”やあ、ジョンだ”
ワタルは本を閉じたくなる衝動を抑え深呼吸し、改めて本に目を通し始める。
”そんなに邪険にしなくたっていいじゃないか”
「リアル更新かよ!」
”いいツッコミだね。さて、チートの説明に入るよ。分かりやすく説明をしてあげよう。
[植物創繰]
・植物を任意の場所に出現させることが可能だよ
・植物を操ることが出来るよ
・補足:1M以上の植物は出現不可能
目で十分追えるぐらいの速さで出現する
同じく1M以上の植物の植物は操れない
いくつか未発見の力があるかも……?
[土装硬隆]
・土などを盛り上げたりできるよ
・土などを纏えるよ
・補足:1M以上の高さには盛り上げれない
ちなみにゆっくり盛り上がる
纏っても無いよりはまし程度の防御力
いくつか未発見の能力があるかも……?
「…………………つ、つ、使えねええええええ!!!」
「びっくりしたよ!!覚悟してたけど、ここまでとは流石に予想外だったわ!!どうしろっていうんだよ。そして、確かに園芸部関係だったよ!植物と土と仲良しな部活だからな!!そして最後一文!未発見とか慰めんなや!!」
ワタルは捲くし立てた後、絶望してうな垂れる。その時、本に新しく文字が浮かび上がる。
”ああ、使えないくそチート(笑)であることは同意だよ。でもね、未発見の能力があるかもしれないのは本当だよ?”
「えっ!?」
……マジで!?
”その2つは、成長するくそチートとして有名なんだ。成長するチートは数多くあるが、その中でもトップクラスに難易度が高い。何か条件がいるのか、もしかしたら条件さえ揃えばたいして苦労せずに成長するかもしれない。つまり、よく言えば無限の可能性を秘めてるもの、悪く言えばとてつもなく面倒なものなんだ……。ただ__君ならそれをなんとかしそうな気がするのだよ。だから、我々は君にこの2つを与えたのだよ。”
……納得できねえ。楽観的な予想だしなあ。そんなに勝手に期待されてもなあ……でもよく考えてみると、くそチートを成長させて神チートにするっていうのはなかなかロマンじゃないか?
ワタルはとりあえず納得することにした。
「……分かった。もう1つのランダムで決めたチートの説明をしてくれ」
”ああ、では続けさせてもらおう
[臨鍵開錠]
・自由に扉の鍵や宝箱の鍵を開けることが出来る能力だと思うよ?
・他にも何かを開ける能力だと思う、多分”
「なんだ、そのフワっとした説明!?」
……思うよ?とか多分って何だ!?
”いや、これについては、本当に分からないのだよ”
「何でだよ!?」
”このチートを作った神がさ……なんか行方不明なのだよ”
「ハァ!?なんで?」
”いろいろあったのだよ。察してくれたまえよ”
「無理だ、というか他に能力はなくて本当に鍵開けるだけとかじゃないか?」
”いや、それはありえない”
「なんでだよ。分からないんだろう?」
ワタルはここまではっきり言い切ることに疑問を抱く。
”確かに分からないが、チートはそれぞれなんというか……、神力のような力を感じるんだ”
「力?」
”ああ、それが高ければ高いほどすごい力を秘めたチートなのだよ。そして、植物創繰と土装硬隆は、成長してないので、くそチートクラスで、臨鍵開錠は前の二つとは比べほどにならない程高く、神チートクラスはあるのだよ”
「おお!、いいな神チート……、ん?でもそれ使い方とか能力とか分からなかったら意味ねえじゃねえか!」
”そこは頑張りたまえ。詳細は本当に全く分からないから、自分で使い方、能力を見つけてほしい”
「ふざけんな!、ランダムのやり直しを要求する!」
”悪いが却下だ。大丈夫!きっと君ならこのチートを解明出来るさ”
……なんで、こいつはこんなに俺を信頼してるんだ?
「はあ……、分かったよ。頑張ればいいんだろう?で?植物創繰と土装硬隆は__」
ワタルはピタリと言葉を止め、
「……わざわざ四文字読むの面倒だし、植繰 と土硬と臨開 で」
”……使うのは君だから任せるよ。ただ、紹介して1分経たないうちに名前を略されるとは予想してなかったよ……”
「別にいいだろう?改めて、植繰と土硬は能力は分かったけど、どうやって使うんだ?」
少し考えるような間が空き、再び文字が浮かび始める。
”うーん、イメージして?”
「アバウトだな」
”Don't think image!"
「リー先生の名言を汚すな!」
"まあ、そこらへんは適当にしたまえ。”
「ちっ!本当に適当だな。まあ、適当に試してみるよ」
”では、このへんで、説明は終わりだ、では異世界ライフを楽しんでくれ。”
「ああ、じゃあな、いろいろ、あり__」
ワタルが礼を言おうとしていると、
”ちなみに、この本は説明し終わると共に消__”
ワタルはこの後の展開が読めたため、本を全力でぶん投げる。そして、投げた方とは反対に必死に走りながら飛び、頭を伏せる・・・・・・・・。
何も起こらなかった。1分程用心の為待ってみて立ち上がった。ワタルは首をかしげながら恐る恐る本に近づき、拾って開いた。
"HAHAHA、爆発すると思ったかい?驚かせてすまないね、ワ・タ・ル・♪”
ワタルは本を地面に叩きつけ地団駄を踏み怒りをあらわにした。
「ずあああああ!腹が立つ!どこまでふざけた神なんだ!」
しばらくして、ようやく落ち着きを取り戻したワタルは無言で本を拾い再び開く。
”そんなに怒らなくてもいいだろう?ただの可愛い悪戯じゃないか"
可愛くねえよと、ワタルは思ったが話が進まないので沈黙し続けた。
”そういえば本の説明がまだだったね。この本は[アイテムブック]というアイテムで通称はブック、300個まで、重さに関係なく物を入れることが出来る代物だ”
「おお、いいなこれ。でも、このアイテムはこの世界に存在するものなのか?それと俺みたいな普通の人間が持っていて問題ないか?」
”大丈夫だ、そういうアイテムは存在するし、普通の人間が持っていても何も問題ない”
「そうか、ならありがたく使わせてもらうが、使い方は?」
”物を本に当て入るように念じるか、物を触りながら[収集]と言えば勝手に物が入っていく”
ワタルは試しにそこらへんの石を本に当て”入れ”と念じてみた。
石が本に吸い込まれるように消えた。
「おお!すげえ。でも中身を確認したいときと、出すときはどうすればいいんだ?」
”本を開くと、ページに入ってるアイテムの絵が載ってるからそれで確認できる。出すときは名前か、出したい物自体を思い浮かべ念じれば出てくるよ”
「この本はしまえないのか?」
”[ブック]と唱えれば出てもう一度唱えれば消えるよ。……さて説明しなくてはいけないことは以上だ”
「ああ、今度こそありがとな。こんな便利アイテムまでもらって……」
”気にしなくていいさ、我々は面白くする為に尽力は惜しまないのだよ!!”
「素直に感謝させてくれよ……」
ワタルは呆れ混じりに呟く。
”さて、もう2度と君が生きてる間に言葉を交わすこともないだろう、異世界を楽しんでくれ”
「ああ、話さなくていいと思うと気が楽だな、そして言われなくても楽しむさ」
”最後まで手厳しいな(苦笑)では、またいつか!”
その言葉を最後に今まで現れていた文字が消えていき、最後には小石という名と絵が浮かんでる本になった。
「本当に消えちまったな……」
ワタルはそう呟きしばらく本を見つめる。最後に強がったが、やはり異世界に1人取り残されるのは流石に心細いのだ。
出来るなら話しかける相手ぐらいは欲しいのだ。
「よし、気合を入れろ!頑張るぞ!」
ワタルはすぐに復活した。メンタルは基本的に強いのだ。
「さて、まず誰かと接触するか町か村に着かないとな」
ワタルはブックと唱え本を消し、異世界で生きるための第一歩を歩き始めた。
実はワタルは最初はチートの確認をしようと思ったが魔物がいつ現れるのか分からないと、思い直し保留にすることにした。
●●●
ワタルは歩き続けけ、そのうちに夜になってしまい、野宿できるところを探さなくてはと、焦ってると距離が離れているが前方から音が聞こえる。
耳を澄ませてよく聞いてみると、
「戦闘音?」
そう、まるで何かが戦ってるような音なのだ。
「一応確認してみるか」
ワタルは気配を消しながら近づく。
ちなみにワタルの気配を消せる技術は、彼の今まで生きてきた人生の中で培われた。
具体的に言うと、どこぞの錬金兄弟に憧れ高校の夏休みに知り合いが所有している無人島で1ヶ月過ごしたのだ。他にも今では黒歴史と言えるような行動をたくさんとっており、無駄に色々秀でた能力を持ってたりする。
ワタルは最初、自分が自然に行っていた気配断ちに気づき、昔、無人島にわざわざ行き狩りなどしながら生き残ることが最高に格好いいと勘違いしてた頃を思い出し、のた打ち回りたくなる衝動を抑え、
……人生、何が役立つか分からないものだな。やっておいて良かったじゃないか。
と、自分を無理やり納得させ、歩みを進ませた。
「なんだこりゃあ」
ワタルは小声で呟き目の前の光景に目を見張る。
夜なので辺りは真っ暗だが、ワタルは黒歴史事情上はっきりとは見えないが影ぐらいは見える。
目の前にあった光景は、
体調2m程のカマキリらしき大鎌を持った影と物凄く素早い上に夜であることも手伝い、正体が良く分からない何かとが戦ってるというものだ。
……早!そしてカマキリもでか!
カマキリとそれの戦闘は、カマキリがただ鎌を振るいそれが素早く避けつつ隙を突いてまわし蹴りらしきものなどを当てようとするというもので、
……回し蹴りということは人間かそれ以外の素早い異種族かな?
ワタルはそんなことを思いながら観察し続けた。
戦闘は終わりに近づいていた。カマキリは攻撃が当たらないことに怒り攻撃が大振りになり始めた。
そしてついに大振りの隙を突きそれの回し蹴りがカマキリの首に当たり、結果、首と体が離れることになった。
「!!」
ワタルは目の前に首が転がってきたのに驚き、つい気配を消す為の集中を切らしてしまった。
『そこに隠れているのは誰ですか?』
それがワタルに声をかけてきた。ワタルは言葉が通じることに安堵し決意を固め通じるか分からないが両手を上げ立ち上がり敵意がないことをアピールしつつ笑顔で返事をした。
「私は名はワタルといいまして旅をしているものでして道に迷っていたところなんです」
それは、
『ほう、私たちの言葉を喋れるヒューマン種とは珍しい方ですね。ワタルさん私の名前はログという者です。道に迷われたとはさぞお困りでしょう。近くに私の家があるのです。そこに泊まわれませんか?』
……ここでは、人間はヒューマンというのか……。といことはこの人?はヒューマン種以外の何かということだ。そして、なぜこんな親切を申し出るのだろうか。
ワタルは信用しても良いか何か企んでいるのではないかと迷ったがあの強さを思い出し何かする気なら無理やりしてるだろうと、思い直し、申し出を受けることにした。
「よろしいのでしょうか?こんな流れ者にそんな親切にしていただいて」
『構いませんよ。私たちの言葉を喋ることが出来る貴方に興味が沸きました。妻共々歓迎させてください』
「ありがとうございます。そんな親切なことを言っていただけた方の顔を見ることが出来ないでいることが心苦しいのですが」
『すぐに見ることが出来ますよ』
ログは笑みを含めたような声で指らしき影でとある方向を指し
『ほら、向こうに光があるのが見えますか?あそこが私の家です』
ワタルはその方向に目を凝らし遠くではあるが確かに光があるのを見つけた。
「あそこですか?失礼ながらあそこまで行くのには大分時間が掛かるのでは?」
『いえいえ、大丈夫ですよ。私が貴方を抱え飛べばあっという間です』
……魔法か何かで飛んでいくということかな?
「そんな方法が……、泊めていただく上に抱えていってもらうというのは些か申し訳ないのですがお願いしてもよろしいでしょうか?」
『ええ、もちろんです。お招きしたいと申し上げたのは私なのですから……、では失礼しますね』
ログはワタルに近づきヒョイっと抱えた。
少しぺタっとした感触にワタルがえっ?、と思ってる間にそれはしゃがみ、
『では行きますよ?舌を噛むかもしれないので喋らないようにして下さいね』
そうワタルに声を掛け大きく跳躍した。
ワタルは、
……飛ぶって空中を飛ぶって意味じゃなくて飛び跳ねるって意味かよ……!
そんなことを思いながらワタルはあまりの速さに体が負担に耐えられなくなり意識を手離した。
●●●
ワタルはベッドの上で目を覚ました。
そして上半身だけ起こし辺りを見回す。そこは木造の部屋だった。クローゼットや鏡などが少しあるだけで全体的に素朴な印象を受ける部屋だった。ワタルは窓があったため覗いてみると自分がいる場所はとても高い木の上であることを理解した。
ワタルは気絶する前にあったことを思い出し、
……あの感触はなんだ?どんな種族なんだろう?
と考えていたら、扉が開き、
『ああ!ワタルさん、起きられたのですね?真に申し訳ありません。飛ぶ上でのヒューマン種への負担をすっかり忘れていました』
その言葉と共に飛び込んできたものをワタルは見て、
「えっとお……ログさんでしょうか?」
『はい、改めましてログです。以後お見知り置きの程を』
ログは笑みらしきものを顔に浮かべ90度に丁寧にお辞儀をした。
ワタルは顔が一瞬引きつるが幸いログはお辞儀をしていたため見ていない。
ワタルがこうなったのには原因がある。
それはログが、初めて言葉を交わした異世界の存在が、二足歩行で歩いている
____カエルだったのだから。
次回は ログとの対話と異世界のことについて聞く感じです。
なるべく速いペースで書きたいと思っていますので、精一杯頑張ります。