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歌舞伎町アウトロー恋愛

作者:

11月5日。見沢さんを偲ぶ会。新宿の西口まで貴春さんを迎えに行った。合流し

印刷屋へ。見沢さんのファンクラブのビラを擦る。私はこれからこのビラを彼と

共に配り彼の片腕として頑張って行くんだ、と思うと楽しみや不安が入り混じっ

た複雑な心境だった。

偲ぶ会会場に着くとちらほら人が集まっていた。とりあえず顔を知っている人に

挨拶。見沢さんをよく知る人には後々ファンクラブの顧問を依頼するためビラも

配る。続々と各界の著名人が会場入りしてくるのでまだ若い私達(私は最年少だ

ろう)は場違いな気がして怖じけづく…。会場入口で手当たり次第にビラをまき

会が始まる。

偲ぶ会と言うよりは立食パーティーのような感じだった。受け付け場所にビラを

置かせて貰い色々な人と会話を楽しむ。会は終了、何だかいつまでも場に馴染め

ず私達は外に出た。

続々と他の人達も外に出てき、2次会の話が出る。会場の1階を2次会の場所に

提供してくれると言う事でそこで2次会が始まる。座る場所に困る…私は一水会

の元代表鈴木さんと目が合ってしまい鈴木さんの隣に座る事に…鈴木さんはとて

も優しい方、というか女性に甘い。お会いしたのは2回目、地元が同じという事

もあり親しくして貰うが緊張し私はビール注ぎに徹する。。時間の都合もあり段

々人が減って行く。会は終了、最後の最後まで残ったのは先月LOFTのイベントに

もいた人達がほとんどだった。3次会の話が出る。私達は場所探し係へ↓

飯田橋のとある居酒屋へ。12人での3次会が始まる。見沢さんの話もでるが人数

の事もあり2つのグループに分かれそれぞれ色々な話で盛り上がる。大分お酒が

入っているせいか下ネタばかり…私達は貴春さんの向かいに座っていたのに歌人

の泰子さんから攻撃を受け場の雰囲気を保つ為にも恥ずかしい質問にも答える、

彼をチラチラ見ながら、顔を赤らめながら…彼に見せた事のない一面を見られて

しまいたじろぐ。会は終了、私と彼はお互い時間の都合で地元に帰れなくなって

しまった…

新宿に遠征組の私達と義勇軍の金沢きた中村さんが残る。中村さんはまだバスま

で時間があった。3次会で中村さんは私達とは別のグループにいた。そこで私達

は3人で歌舞伎町へ繰り出し飲み始める。

「この後どうするの?」

と聞かれ満喫にでも泊まると二人で答える。中村さんはバスに乗る為途中退場。

やっとまた二人きりに。

「疲れたね」

「気疲れだね」

「カラオケでも行く?」

「そうだね」

カラオケへ。私は彼が好きな坂本龍一の曲、ABBAの曲などを歌う。私なりのアピ

ールだった…カラオケも終了、

「満喫行く?」

と私が一言。

「君は怪我をしているだろう、ホテルに泊まろう。」

思いがけない一言…彼は歌舞伎町をしらない。私が彼をホテル街へと導いた。部

屋に着くと彼はバスタブにお湯をはり始める。研修帰りに夜行バスに乗った為お

風呂に入っておらずお風呂に入りたくて仕方なかったらしい。私はアクセを外し

始めた。『プチッ』買ったばかりのDOLCE&GABBANAのロザリオが切れた。神道の見

沢さんからの合図?何を意味しているの?これから私はどうなるの?どうしろと

言うの見沢さん?怖くなり切れたロザリオをバッグにごそっと入れた。ギブスの

せいで足湯が限界の私のために低い位置でお湯を止めてくれた。

「先どうぞ」

と言われ私はお風呂へ。バブルバスにし酔っ払ったふりをし

「貴春さぁん、寂しいよ!!一緒に入ろうよ!!」

と彼をお風呂に誘う。彼は戸惑い来ない。私は演技を続け寂しい寂しいと騒ぎ出

す。彼はやっと来てくれた。

「僕泡ブロ初めてだよ」

と洗い髪ではしゃぐ彼はこどもみたいにとても可愛く見えた。見た事のない彼に

私はますます鼓動が高鳴る。

「ねぇ、貴春さんは好きな芸能人いる?」

「中谷美紀かな」

カラオケの時「砂の果実」を歌って正解だと思った(笑)成る程彼は2ちゃんが

嫌いなのに電車男を観に行った訳だ。私達は来年ニューヨークに行く約束をして

いた。しかし彼は英語が苦手。お風呂の中で英語のお勉強が始まる。私は簡単な

歌を歌う、そして彼に和訳させる。中学生レベルの歌。彼は和訳を何度も間違う

。その度私は彼をくすぐりお仕置きをする。楽しい時間はあっという間にすぎる

。はしゃぎ過ぎて私のギブスはびしょ濡れ。全裸を曝すのは恥ずかしく(私は半

裸だけど…)1人ずつお風呂を上がる。彼は優しくドライヤーでギブスを乾かし

てくれた。その間何を話したのかは覚えていない。

彼は先にベッドへ入る。私もベッドへ入ろうとした。

「化粧落とさないの?」

「私アイメークしかしてないし」

「駄目だ落とせ」

「嫌よ、恥ずかしいもんすっぴん」

「瞼に悪い。落とせ!」

「じゃあ照明落としてよ…」

渋々化粧を落とす、そしてベッドへ。

「すっぴんでも可愛いよ」

嬉しかった、恥ずかしかった。ずっと見つめ合っていた…。

「ねぇ、貴春さんの3人目の彼女は誰?」

彼は黙り込む。

「悩んでるの?」

「あぁ」

「どうして?」

「僕は君を幸せに出来ないからだよ」

「なんで?」

「僕は早死にするからだよ」

「…テロ?」

「そうだ」

「その時は私も貴春さんに着いて行くわ、私もテロる」

「君は早婚、若くしての出産を望んでる。でも僕はあと10年は結婚する気はない

よ、独立したいし35までは無茶するんだ」

「それでもいい、私は貴春さんと一緒に居たいの」

「…」

「一目惚れだって言ったじゃない、何度も可愛いって言ってくれたじゃない、嘘

だったの?」

「全部本当さ」

「まだ迷ってる?」

「あぁ…」

しばらく沈黙が続いた。

「もう一度聞く、貴春さんの3人目の彼女は誰?」

「君だ」

「嬉しい」

彼はそっとキスをしてくれた、髪を撫で、ずっと見つめ合っていた。そして…体

を重ねた。彼はS。私はM。言葉攻めが私を恥ずかしめる。彼は色々な所を噛む

。手の指、足の指、ふくらはぎ、腿…そして顔中にキスをする。彼は私を虐める

。時々愛撫をやめては私に聞く。

「どうして欲しい?ちゃんといわないと解らないけん」

「続けて欲しい…」

彼は希望に応えてくれる。

「次は何が欲しい?」

「貴春さん」

「じゃあ君が僕のを硬くして?」

彼は私の手を自分の物に添えた。そして…

「いててて!!」

「どうしたの?」

「足つった!運動不足かな…今までの中で1番辛いかも…」

「マジで!?大丈夫?ねぇ、本当に大丈夫?貴春さん?」

「ご、ごめん…」

「…ははっ」

二人で笑った。彼の腕枕で私は寝た。眠れる自信があったから眠剤は飲まなかっ

た。彼がいる安心感で眠れる自信があったから。もう朝がきていた。

目が覚めたのは同時ぐらいだった。身支度姿を彼に見られたくないのですぐに化

粧を済ませる。ギブスが邪魔で靴下がはけない。彼が歩みよってきた、そして無

理をするなと優しく靴下をはかせてくれる。部屋を出る時ブーツも。

その日は日曜。チェックアウトぎりぎりに出て来たので同じ様にホテルを出て来

たカップルが沢山いてなんだか恥ずかしい。思いがけない滞在延長で丸一日二人

だけの時間が出来た。私が彼の行きたい所を案内する。楽しんでくれたかしら。

私は坑鬱剤の副作用で注意力が低下してしまいよく車に轢かれそうになる。街を

二人で歩いてて、何度も彼に手を引かれた。彼のさりげない優しさに私はぐっと

くる。楽しいデートの途中雨が降ってきた。信号待ちの間彼は濡れない様に私を

屋根のある所の下に入れてくれた。『このまま時が止まればいいのに』私はそう

思った。

夜になり新宿へ戻る。私は彼を見送ろうと思っていた。しかし彼は私に帰れと言

った。友達の運転で帰る事になっていたので雨が降っている事などを気遣って言

ってくれたのだろうがとても寂しかった。新宿駅でしばらく見つめ合っていた。

顔は無表情。

「冷たい顔してるね」

「僕は冷酷だから」

「知ってるよ、あなたが冷酷な事もサディストな事もそしてここが弱い事も」

と言って私は彼の体をくすぐった。ぐっと抱き寄せられてキスをされた、さよな

らのキスを。涙をぐっと堪えてホームへ向かった。

家についたらもう0時をまわっていた。家に着いたら連絡をする約束だったので

メールを入れたが返事はこなかった。疲れ果ててもう寝てたんだろうな。福島の

雨の夜はとても寒かった。でもなんだか、私は暖かいキモチで眠りについた、そ

の日も眠剤を手放して…



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