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魔物を狩るのも苦労する

錬金術の講義も終わり、何日か、薬草採取の依頼をこなし、あることに気づく。

タクヤは、まともな武器がないのだ。先日の戦闘は闘技場の中。武器は木刀だった。

町の周りでの採取は、近場ということもあって魔物は基本出ない。出現したとしてもスライム程度で魔法も使えるので気にしていなかった。身体強化と素手で倒せるだろうと思っていた。


外に出る事にもなれ、武器を携帯していた方が良いことに気づく。


タクヤは、ギルドに立ち寄り、おすすめの武器屋の情報を仕入れ、向かった。


<武器屋>


武器屋に入るといろいろ武器が並んでいる。

剣に槍、棒、弓、杖、メイス、爪など並んでいる。

防具も服系の防具、全身覆う防具、兜に盾、篭手、靴など様々並んでいた。

タクヤは、剣術のスキルがあるので、とりあえず剣を選ぶ、手ごろで初心者でも扱えるような銅の剣を選び、防具も動きやすそうな服系の防具を選び購入することにした。


武器を購入したら試しに使いたくなる。


初級の討伐依頼スライムの依頼を受け、早速町の外の草原でスライムを探す。ついでに薬草にマナ草を採取していく。


町近くの草原は、今までも薬草の採取で通っていて、魔物が出たことがない。そんな場所で探していても当然見つからなかった。

スライムを探していくうちに、町からどんどん離れていき森へと入っていく。


タクヤは、森に入った事にもあまり気づいていなかった。探しているうちにどんどん奥へと進んでいった。


ふと、森の奥から女の人の声が聞こえた。

「きゃー!助けて!」


何やら、聞いた事があるようなないような声が聞こえてきた。カエデの声だ。

急いで、声の方へ走る。


声の方へ行くと、目的のスライムが5匹ほど女の子を囲んでいる。


「タクヤさん。助けに来てくれたの。嬉しい。早く倒してくれてもいいんだからね。」

なんか態度が変なのは置いておいて、スライムを倒していく。5匹ぐらい問題なく倒す。


無事にスライムを倒し、討伐の証の魔石を回収する。


「タクヤさん。助けてくれてありがとう。どうしてこんなところに?私のストーカーならやめてくださらない」

「はい。止めておきます。いや、こっちが聞きたいですよ。どうしてこんなところに一人で来たんですか?

たまたま僕が通りかかったからいいけど、悪い冒険者なら逆に襲われてますよ。」

カエデと話すと調子が狂う。


「薬草を採取しに、町の外に出たのはいいのですが、なかなか見つからず。

気づいたら森の奥まで来てしまって、誰かに助けてほしくて、大声で助けを求めていたら、なぜか魔物ばかり集まってきて、逃げ回っていたの。」

ポンコツ過ぎる。大声出したら魔物が集まってくるのは当然だろう。他の魔物が集まってこなくてよかったとタクヤは思った。


「とりあえず、森から出ましょう。僕のスライム討伐依頼は終わったので帰りましょう。薬草なら高くお譲りいたしますよ。」

「まあ。カエデにプレゼントまたくださるの?うれしいわ」

カエデを理解するのに苦しむが、とりあえず、森をでることに全力を尽くす。


カエデの発言からいつまた魔物に襲われるかわからない。大声で森を歩くなど前代未聞。

だいぶ奥まで来たのか、なかなか森から出ることができない。

うろうろしているうちに、突然ウルフの群れに遭遇してしまった。

気づけば、10匹のウルフに取り囲まれている。よく見えないが後ろの方にこの群れを仕切るボスのようなグレートウルフもいるようだった。


「さすがに、やばいな。数がひどい。」

タクヤは、ぼやく。


ウルフが一斉にタクヤめがけて襲ってくる。

ギリギリでウルフを上に飛んで回避する。すると3匹のウルフは止まれず、ウルフはぶつかり、脳しんとうを起こしてしばらく動けないようだった。


残り、7匹。


止まれたウルフは、上に飛び上がりタクヤへ攻撃を仕掛けてくる。

上に来た魔物は3匹、空中では避けることもできないので、下に向けてファイヤーボールを放つ。

3匹にそのまま命中する。


残り、4匹。


「頭悪くて助かる。」

でも、一つ疑問に思う。なぜカエデの方へ行かないのか?タクヤは謎であった。

考えている余裕もなく、次のウルフが2匹つづペアになって連携し攻撃してくる。

1匹交わしても、2匹目が攻撃してくる。

2匹目の攻撃を受けて、足が止まるとすかさず、3匹目、4匹目と追い打ちをかけてくる。

時間差での攻撃は、ウルフの方が素早くかわし切れない。攻撃を食らってしまう。


苦戦しつつも何とかカウンターで2匹を倒す。


残り、2匹。


数が少なくなったからか、手下ウルフがなかなか獲物を仕留められず、しびれを切らしボスの登場である。

グレートウルフは、これまでのウルフとは素早さが全然違う。動きを追うのがやっとだ。


ヒットアンドウエイを徹底して、重く深いダメージはないが、徐々に体力が削られる戦い方だ。

長期戦は不利になるのは明白だ。

意を決し、ウルフの攻撃が当たる瞬間水魔法で自分の分身体を作り、偽装を同時にかける。タクヤ本体は、隠密で隠れる。

ウルフは、偽物タクヤを追いかけ仕留めにかかる。それに合わせ、分身体の水を爆破し、鋭い水のカッターとして飛ばし、逆にウルフ2匹を仕留める。


残り、1匹。


「何とか、ボスだけになった。はぁはぁ」

タクヤは必死に攻撃を繰り出し、なんとかしのいだ。


ただ、グレートウルフは強い。そして賢い。地形を利用し、素早さを利用し攪乱し攻撃を仕掛ける。

タクヤは、なんとか必死に応戦する。1匹になったからといって安心できる状態ではない。

必死に攻撃を避けつつ逃げ、動けない3匹のウルフをテイムする。3匹ともに成功し眷属とする。

グレートウルフは、一瞬止まるが、人間の配下に下ったものは仲間ではない。容赦なく、3匹のウルフに飛び掛かり、ステータス差なのか全く歯がたたなかった。

即席で仲間を増やしたが、逆転は全然できなかった。


「カエデ、少しは援護してくれよ。何か戦闘で役に立つスキルはないのか?」

タクヤは、攻撃を交わしながら、なんとかカエデに話しかける。

カエデは、話しかけても首を振る一方。なにもスキルは持ち合わせていないようだった。

それにしても、おかしい。女の子を盾にするわけではないが、カエデが全然狙われていない。グレートウルフは見向きもしていない。

謎である。攻撃を交わしながらも、ちらっとカエデを見たとき胸元に青く光る宝石が目に入った。


「もしかして、あの宝石、結界の効果になっているのか?」

タクヤは、ぼやく。一か八か、グレートウルフの攻撃を紙一重で避けながら、カエデの元へ走る。

やばい、追い付かれる。やられる。

しかし、結界の範囲内にギリギリ入れ、グレートウルフはそのまま、結界に激突。

その隙に、タクヤはウルフの下からファイヤーボールを打ち、グレートウルフを上空に打ち上げ、回避不能にした上で、剣術+身体強化でとどめ刺す。


「ふぅ。たすかったー。カエデひどい。自分だけ結界の中で教えてくれれば、もっとやり方があったはずなのに…」

タクヤは、その場で倒れこむ。そして、空に向かって、ウォーターヒールを打ち、全身を癒す。さらに持ち合わせていたポーションを飲む。


「タクヤさん。ごめんなさい。森の中は怖くて、怖くて、どうしようもなくて、パパが危なくなったらこれを使いなさいって、森に入ったらずっと使ってったんだけど、

さすがに、1回MPが切れちゃって、スライムに囲まれちゃって、その時、タクヤさんが来てくれて助かったの。

この魔具どんな効果かもよくわからなくて、助けてもらった後は、マナポーション飲んで回復していたら、今度はウルフの群れで、また怖くて使っちゃったの。

ほんとに、ごめんなさい。ごめんなさい。見捨てないで(´;ω;`)ウゥゥ」

泣きじゃくるカエデ。

「分かったよ。もう泣くな。とりあえず、今日は帰ろう。今度は少し敵が倒せるように特訓だな。ハハハ」


武器を買ったからお試しに魔物でも狩ろうと思ったのにとんでもない苦労することとなった。


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