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両親のお店に向かう

両親が亡くなり色々振り回されていたため、忘れていたが、この町に商売するお店があったのだ。

両親の手伝いも色々やっていたので、幼い頃の記憶を頼りに、タクヤとエリナはお店を探すこととした。

かれこれ、2年前ぐらいに来た記憶。当時8歳のタクヤと7歳のエリナ、なかなか覚えていなく町の中をうろうろ回っていった。

ただ、色々探し回っているうちに、町に人に声をかけられた。


「こっちに戻ったのね。久しぶりね」

町のパン屋のおかみサクラが話しかけてきた。


タクヤは何となくではあったが、パンをよく買っていたのは覚えていたので、事情を話した。


「そんな大変なことがあったのね。なんでも言って協力するわ?今晩のごはんはどうするの?」

「ありがとうございます。ところで、久しぶりに来たもので、お店の場所を忘れてしまって、聞くのはお恥ずかしいですが、お店の場所教えてもらえますか?」

タクヤは、恥を忍んで聞いてみた。


「まだ、幼かったからね。しょうがないね。ここをまっすぐ行った、緑色の建物よ。それと…」

そしたら色々な話を丁寧に教えてくれた。


「ありがとうございます。落ち着いてたパン買いに行きます。」

タクヤは丁寧にお礼をいい、自分の店に向かった。


言っていた通り、緑のお店雑貨屋があった。

鍵を取り出し、ドアを開ける。


そこには一人のみすぼらしい少女がいた。


タクヤは、恐る恐る。

「ここは、僕たちのお店なのですが、何故いるんですか?」


「ごめんなさい。ごめんなさい。どこかに行きます。ごめんなさい。」

とにかく謝ってきた。


タクヤは怒ってはいるものの、状況を色々聞くと、少女は孤児で孤児院にもはいっていない。

僕たちが移ってからすぐぐらいにの2年ほど前から住み着いていて、現在に至るらしい。

基本は雨風がしのげればよいという程度で住み着いており、店の入り口しか使わなかったらしい。(ほんとかウソかしらんけど)

普段は、町を徘徊し捨てられたものなどを集め何とかお金に換えたりして生活していたようだった。

店の様子を見る限りでは荒らされた形跡もない。店の裏手に子供が通れる程度の穴が壁に開いていたが、ここから出入りしていたようだった。


「謝っても、許されるものではない。犯罪者としてギルドに突き出してやる。」

タクヤは、どう対応していいか悩んでるふうでもあったが、これをきっかけに孤児院でも入って生活してほしいと思い怒っていた。


「お兄ちゃん、だめ~!許してあげて。家も荒らされたりしてないし、許してあげてよ。」

エリナは、もしお兄ちゃんがいなかったら私もこんな生活になっていたのかもと、境遇が似ている感じを受け、しかも年も近そうだし、自分の境遇と重ねているようだった。


「でもな。これは悪いことなんだぞ?」

「そうだけど、許してあげて。こんなに謝っているのにかわいそうだよ。」


「お兄ちゃん、そうだ。これまで家を管理してくれたんだよ。こう考えれば、悪いことじゃないよ。

むしろ、家を守ってくれたんだから、お礼をしなきゃ。」

「うーーん。でもなー」

「もう、お兄ちゃんはもういい。嘘つきなんだし、噓の方がよっぽど悪いことだよ。」

さっきのことをまだいうかーと思いながら、エリナは必死に説得するのを見て、折れることにした。


「もう。分かったよ。許してやるよ。」

「わーい。お兄ちゃん大好き」

単純でバカな兄は照れていた。


「お前、名前は?」

タクヤは聞いた。

「ありがとうございます。わ、私は、ポスタリマです。」


「ポスタリマか、どうせ追い出したら、行くところないんだろう。ここで暮らすか?妹もなぜか気に入っているみたいだし、何かの縁だろう。ポスタリマは何かできることはあるのか?」

「まだ、何もありません。祝福スキル貰っていない。…」

「ポスタリマは何歳になったんだ?」

「お兄ちゃん!レディーにそれ聞く?」

「エリナ黙ってなさい。スキルあれば役に立つかもしれないし、他でもやっていけるかもしれない。」

「多分、今年で12歳のはずです。しばらくさまよい、必死に生きていたので、わからない。

いい服もないし、教会にはなかなかいけませんでした。」


「お姉ちゃんだ。わーい」

エリナは、喜んでいる。


教会では、孤児を引き取り生活させる良い面もあるが、反面自由に行動ができなくなる。

教会の規則に従って、奉仕活動に従事し生きていかなければいけなくなる。

さらに、ある程度の歳になると貴族などに半奴隷のように買いたたかれ、貴族専属メイドとして教育させられる。

衣食住だけを考えれば良いかもしれないが、引き取られた先の貴族によっては、労働や人間関係が過酷になり、自分のやりたいことや自由に生きるとは無縁になってしまう場合もある。

一部、教会から抜け、冒険者になる者もいるが、戦闘経験や訓練も積んでいない孤児の場合、すぐに死んでしまうか、悪い冒険者につかまり、教会にいる時よりもひどい生活になる場合もある。


タクヤは、この先エリナと二人で暮らすのも楽ではない、色々考え、ポスタリマと上手くやっていった方が、有益だと考えた。そして、まずはスキルをゲットしたほうがいいと思った。

「わかった。これから教会に行って祝福の儀を受けよう。大丈夫。10歳過ぎてもきっと大丈夫。」

「お姉ちゃんのスキルゲットしに行こう。」


基本は、10歳になった時教会にいって授かる、祝福のスキル。

12歳受けに行く者はいないし、そんな噂も聞いた事がない。でも、タクヤは複数のスキル持ち、言えばもらえるのは体験済みである。

教会という場所に行ってお祈りをすれば、貰えると確信していた。


早速、妹の服を少し借りて着飾り、教会へ行く。


「ポスタリマ、よく聞くんだ。神様から祝福を受けるには、「神様どうか有能なスキルを私にください。お願いします」というんだよ。

心の中で、神様に向かってお願いするんだ。分かった?」

「はい。お兄様」

「ずるい。エリナもやる。お願いする」

「ははは。みんなでやろう。大丈夫」


3人仲良く並んで、神に祈った。

「心の中「神様どうか有能なスキルを私にください。お願いします」」

タクヤは、ついでに5回ぐらい唱えている。


ポスタリマには、声が聞こえたようだった。

「神からの祝福スキル:鍛冶。10歳おめでとう♪」


「か、鍛冶!?」

ポスタリマは思わず小さい声を出した。


「授かったみたいだな。よし、帰ろうか」

「エリナは、何もないけど3回ぐらいお願いしちゃった。ハハハ」

悪いことをしているわけではないが、スキルをいくつも持っているタクヤにとってあまり居心地のいい場所ではなかった。

3人は、祈りを捧げて、教会を後にした。


3人は家に帰り埃だらけの家をかたずけ、ポスタリマもそれを手伝った。

途中からエリナは、夕飯の準備をし、タクヤとポスタリマは家のかたずけをしていた。


夕飯が出来上がると3人で一緒に食べ、くつろぎ寝るのだった。


「明日からは、両親のやり残した仕事。」

タクヤは、独り言をこぼす。

このウエスブロッサムにくることになった仕事を終わらせる必要があるものだと思っていた。


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