スキルを扱うのは大変だった
次の日
「僕はなんでこんなに祝福スキルがあるのだろうか?」
タクヤは悩んでいる。昨日もお願いしたら、スキルをゲットできた。
「1人につき祝福スキルが1つというのは、何だったんだろう?」
タクヤは、つぶやき考え込む。
「そういえば、最初の町で確か10回、この町に来てからも5回お願いしていた。ステータスボード」
【タクヤ ♂ 職業:無職】
【祝福スキル:錬金術Lv1 鑑定Lv2 炎魔法Lv1 剣術Lv2 隠密Lv1 身体強化Lv1 テイムLv1 鉄壁Lv1 魔力操作Lv1
水魔法Lv1 棒術Lv1 偽装Lv1 毒耐性Lv1】
タクヤはスキルを数えると13個おぼえていた。
単純に足しても数が合わないが、レベル2を表示しているものがいくつかあるのに気づく。
それ合わせると15個とつじつまが合うことを発見する。お願いしただけ、スキルが増えるようだった。
これまでに、複数覚える噂を聞いた事がない。
両親に付き添い色んな冒険者を見てきたつもりでもあるし、両親もそんなレアな人がいたのであれば、昔話を聞いていたかも知れないが、全くなかった。
不思議に思っていても仕方がないので、自分に何ができるのか、スキルを確かめることにした。
取得したスキルをタクヤはひとつひとつ検証していく。
錬金術は、ポーションなどの作成に役に立つとギルド職員はいっていた。
剣術は、先日の戦闘から剣の扱いが上手くなるようだった。
ということは、棒術は武器の棒を扱うのが上手くなるのかな。
身体強化は、今以上の力で体を動かすことが可能になり、強くなるようだった。
わからないのは、
「鑑定、魔法、隠密?テイム?鉄壁?偽装?毒耐性?これスキル?」
タクヤは、ぶつぶついって悩んでいる。
鑑定は、父も使っていたので感覚的に理解していた。
「鑑定!」
自分を鑑定したようだった。
するとステータスボードと同じボードが表示される。
そのボードには、祝福スキルは1つしか表示されていなかった。
さらに、ステータスボードに向かって「鑑定」を発動させる。
各スキルに追加情報が浮かびあがる。
スキルの概要はこんな感じだった。
錬金術:武器や魔具、魔法薬の作成
鑑定:物の本質を見抜ける。
炎魔法:四属性魔法の一つ、火に関する魔法が利用できる。
剣術:剣の扱いが上手くなる。
隠密:気配を消し、見つかりにくくする。
身体強化:一時的に身体を強くして、今の強さ以上の力が発揮できる。
テイム:魔物を眷属にすることが可能となる。眷属かした魔物も強化などに利用できる。
鉄壁:防御力が一時的に強くなる。パーティーの守護にも役に立つ。
魔力操作:魔力を上手く操作可能となる。魔力の消費が軽減される。
水魔法:四属性魔法の一つ、水に関する魔法が利用できる。
棒術:棒の扱いが上手くなる。
偽装:嘘が上手くなり、相手をあざむけるようになる。
毒耐性:状態異常に強くなる。
タクヤは、鑑定を使い自分のステータスを勉強していった。
余談ではあるが、ここで一つ疑問に思うことがあった。
「剣術と棒術ってなにが違うのだろう?剣とは?刃がついていれば、剣なのか…?」
お店では、剣ですと売っているが、刃がなければ棒と変わらない。形状が剣っぽいだけの棒は、どっちに属するのか?
など、変なことに考えを巡らせている。
「もし、剣型の棒の武器を作れれば、スキル効果2倍か?www」
一人で笑っている。
我に返り、スキルの検証を続ける。
まず、炎魔法と思ったが、家の中では危ないので水魔法を使おうと、水が入る入れ物を用意した。
タクヤは、冒険者に以前に魔法はイメージって聞いた事があった。
「水魔法!飲み水飲み水」
飲む水をイメージし、スキルを唱える。
すると、手から水がちょろちょろ放水される。そして、疲労感が半端ない。
疲れる理由もわからないまま、次の隠密を使う。
「隠密」
声に出す。
「ん?」
効果が全くわからなかった。
そもそも、隠密を声に出して唱えるってどうなのよ。と思いながらも、効果はよくわからなかった。
よくわからないが、次に鉄壁を使ってみる。
「鉄壁!…うーん?少しは固くなったのかな??」
コンコンと自分の体を叩いてみるがよくわからなった。
続いて、偽装を使ってみる。
「偽装!……はぁ~まっ!知ってったけどね」
やはり効果がいまいちわからなかった。
1通りスキルを使ってみて利用できそうなものは、「剣術、魔法、身体強化」だった。
後は、効果の程が実感できず分からないから、ルギアスに聞いてみようとおもったタクヤだった。
一人でスキル検証していて気付いていなかったのだが、エリナがじっとそこで見ていた。
「お兄ちゃん、それ?祝福スキル?」
訪ねてきた。
「そうだよ。教会で貰ったスキルを試していたんだ」
「え?試す?試すほど多いの?」
変なところで感が鋭いエリナだった。
「え?あ~内緒だけど、なんかいっぱいあるみたい。」
「見せて見せて!♪お兄ちゃん」
エリナも興味からか、お願いする。
「いいよ。ステータスボード」
ステータスボードを開きエリナに見せるも
「錬金術?しかないじゃない。お兄ちゃんの嘘つき!」
エリナはがっかりしている。
「はっ!他の人には1つしか見せられないのだ!!」
兄はうなだれる。
「錬金術の他に、魔法も使えるんだよ。ほらほら」
そういうと、手から水を出して見せ、エリナのご機嫌をとる。
さらに、炎の魔法も使い、手から炎を出して見せ、さらにご機嫌を取る。
ただ、魔法を使って見せても、生活魔法など覚えることもできるし、勉強すれば祝福スキル以外で魔法スキルも覚えられるから証拠にはならない。
調子に乗ったタクヤは、さっき使ってわからなかった、隠密を使って見せる。
「お兄ちゃん?あれ?消えた?どこーー」
「ここだよ!目の前」
声を出すと効果が無くなったのか、見えてエリナも安心したようだった。
「なるほど、相手が自分の姿を見れなくする事ができるのかww」
タクヤは、なんとなく隠密の利用方法が分かったようだった。
「次は、鑑定だ」
タクヤは、エリナに向けて鑑定を利用する
【エリナ ♀ 職業:無職】
【祝福スキル:賢者Lv1】
「なんだこれ~。エリナもう祝福スキル持ってるよーー。何!賢者ってすごいじゃん。伝説のスキルだよ!!」
「はぁ~?お兄ちゃん頭大丈夫?私まだ9歳!!スキルなんか取れないよ」
バカにしたように、エリナは言う。
「試しに、スキルボードと言ってごらん」
タクヤは、自分のスキルボードを見れば信じてもらえると思ってエリナに頼んでみた。
「スキルボード?」
エリナは、言っては見たもののスキルボードは現れない。
「ほら、お兄ちゃんがバカすぎて困る。これからどうやって生きていこう。お兄ちゃんの介護しながらか…大変だ」
兄の扱いがどんどん酷くなっていく。兄はしょげている。
「嘘だ~だぁぁぁ~」
どうやら、兄はバカの嘘つきそして介護必要と認定されてしまった。
何故かむきになる。どうやってか、証明したくなってきた。うーん。と悩み始めた。
「! 魔法はイメージ、なんでもイメージ!ふふふ」
「お兄ちゃん怖い」
エリナは引いている。そんなの気にせず、エリナの手を握る。
そして「鑑定」を使う。
「エリナにも見えろ~スキルボード」
変にりきんだせいか、エリナは、手が痛くて振り払う。
【エリナ ♀ 職業:無職】
【祝福スキル:賢者Lv1】
「はぁはぁ。どうだ。エリナ見えるか?」
「はい?何も見えません!プィ」
どこかでちーんとなった。
頑張っては見たものの、エリナに証明できなかった。
兄の意識はどこか彼方に飛んで行ってしまった。MP切れもあいまって気絶しましたとさ
「お兄ちゃ~ん。しっかりして~」
泣く。
後に、だから1人1つのスキルなのだと、どうやっても証明ができないから、変な人扱いされ噂にもならないのだと知った一日だった。