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町を出て旅するのは大変だった

<1日目>

馬車に乗り町をでた家族。

天気も良く晴れている。今回は、5日ぐらいの旅となる。隣町のウエスブロッサムに向かう。

途中、セントリリーに立ち寄り、物資や売るものを買い付ける予定であった。


町を出るとすぐ広い草原が広がる。スライムなどの弱い魔物が生息する場所だ。

護衛もついて、ぜんぜん楽勝なルートだ。

ちょっとした道(街道)が整備されていて、その街道には魔術が施されているのか、魔物はやってこない。

休憩をはさみつつのんびり、旅をしていく。


途中、スライムや虫の魔物ビートルが襲ってきたが、護衛もいてぜんぜん問題は発生しなかった。


暗くなり始めると、進むのを止め、街道から少し離れた森の中で、結界石を使い魔物に襲われないようにして、キャンプする。


何故少し離れて、キャンプをするかというと、街道沿いは目立ち夜盗の的になってしまうためだ。

少し危険だが、森の中であれば目立たない。結界石でさらに襲われる確率を減らしている。

見張りは置くが隣にいるわけではない。高い木などに登り見渡しのいいところで魔物を見張ってはいるが、タイミングなのか、たまに目覚めたときに目の前にモンスターがいることにびっくりする。


キャンプの準備も終わり、夕食の準備を行い、護衛たちにもふるまう。

感謝の気持ちも伝えつつ、料理をふるまうことで信頼を深めるのと最近の情報を仕入れ売れ筋商品など商売につなげるためだ。

夕食の準備は、母と妹で行っていた。

まだ幼い妹が作った料理というだけで、冒険者は皆ほっこりする。食材など足らなかったりしても問題が起こらない。商人の知恵だ。

皆でわいわい食事を済ませ、家族は眠るのであった。


<2日目>


昨日は順調に進み街道が無くなる。

そして、今日は川のそばの道を移動していく。

川のほとりは、水系の魔物が良く出没する。川から上がってくるものもいるが、基本は川から出られない。

攻撃はしてくるが、盾で防げば特に問題ない。今日も天気がいいので水系攻撃は周りを冷やしてくれるよい攻撃となっていた。たまに虹もできるし、場が和む。


この日は、水から出ると攻撃力半減のサハギンに出会ったが、問題なく討伐できた。

サハギンが5匹集団で襲ってきたのは驚いたが、水からあがったとたん、攻撃力低下し、ダメージを食らわなくなったから、冒険者達も上がってくるのを待ち、倒していった。


この日も無事進むことができた。

昨日と同じように、キャンプを張り結界石を設置し安全を確保したら、ご飯を食べ寝るのだった。

今日は少し時間があったから、タクヤは冒険者から冒険の話を聞き楽しんだようだった。

1日目、2日目とかなり進むことができた。


3日目

今日は川を離れ、荒野を進む。

荒野は、少しめんどくさい。砂嵐が吹き荒れ視界が悪いうえに地下を移動するワームが生息する場所だ。

地下を移動するから、気配探知が難しくなり敵からの攻撃に対処が難しくなる。

今回は、Cランク冒険者のダイヤもいるし、そこらへんは安心だった。

荒野によく出没するデザートウルフを何匹が倒し、油断していたところにワームが現れた。

が、ダイヤの的確な判断、指示から平和に雑魚キャラと化していた。


ちなみに、ワームの倒し方は、意外に間抜けな倒し方。

穴を掘って自分が出てきて攻撃をするが、次の攻撃に移るときにまた穴にもぐって攻撃を仕掛けるわけだが、穴を掘るのは、人が歩く速さぐらいだ。

つまり、次の攻撃を仕掛けるときに穴に入り走って追いかければ全然追いつく。さらに、頭は先にあるのでしっぽ側は無防備状態となる。

しっぽの攻撃が届かない範囲から魔法や遠距離武器などでダメージを与えれば、すぐに倒せる。

閉所ということもあり、炎の魔法を穴に打ち込めば、熱がワームに伝わり焼きワームの出来上がりである。

この方法を知らないと地面に逃げられるし、なかなか攻撃も当たらないしと厄介な敵となる。

まっ!この方法が使えるのは、中級ぐらいのワームまでだ。上級の魔物になると掘る速度も速いし、しっぽの攻撃速度も変わってきて倒すのが厄介となる。


そんなこんなをして、問題なく魔物を一掃し、無事に旅を続ける。


4日目

昨日と変わって天気は雨。最悪な1日になりそう。

馬車に乗ってるとはいえ、そんな立派な馬車ではない。雨漏りもするし、横からも入ってくる。

業者もしなければならないので、雨の日は旅には向いていない。

視界も悪く、気配探知の性能も雨音などで悪くなる。


悪い予想は的中した。


盗賊と魔物に挟み撃ちになってしまう。

盗賊は5人、魔物も5匹と多い。

どうやら、盗賊の中にテイマーがいるようで、魔物が従っている様子もあった。


「こんな雨のなかご苦労なことだ。」

盗賊は、大声で脅かす。


「命が欲しければ、金目の物を早く出せ!可愛い子供もいるじゃないか。高く売れそうだ。」

別の盗賊も叫んでいる。


父も応戦するために、剣を取る。

盗賊は、父とCランク冒険者ダイヤで対応し、魔物はDランク冒険者2エメラルとルギアスで対応するようだった。


馬車の中で、母は

「逃げなさい。隙ができたら逃げるのよ」

と言っている。


「僕も戦うよ。」

震えながらに、タクヤは言った。


「戦ったこともない子がなにを言っているの?武器もないし、逃げるしか道はないの!エリナをちゃんと守ってちょうだい。」

母は、タクヤを説得する。


父とダイヤは、連携して盗賊一人を倒す。

しかし、盗賊は仲間の犠牲をチャンスとし、父の武器を破壊し、力をそぐ。

そして、父が切られ致命傷を与えられてしまった。それを目の当たりにしたタクヤは見て、逆上する。


倒れていた盗賊の剣を奪い、タクヤは応戦する。


「父の仇!!」

「タクヤやめなさい。早く逃げるのよ」

母が言ってももう聞こえていないようだった。


タクヤは、がむしゃらに剣を振り回す。

その隙にCランク冒険者が盗賊を一人倒すが、盗賊も犠牲をチャンスに変えダイヤをたおしてしまう。


一方、魔物と応戦していた方は、そんなに強くない魔物とあって、2匹倒していた。

しかし、盗賊のテイマーにスキルを使われたのか、急に魔物3匹は強くなった。


回復職の冒険者エメラルが真っ先にやられてしまい。回復もできない状況となってしまった。

それでも、何とかルギアスは、一人で残りの3匹の内2匹を倒す。

残り1匹の魔物を討伐しようとした瞬間、また、盗賊テイマーに命令され、馬車に乗って隠れていた妹めがけて飛んできたのだった。

それを母は必死でかばい、母も致命傷を負ってしまった。ルギアスは間に合うことができなかった。

後悔する間もなくすぐに魔物を追いかけ倒すのだった。


魔物は全滅したが、盗賊3人は残っている。


そして、ルギアスはタクヤとなんとか合流することができた。


「ここまで、やるとはな。まっ。分け前の人数が減った分報酬は3人のもんだな。」

盗賊は、仲間を何とも思っていない。楽しんでいるようだった。


「残りは、ガキと新米の冒険者ってところだな」

盗賊は笑いながら言う。

楽勝の雰囲気を出し、油断しているようだった。


この時、タクヤはどこからか声が聞こえてきた。


「神からの祝福スキル:錬金術 鑑定 炎魔法 剣術 隠密 テイム 鉄壁 魔力操作 鑑定 身体強化を与えられました。10歳おめでとう♪」


「え?なに?ん?け・剣術、?…身体強化?…?あとなんだ?もう一回もう一回?」

タクヤは、ぶつぶつつぶやき、半分以上聞き取れず、混乱しているようすとなった。


「そこのガキなにボーとしてるんだよ。」

盗賊はタクヤのこの反応と逃さず、剣で切りかかる。


「け・け・ん術!」

タクヤはとっさにつぶやくと、盗賊の剣を剣で受け流し流れるように反撃し倒す。


「こいつなんか急に、変な動きになった。」

盗賊は驚いた。


「これで、2対2だな」

ルギアスは言う。


「テイマー近くの魔物をテイムするんだ」

リーダらしき盗賊は、命令するが

「近くに、モンスターはいないし視界に入らなければ無理。お手上げだ。」

盗賊テイマーは、諦めたようす。一瞬やる気がなくなり隙が生まれた。

その隙をつき、ルギアスは盗賊テイマーを罠にはめ、縛り上げる。

さすがレンジャー素早い動きと隙を見逃さなかった。


「これで、2対1だな」

ルギアスは言う。


「最初から一人でよかったんだよ。俺つえーから。レベル20だぜ」

リーダらしき盗賊は、なぜか虚勢を張る。


この状況でひるむやつはいない。タクヤ、ルギアスは命がかかっている。

リーダらしき盗賊は、タクヤに切りかかってくる。

タクヤは、剣術を使ってはいるがずぶの素人、なんとか必死に盗賊の剣を交わすが押されている。腕も切られ、足も切られ動きも悪くなってきた。

ルギアスもサポートしてくれてはいるが、相手はレベルが高いというだけのことはあり、致命的なダメージを与えらえれない。


「これで、ガキは終わりだな」

盗賊はいうと、超加速しタクヤに切りかかる。


タクヤは、とっさにさっきの言葉を思い出し

「しん、し・んタイぃ・きょーうか!!!」


タクヤは、急に体が軽くなり力がみなぎる。盗賊の剣を交わし盗賊を倒す。


代償は、大きかったがタクヤとエリナは生き延びることができた。


「ルギアスさん。助けてくれてありがとう。」

タクヤはそういうと、握手し勝利を喜んだ。


だが、現状はあまりよくない。突然の出来事で、エリナは泣いている。


「お父さん、お母さん。うわーん」

エリナは、遺体のそばに駆け寄り泣いている。


「お父さん、お母さん。俺は、エリナを守るよ。」

タクヤもまた、遺体に駆け寄り誓いを立てる。

「泣くな。エリナ、お父さん、お母さんもずっと一緒だ。」

父と母がいつも身に着けていた、ペンダントを取り、形見としてエリナに手渡す。


「お兄ちゃん。うん。泣かないようにする。」

エリナも兄が泣きたい気持ちを抑えているのを読み取ったのか、必死で涙を拭き、平静を装うとした。


幼いながらも妹は、無理に耐えようとしていたのが兄も感じ、それを見てたまらなく悲しく、守ること心の中で誓うのだった。


ルギアスは、冒険者としてより安全な場所へ護衛対象を導く義務があるため、口を開いた。

「すまない…。両親は残念だった。私の仲間も死に犠牲も大きかった。

 でも、なんとか生き残れた。君たちのためにもここで留まっても魔物に襲われる危険性がある。

 あと少しだ、町に急ごう。私だけだと守れる保証がない。」

急に現実に引き戻されるが、なるべく早く町に着いた方が安全なのは確かだった。

名残惜しいが、両親の遺体を速やかに焼きお墓を立て、その場を後にし、急いで町へ向かうことにした。


5日の旅の予定ではあったが、1日目、2日目と順調に進んだおかげか、4日目の夜に何とか次の町に着くことができた。

兄は、急いで宿を取り、体を休めるのだった。


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