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第79話 ネクラ杯 2日目

 2日目の初戦、無人島の森の中で生まれた晴也は、辺りを見回すとすぐに木の上へと上がった。


 アバター戦では従来の戦いのように合流しようとはしない。

 隠れるのが主な晴也達の役目は、出来るだけ個々がバラけて行動し、相手の捜索を躱す事だ。


 囮役の人達や偵察の役目を担っている人達はまた違うのだが、晴也達隠密部隊に関しては、ウロウロ歩き回るよりもさっさと身を隠した方が良いのだ。


〖皆さんの中で浜辺に生まれた方がいれば連絡をください。偵察班の方は、どこら辺に居るのかまで詳細な報告をお願いします〗

〖ミラル、縄文杉近くの河原に居ます〗

〖ミルク、大岩の陰で生まれました〗


 それから数秒待ち、浜辺で生まれたプレイヤーがいないことを確認する。

 ということは、鬼は全員浜辺で生まれたと考えるのが自然だ。


 森の中で隠密部隊を見つけるのはかなり至難のはずなので、これは良い兆候でもある。

 さらに言えば、縄文杉は偵察班の設定だと森の大部分を見渡せるはずだし、その場所から少し下ったところにある大岩は、北側の浜辺が全て見渡せるはずだ。


 この時点でほぼ勝ちだとは思うが、相手は昨日の2戦目と同じく10段のプレイヤーが何人かいる。油断は禁物だ。


〖では、情報が入り次第連絡をお願いします。囮班の皆さんは、鬼の姿が見えたら詳細な場所の報告をお願いします。もちろん、その時に余裕があればで構いません〗

『了解です』


 序盤の指示を出し終え、思わずあくびが出て来る。

 試合開始の20分前まで昨日の情報を纏めていたので、寝ていないのだ。

 まぁ、3日くらいは寝なくても問題なくゲーム出来るけど、思ったより疲労が溜まっているのかもしれない。


 それに、チラッとネクラ杯での情報が無いか調べた時、2戦目で僕らに負けたチームが、僕らのチームの考察と称して、作戦内容の予想を纏めていたのだ。


 それで知ったのだが、彼らはそこそこ有名なチームだったらしく、地区大会で何度か優勝している記事が見つかった。

 まぁ、大きな大会には大体ライが出ていたので、そこでの戦績はあまり芳しく無かったみたいだけど……。


 問題はそこではなく、有名なチームだけあって、こちらの策をある程度看破していた点だ。

 それに厄介なのは、その策に対する対抗策まで既に編み出しており、それを公に公開しているところだ。


 この大会は日本予選に向けての練習という名目で開催しているので、試合途中での鬼の能力の変更を認めている。

 流石にアバターの設定変更は認めていないけれど、ある程度の自由は認めているのだ。

 まぁ、一般的な大会でも途中でキャラを変えられるので、キャラを変えられないアバターのみの戦いでは当たり前なのかもしれないけどね。

 実際、世界大会や日本予選でも能力の途中変更は認められているみたいだし。


(でも……ちょっとまずいかもなぁ。相手のチームも結構有名みたいだし、こっちの策が露見しているとしたら、多分勝てないよねぇ)


 昨日の幽霊病院で実験した結果、索敵の能力を持っている鬼を相手にすれば、何人かが集まっていても根こそぎ捕まることが分かっている。


 昨日の最終場面で5人を集めたのは、索敵の能力に引っ掛かる可能性を低くする狙いもあったけれど、仮に見つかったとしても誰か1人くらい逃げ切れるかもしれないという思いがあったからだ。

 まぁ、正確には、逃げ切れるかどうか分からないので試したといった方が良い。


 日本予選までこの設定で行くなんてバカな真似はしないけれど、もし仮に回り回ってこのままの設定で挑むとすれば、この情報はかなり役に立つだろう。


 日本予選で1戦無駄にするという事も出来るには出来るけれど、そこで鬼側が負けてしまったら1セット取られる事になる。

 それは負け筋を増やす行為となるのであまりやりたくは無いのだ。


〖北の浜辺に鬼2名を確認。『作戦通りに行くぞ』と話し、森に入りました!〗

〖縄文杉から100メートルほど下った地点で鬼1名確認。場所的には、囮班のソウマさんに近いかと〗


 そんなことを考えていると、索敵班の2人からそんな情報が飛んでくる。

 とりあえず、囮班の1人に北の浜辺へと向かってもらい、縄文杉付近に出現した鬼に関しては、近いと報告のあったソウマさんにどうにかしてもらうと指示を出す。


(でも、おかしいな……)


 アバター戦では、基本鬼もバラバラで行動する。前にハイネスさんがそう言っていたことがある。

 アバター戦について色々話した時、鬼に関しても色々と聞いておいたのだ。

 その時「何を当たり前のことを?」みたいな顔をされたのでよく覚えている。


 まぁ、アバター戦でなくとも鬼は基本1人で行動する。

 ペアで行動するのは、探偵や女王といった、キャラの弱点を互いで補える場合のみだ。


 ランクマッチではペアで行動するなんて愚の骨頂で、相手にポイントを取られる可能性が高くなるだけでなく、捜索の効率も落ちるため嫌われる行為だ。


 今の問題は、なぜその基本に背いて鬼が一緒に行動しているかだ。


 もちろんハイネスさんの持論が間違っていて、アバター戦でもペアで動く場合があるかもしれない。

 だが、昨日戦っていた2組は少なくともそんなことはしていなかった。


 幽霊病院で2人が同じフロアを捜索することはあっても、合流して一緒に探しす事は無かったのだ。


(なにか、引っ掛かるな……)


 考えすぎなのかもしれないけど、ちょうど先ほどまで考えていた件も重なり、どうにも嫌な予感がする。


 もし、その2人のどちらかが索敵の能力を持っていた場合、ちょっと面倒なことになる。

 いや、面倒というよりも、ここで敗退が決まる可能性だってあるのだ。


 先ほど言った通り、この大会では途中のアバター設定の変更は認めていない。

 つまり、相手が能力だけでこちらの隠密部隊を対策できれば、子供側の勝機は完全に失われてしまうのだ。

 鬼が勝ち続けたとしてもこちらが勝てないのだから、大人しく負けを認める方が懸命だろう。


(実際、隠れる事に特化しているから、索敵なんかで見つけられたら逃げられないしなぁ……)


 隠密部隊は全員が無敵か瞬間移動の能力を保有している。

 その能力を使えば、1回や2回の索敵は躱す事が出来るだろう。


 だが逆に言えば、索敵を躱すためには能力を使用せねばならず、時間が経つにつれてジリ貧になっていくということだ。


 極論、相手がこちらの設定を完璧に対策しようと思えば、3人が索敵の能力を設定し、残った1人が加速でも設定していれば良いのだ。

 この大会では途中でそういうことをされた場合、僕らには勝ち目が無くなってしまう。

 これが、昨日の情報纏めで手に入れた1番の収穫だった。


 それに気付いた時の僕の絶望感を現すのに、最悪なんて言葉では生ぬるいだろう。

 何が理論上最強なのか。

 所詮、1週間で見つけた最適解など、その何倍もの速さで対策されるのだ。


 もしこの真理に気付くチームがいれば、僕は春香にボコボコにされ、欲しい物リストが空になる程様々な物を買わされるだろう。


(もう嫌だよ……)


 どうか、この予想が外れて欲しい。

 信じてもいない神にそんなことを祈りつつ、次の情報が来るのを待つ。


 そして数分後、隠密部隊の人が2人捕まったという報告がきた瞬間、僕は叫んだ。


「終わったぁぁぁぁぁ!!」

今日が月曜日だとすっかり忘れてました。

本当に申し訳ありませんm(*_ _)m


投稿主は皆様からの評価や感想、ブクマなどを貰えると非常に喜びます。ので、お情けでも良いのでしてやってください<(_ _*)>

やる気が、出ます( *´ `*)

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