第49話 認識の違い
間違えて1時間早く投稿してしまいました。
基本18時過ぎに更新するのは変わりません。
(たまに19時になるのは投稿を忘れているだけです)
異変が起こったのはゲームが開始して20分が経過したところだった。
高級住宅街へと逃げたはずの名前は全員暗記している。その内の2人が捕まったと情報が入ったのだ。
彼らがネクラの指示に背くような事は絶対にないはずだし、そもそも公園で人柱になってくれている人が未だ1人も捕まっていないのだ。
(おかしい……)
晴也がそう思ったのは割と早かった。
ハイネスさんならば、公園に残っているプレイヤーが囮の時間稼ぎだという事に気付くのはそう難しい事ではないだろう。
それでも、19人捕まえないといけないのだから、囮としてもその人達を見逃すわけにはいかない。
なら、次にハイネスさんがとる行動は何か。
2人で1人の子供を追わせ、1人ずつ確実に捕まえていく事を指示するはずだ。
アバター戦では永遠と逃げ続ける事も可能だが、それはあくまで鬼と子供が1対1の場合だ。
2人に追われ逃げ続けることが出来る人など、そう多くは無いだろう。
(無敵が発動した場合でも連絡は入れて欲しいと言っている……。ということは、公園のメンバーは誰1人として、追われてすらいないのか……?)
その疑問が確信に変わったのは、それから数分後だった。
高級住宅地に逃げた人達の確保情報が続々と上がって来たのだ。
急いでその方面に逃げた人に電話をかけて確認する。
「香夜さんですね? 何が起こっているんですか?」
「い、いや……それが私にもサッパリで。さっき捕まった人と数分前まで一緒に行動していたんですけど……」
「……分かりました。じゃあ、その場を動かないで待っていてください。確か、能力は瞬間移動でしたよね? 私から連絡が入る前に鬼が来た場合は、団地まで飛んできてください」
「了解です」
相手も混乱している様子だったので、今度は公園で囮になってもらっているはずのライへと連絡をする。
彼女は公園に残っている人達の中で唯一無敵を設定していたはずだ。
そう簡単にやられる人でも無いし、電話しても問題は無いとの判断だ。
「ネクラです。そちらの状況を教えてください」
「……いや、状況も何も、静かですよ。鬼の影すら見えませんし、公園組みの誰かが捕まったなんて報告も入っていません……」
「了解しました。では、公園に入ってからは1度も鬼を見ていないという認識でよろしいですか?」
「はい」
「ありがとうございます……」
ライからの報告を受け、自分の認識がそもそも間違っていた事を悟るのに、そう時間はかからなかった。
晴也の出した指示は確かに最善であり、通常の試合であればハイネスを完封出来ていたかもしれない作戦だった。
しかし、それはあくまで通常戦の場合であり、アバター戦では違ったのだ。
晴也は経験が無かったので知らなかったが、この戦いは彼が思っている以上に鬼側が不利なのだ。
なればこそ、本当に優秀な指揮官ならば、子供を19人も捕まえようなんて思わない。
強制試練中の子供をなんとかして捕まえた方がよっぽど効率が良いのだ。
(そして、あらかじめ母数を減らしておけば、それだけ強制試練での仲間による支援が行いずらくなる……。上手くいけば19人捕まえられるという事か……)
さらに言えば、今高級住宅街で捕まっている人が多いのは、待ち伏せをされているからに他ならないだろう。
つまり、逃げようと思えば永遠に逃げられるアバター戦では、加速か瞬間移動を使わない限り捕まえる事は困難。なら、相手が自分の元へ来るのをあらかじめ待っていれば良い……。
(待て……。本当にそれだけか……? それなら、試練開始までずっと待っていればこのゲームはほぼこちらの勝ちになるのでは……)
それこそ、全員瞬間移動か索敵、もしくは無敵を持っていれば、理論上1人も捕まる事は無い。
そんなゲーム、クソゲー以外の何物でもないだろう。そんなこと、ありえるのか……?
その疑問の答えは終わってからハイネスに聞く事にした晴也は、そのまま香夜へと電話をかけ直す。
後ほどチャットで同じ指示を飛ばすが、彼女は1度電話をかけて指示を出している。直接言わないとダメだろう。
「香夜さん。今起こっている事が分かりました。先程、別れた直後に捕まった人がいると言っていましたよね? それがどこだったか、分かりますか?」
「え? えっと、この先の十字路を右に曲がったところで別れましたけど……」
「では、その十字路を避けて公園まで移動してください。念のため、このまま電話は繋いでいてください。どこの道を通ったなど、逐一報告してくださるとありがたいです」
「わ、わかりました……」
香夜さんと電話を繋げながら、晴也は全体チャットにて高級住宅街にいる人に、そこら辺で話しているプログラムに紛れていろと指示を出す。
とりあえず、下手な動きはするな。その場を動くなと指示を出したのだ。
「ね、ネクラさん、公園に到着しましたよ?」
「ありがとうございます。では、この後ライに電話をして彼女と合流してください。その後の指示は後ほどライの方へ送ります」
「分かりました。では……」
僕の推測が正しければ、高級住宅街に潜伏し、静かに子供を待っている鬼は最低でも2人。その内の1人が恐らくハイネスさんだ。
そして、その潜伏している鬼は、余程の事が無い限りその場所から動かないはずだ。
香夜さんに手伝って貰ったのは、いわゆるダンジョンのマッピングのような物だ。
彼女が居たのは高級住宅地のちょうど真ん中あたりで、そこから公園までの安全な道を探るための生贄になってもらった。
出来る限り彼女には電話をしていると悟られないように努めて貰ったので、電話中だからあえて捕まえなかった。そんなことにはならないはずだ。
〖高級住宅街にいる方の内、奥の方まで行っている方以外は今から指示を出すルートを通って公園まで行ってください。奥の方まで到達している方はその場で待機を。下手に動きまわらない事をお勧めします〗
とりあえず無理のない範囲で公園まで移動して貰う。
こうする事で、高級住宅街にいるであろう2人の鬼はとりあえず機能しなくなる。
確保情報から2人と判断したけれど、もし1人だった場合でも、今のところ手薄な公園にほとんどの人が逃げ込むのだ。問題は無いだろう。
次に、香夜さんと合流しているはずのライへと電話をかける。
さっきは慌てていたので思わず呼び捨てにしてしまったかもしれないけど、そこを突っ込まれたら後で謝罪しよう。
「ネクラです。合流しましたか?」
「はい。合流して、今は大樹の上にて待機中です」
「大樹……。ああ、あのでかい木ですか。ちょうどいい。そこなら、多少高級住宅街の方も見えますよね?」
「え? ええ……」
「なら、鬼の姿が見えたらチャットで連絡をください。しばらくすると、過半数の子供がその公園に集まります。試練クリア等は楽になると思いますが、公園内で鬼を見かけた場合でもチャットで連絡を」
「よく分かりませんが……了解です」
困惑している様子だったけれど、これで万が一待ち伏せを止めた鬼が公園に来たとしても対処が可能になる。
そして、過半数の子供が公園にいるという現状だが、全員が公園にいるわけではないので19人が捕まってしまう危険性はグッと減る。
これはあくまで予想だけど、鬼側は2人が待ち伏せ。2人が捜索しているのだろう。
そして捜索している鬼2人の能力は、1人が機動力を高めるための瞬間移動。もう1人が不明と言ったところか。
そこまで分かれば、待ち伏せしているのがハイネスさんとシラユキさん。
捜索しているのがマイさんとミナモンさんということくらいは想像が出来る。
(団地が多くて入り組んでいるここにはマイさんを派遣するのが普通か……)
そう考えると、最初の10分で捕まった人がいた事にも納得がいく。
通常の対戦だと少し遅い程度の感覚だったので特に気にしていなかったけれど、よくよく考えれば早すぎるのだ。
諸々考えれば、捕まえたのがミナモンさんだという結論に辿り着ける。
(公園で姿が見えないのも、彼が変なところを探していると考えれば……)
ハイネスさんが初戦からミナモンさんに指示を出すとは考えにくい。
彼女なら、ミナモンさんには指示を出さない方が有用に使えるかもしれないと考えるはずだ。なら、このお試し会では比較的自由に行動させるだろう。
ミナモンさんは僕やハイネスさんのような論理的に考えるタイプでは無く、なんとなくでプレイして、なぜか結果が着いてくるような人だ。
ならば、普通では探さない変なところを探しているせいで姿が見えない、なんてことはありえる。
ゲームが開始して45分。晴也は自分の無知によって生まれた認識の違いにより、チームを危険にさらした事を反省した。
この後現実世界に戻ったら、アバター戦について徹底的に研究しなければならない。
そう決意を新たにして、晴也はその場から立ち上がり、試練クリアに向けて走り出した。
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やる気が、出ます( *´ `*)




