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第190話 屋敷の探索

今回は謎解きがありますが結構難易度高めなので真面目に考えなくて大丈夫です(><)

いつものように、あとがきの方に解説を載せてますm(_ _)m


 最初のカギのヒントが出るまでに集められた屋敷の情報はかなり大雑把でそれだけで脳内に地図を広げるのは流石に無理があった。

 だけど、それでも屋敷の中がどうなっているのか。どこにどの部屋があって、どこら辺に階段がありどこら辺が見通しが良く、どこら辺が見通しが悪いのか。

 そこら辺の情報はある程度集まった。


 まず、僕とサカキさんがいる食堂は1階の最北端に位置している。ちょうど、屋敷の一番端にあるという解釈で良い。

 広さはおよそ20人くらいが入れるくらいで、真ん中に大きな長机が置かれてその上に染み一つない真っ白なテーブルクロスが引かれ、無駄に豪華な椅子がいくつも並んでいる。


 たまにメイド服を着たプログラムが徘徊している所を見るに、ここは遊園地や競馬場のように人のプログラムがウロウロしているマップなのだろう。


 そして、食堂を出て突き当りの部屋に入るとそこはトレーニングルームになっているらしく、ジムにあるようなトレーニング機器が無数に置かれているようだった。

 バイクのマシンからランニングマシン、はてにはダンベルやバーベル……その他名称不明の背筋や腹筋を鍛えるのだろう機械が所狭しと並んでいる。


 そのトレーニング部屋を抜けた先に上階へと続く階段があり、その階段をスルーすると子供部屋へと突き当たる。

 子供部屋は僕の家のリビング位の広さで、中は足の踏み場もないほどおもちゃやクレヨンなんかで散らかっている。

 その先には書斎やら他の子供部屋があったりと様々で、2階も概ね同じ感じだそうだ。


 ただ唯一1階と違うのは、食堂とトレーニングルームがある位置に大きめの図書室があり、背丈の高い本棚がぎっしりと部屋いっぱいに詰まっていて、分厚い本から子供が読むような絵本まで数多く取り揃えているみたいだった。


 3階の情報が全くないのは、幽霊病院と同じく僕ら子供が1階と2階に発生して鬼の面々が全員3階に出現したからだろう。

 これは見方によってはチャンスだけれど、カギの場所を見つけられないのであれば脱出口に向かっても無意味だし、肝心の脱出口の場所がそもそも見つかっていないのだ。


「おかしくないですか? 1階に湧いた人がかなりの数いるのに、誰も脱出口見てないなんてことありますか?」


 そう、サカキさんの言う通り、子供20人のうち実に13人が1階に出現しているにも関わらず、ここまで誰一人として脱出口を目にしていないのだ。


 そりゃ、廊下が迷路のようになっていて家だというのに無駄に複雑なマップなので見つからなくても不自然じゃないかもしれないけど……でも、人海戦術のようにして捜索しているのに見つからないというのはいくらなんでも不自然すぎる。


「それに、鬼が27分経過した今でも目撃すらされてないのも妙です。いくら作戦会議をしてるにしたって長すぎますし、階段付近で陣取ってる人もその存在や話し声すら聞いてないというのはあまりに……」

「ですね。どうなってるんでしょうか?」

「……まさかとは思いますけど、脱出口って言うのが3階にある……とかですかね」

「あっはは。まさか~」


 いや、そうは言っても不自然なことに変わりはない。なにせ、ここまで探しているというのに脱出口はおろか玄関口さえ見つかっていないのだ。それは、いくらなんでも不自然という域を超えているだろう。


 それに、手元で確認できる地図でも集めてもらった情報と部屋の配置などは何ら変わりないけれど、地図で確認する限りでも、玄関なんてものは存在していないのだ。


「自分で言っててなんですけど、多分これ発想の転換が必要なんじゃないですかね? 屋敷から出るという事は、必然的に玄関から出ることになる。ただ、玄関というのは必ずしも1階にあるとは限らない。例えば、そもそも正面玄関なんてものを設置しないで裏門というか、そういう場所から出入りすることを前提として設計されたものだとしたら……」

「……まぁ、新マップなので無いとは言い切れないですよね。あらゆる可能性を考えて動く方が賢明だと思います。全てが新しい事なので、絶対にないなんてことは誰にも言えません」

「ですよね。……危険ですけど、無敵を持ってる人に3階へ上がってもらいましょう。ザックリで良いのでそれっぽい所が無いかを確認してもらって、それから作戦を立てましょう。もう少しでカギのヒントももらえますし」

「ですね。それが良いと思います」


 そうと決まれば、早速現在2階にいて無敵の能力を持っている人に自己申告してもらう。

 その結果、黒猫さんとライが引っ掛かったので2人には階段を使って3階へと上がってもらう。


 この屋敷、無駄に広いくせに上下階に繋がる階段は1階から2階へ行くときは中央の1つ。2階から3階に行くときは屋敷の左右の2つのどちらかを使わなければならないという謎仕様なのだ。


 廊下が無駄に長いし、窓から見える景色が違うせいで混乱させるのが目的なんだろうけど、このマップを設計した人はかなり性格が悪いだろう。

 たぶんだけど、学生時代友達がいなかったタイプの人だ。


「脱出口っぽいところと、地図との差異が無いか。鬼の存在を確かめてきたら速攻逃げてきていいの?」

「大丈夫だよ。写真を撮れる余裕があればそうしてほしいけど、無理にとは言わないよ。その3点をなるべく優先して、写真は最低限で良い」

「分かった」

「了解です~! 頑張ります!」


 全体チャットにて、ライと黒猫さんが快く大役を引き受けてくれた3分後、1つ目のヒントが送られてきた。

 ただその内容は、謎解き要素なんて無くて良いと言った僕の心をあざ笑うかのように謎解きの要素で満ちていた。


智蘊ちうんとは、室町時代中期の幕府吏僚であり、連歌師だ。俗名は蜷川親正にながわちかまさと言われている。

連歌とは、日本の古来に普及した伝統的な詩形の一種であり、長短句を交互に複数人で連ねて詠んで一つの歌にしていく……いうなれば『合作』だ。

ちなみに、日本は昔『H』INOMOTOと呼ばれていたのは知っているだろうか。これはこれで風情があって良いと私は思う。

話は変わるが『愛』とは非常に尊いものである。フランスのある詩人は「人が天から心を授かっているのは、人を愛するためである」という言葉を残したという。

愛と恋は紙一重であるという言葉もあるが、そこで有名なのが小倉百人一首だろう。

彼の歌は恋の歌が非常に多い事でも知られている。例えば『11』番の歌なんて、私は好きだ。

華やかな恋も、全てが叶うことなく時には儚く『散る』事もある。それが、恋の素晴らしい所でもあるのだが……』


 これを見た瞬間、たぶん誰もが思うだろう。何言ってんだこいつと。

 いや、うん。ヒントなのは分かるんだけど、何を言いたいのかがさっぱり分からない。


「……分かりますか?」

「ネクラさんに分からないのに、なんで僕に分かると思ったんですか? というより、こんなパターンでヒントが来るなんて初じゃないですか? いつもはもっと分かりやすいというか……」

「ですね。こんなに回りくどく伝えてくることはしてこなかったですね。それに、これだとまるで国語の文章問題か何かですよ。英語の長文みたいな……」

「あ~、確かに、的確なたとえですね」


 僕は苦手教科とかは特にないんだけど、こういう長文はちょっとだけ苦手だ。

 何を言いたいのか分からないし、大抵意味の分からない事を言ってくるし、読んでる途中で何言ってんだこいつってちょっとムカッてきちゃうから。


 でも、この文章はなんというか……まぁ冷静になってよく読んでみたら言いたい事は分かる気がする。


「試練の内容とは直接関係場所に所々『』がついてるじゃないですか。多分、周りの文章はノイズで、この『』の中身が重要なんじゃないですかね? というよりも、僕の記憶が正しければ百人一首の11番の歌は恋の歌じゃなくて覚悟の歌だったはずです。わたのはら~から始まるやつ」

「……ごめんなさい。百人一首とか覚えてないのでそこら辺は。でも、それなら矛盾してませんか? 恋が云々とか言っといて違うんかいっていう……」

「なので、ノイズなんだと思います。ほんとに重要なのは『』の中身。つまり……合作、愛、H、11、散るじゃないですかね?」

「な、なるほど……?」


 まぁ、仮に僕の推理が正しかったとして、この四単語が何を意味してるのかは分からないけどね。

 なんの関連性も無い単語だし、いや、無理やり関連付けようと思えばできるんだけど……。


「え、繋げられるんですか?」

「まぁ……かなり無理やりですけど」

「どうやってですか?」

「……まず、これらを全てローマ字に直してそれらを並び替えるとある有名なミステリー作家の名前になります」

「そうなんですか!? ていうか、紙に起こさないでよくそんなの分かりますね? ちなみに、その作家っていうのは?」

「アガサ・クリスティーです」


 そう言うと、サカキさんは聞いたことあるなぁって感じの顔をして顎に手を当てて考える。


「あれ? でもそれだと、11ってのがどっかに行きませんか? それは......」

「アガサ・クリスティーの、11作目の作品って事じゃないですかね? つまり、シタフォードの秘密...ですけど」


 そこまで言って、僕はこの推理の疑問点を述べる。

 まず、ここまでなら誰でも辿り着けるような簡単なこじつけというか謎解きだ。少し考えれば誰でも分かる。


 ただ問題は、アガサ・クリスティーがどんな本を出してどんな順番で出したかなんていちいち覚えてる人なんてそんなに居ないだろって事だ。


「ネクラさんは知ってるじゃないですか。いや、なんでそんなの知ってんだよってなるのはともかく......」

「でも、アガサ・クリスティーって言えば、1番有名なのが名探偵ポアロシリーズだと思うんですよ。ホームズと並ぶ世界的な探偵ですよ? こう言っちゃあれですけど、どちらかと言えばマイナーなシタフォードの秘密よりも、ポアロシリーズで11作品目って方がまだしっくり来ます」

「は、はぁ......。ちなみに、そっちも分かるんですか?」

「もちろんです。ポアロの11作品目はかの有名なABC殺人事件です」


 そう言った瞬間、サカキさんに呆れたような顔を向けられた。

 仕方ないじゃん。ミステリー好きなんだから......

謎解きの解説です。

合作、愛、散るを全てローマ字にすると

GASSAKU・AI・TIRUになり、並び替えてそこにHを加えるとAGASAKURISUTHI(アガサクリスティー)になります。

アガサクリスティーと言えば名探偵ポアロだよねという一般的な認知度から、ポアロシリーズの11作目が答えという謎解きでした。


穴だらけな気もしますが、ご容赦ください(><)

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