第184話 日本予選 詳細
更新する予定はなかったんですが、早めに用事が片付いたので更新します。
明日もこの時間に更新しますが、その時改めて今後の更新ペースについて載せておきますm(_ _)m
スマホでは見にくいという事もあって、僕らは全員僕の部屋にあるパソコンの前でモニターを睨みつけていた。
ただでさえそこまで広くない部屋なのに、4人も集まってればかなり狭く感じるのは仕方ないかもしれない。
けど……わざとなのか狙ってるのか、ハイネスさんから滅茶苦茶いいにおいがするのは気のせいだろうか。
(香水かな……割と好きな匂い……)
って、なんだか変態みたいなので目の前の情報に集中する。
基本情報に関しては普通の大会と何ら変わっていない。
土日の朝から戦いが始まり、平日は休み、配信枠はランダムで決まり、その都度チームに連絡が行くので、その場合は専用のカスタムマッチで行われる……。
配信枠に選ばれたチームは勝利した場合にインタビューが行われる可能性があるのであらかじめ了承しておくこと、か……。
「勝利者インタビューって、普通は準決勝と決勝だけでしたよね?」
「まぁ……日本予選だからっていうのもあるんじゃないですか? ゲームとはいえサッカーのワールドカップとか、オリンピック並みに盛り上がってますから」
「そ、そんなにですか……?」
確かにかなり盛り上がってはいるけど滅多に外に出ないし、出たとしてもそれどころじゃなかったことが多かったのでそれは予想外だ。
それに、サッカーやオリンピックにさほど興味がないので、そっちが行われるときにどれくらいお祭り騒ぎになっているのかも知らないし……。
話を戻して日本予選だけど、使用可能キャラはアバターのみ。各種設定は自由で、試合ごとに能力の変更や設定の変更も可能だが、アバターの見た目に関しては変えることができないらしい。
つまるところ、アバターの見た目を有名な人に似せて撹乱しますみたいな小賢しい手段はとれないらしい。いや、取ろうとしてる人はあんまりいなかったと思うけど……。
今回の日本予選と世界大会本戦では今までとは違った試練やマップが出現する事ももちろん明記されていた。
それに伴い、いくつかルールの変更があるらしい。
その顕著な例は――
「引き分けがもう1試合じゃなくて、その試合の子供が稼いだポイント数で決まるって言うのは……ちょっと面倒ですね。全ての試練をクリアする必要がありますし、各試練が出たタイミングで何人残っているのかにもかなり影響されます……」
「時間がかかりすぎる為協議の結果って書いてありますけど、そんなの分かり切った問題だと思ってました。ちょっと心配になりますねこの運営……」
「ま、まぁまぁ……。ここら辺は後々対策でも纏めましょう。分かりやすい例なんかも出来れば用意しておきたいところですね」
事前のアナウンスでは、引き分けた場合は従来の試合通りもう1試合を行うとされていたが、今回正式に「子供が稼いだポイントが多い方の勝ち」という物に変更されていた。
鬼の方は稼げるポイントの絶対数に上限があるので、実質上限はあってもそのポイント数の変動が激しい子供側のポイント数が多い方……にした所は納得できる。
仮にポイントが同数だった場合は試合時間の短い方が負けになるらしい。
試合時間が勝敗に影響する関係上、通常は片方の陣営の試合が終わった場合その時点でもう片方のチームに勝敗が通知されるのだが、そのシステムが今回は無いらしい。
今までの大会と勝手が違いすぎて最初は混乱するかもしれないけれど、これくらいならやっていくうちに慣れるだろう。
「強制試練は従来通りあるものとして、それに加えてスペシャル試練……全員で協力しないとクリアできない試練も追加される。内容は謎解きで固定されるが、従来の1人で解けるものでは無い為チーム全員で協力しよう! ......ですって!」
「いや、協力しようって書いてあるじゃないですか。というより、謎解きならおまるさんも得意ですよね?」
「いや~、そうはいってもネクラさんに頼りたくなっちゃうじゃないですか! ね? ハイネスちゃん!」
「わ、私は子供側でプレイしないので……。でも、その気持ちは分かります」
この人達は僕をなんだと思っているのか。
どっかの名探偵じゃないんだから、全員で協力しないと解けない謎解きなんて1人で解ける訳ないじゃないか。
わざわざその部分を強調しているって事は、全員で情報を集めないとそもそも答えに辿り着けない類のものではないだろうか。
例えば、全員に1文字ずつランダムな文字が配布されて、それを全てつなぎ合わせたものが答え……みたいな。
「数人分の答えで答え当てそうな人が何言ってるの? それよりほら、謎解き以外にも脱出ゲーム的要素の追加を検討って書いてるけど、これはどういう事なの?」
「ん~、この書き方だけじゃ何とも言えないよ。子供側が即勝ちになるような特殊な試練やマップが存在してるって事じゃ無い? ほら、このステージから脱出すればクリアですよ~みたいな」
「そんな、ゲームバランスガン無視した試練とか出る?」
「脱出がかなり難しいんじゃないかな? 子供は出ないといけないけど、鬼は最悪時間内に脱出を許さなくても勝ちになるから頑張ってねみたいな……」
そういうのはちょっとだけ面白そうなので体験してみたいけれど、パッと見た感じで、僕の想像通りのマップが来るんだとすれば、これは相当子供が不利な気がする。
なにせ、脱出口になり得るような場所に鬼が全員陣取るだけで逃げるのがかなり難しくなるし、隠れる設定や逃げ回る設定でも、あらかじめそこに陣取っている鬼を全員躱す能力は無いのだから。
「まぁ、それは出てきてからのお楽しみじゃないですか? ほら、ここにも『それに伴って、鬼と子供の陣営で各々戦うマップが違う場合があります』って書いてるじゃないですか。試合が終わった後に観戦できるモードはあるって書いてあるので、その時か配信枠でお披露目された時に予習すれば良いだけですよ」
「ですね。今考えても机上の空論でしかありませんから」
流石ハイネスさんだ。ここでいくら考えても結論の出ない問いにいつまでも執着はしないらしい。
テストとかでも、分からない問題はとりあえず飛ばして他の問題を解いて点数を稼いだ方が効率が良いっていうのと同じで、ここで優先するべきは、他にめぼしい情報が無いかを見つける事だ。
「あ、ネクラさんこれはどういう意味ですか?」
おまるさんがなぜかウキウキしながら指さした場所には、こう書かれていた。
『なお、新マップや新試練、新システムに関して後日アンケートを実施するため、大会に参加されるプレイヤーの皆様は必ずご回答するようにお願いします』
「……どういう意味って言われても。そのままの意味じゃないですか? 日本予選で使われたマップとか試練に関して、評判が良ければそのまま世界大会でも使われるけど、そうじゃ無かったら別の物に変更されるとか……」
「あ~、なら、苦手なマップとかを全部最低評価にしたら世界大会に進んだ時有利になりますね!」
「……」
そりゃそうかもしれないけど、そんなことをなんで瞬時に思いつけるのか。
それに、運営がほんとにそんなことをするなんて確証はどこにもないのだ。もしかしたら単なるアンケートで、そんなに深い意味は無いのかもしれないし……。
そして最後に、日本予選は春頃終了を目安にしており、夏に入った後に世界大会が行われる予定だと告知されていた。
ちょうど夏休みが始まったくらいのタイミングで世界大会が始まるらしい。
今が年末……12月の29日なのでちょうど半年後くらいだ。
「日本予選長いなぁ……。流石に冬休み期間中は平日でも関係なく試合やるんだろうけど……初戦から2本先取だからなぁ」
「ですね。まぁ、あくまで予定なので前後するかもですよ? それに、社会人や私達みたいに補講日がある学生もいるでしょうから、長期休みの期間中でも土日しか開催されないって可能性はあると思います」
「あ~……僕らの補講日、いつでしたっけ?」
「2日ですね! あ、来てくれるんですか!?」
満面の笑みでハイネスさんにそう言われ、春香が分かりやすくは!?みたいに動揺する。
おまるさんは興味なさそうだけど、まぁ……約束したしね。
「行きますよ……。元旦の次の日なので、流石に人少ないと期待します……」
「やった~!」
「……」
春香さん。あからさまに「尻に敷かれてんなこいつ」って目を向けるのはやめてもらって良いですかね? いや、実際その通りかもしれないけどさ!
ていうか、冬休み期間中に学校に行って何をするというのか。休みなのだから休ませろよと、全力で抗議したいね。
「まぁまぁ。そういう思い出も、学生ならではですよ?」
「……そういうものですかね」
「そういうものです」
微笑ましい物を見る目でおまるさんがそう言うと、携帯を取り出して自分の高校生時代の写真を見せてきた。
……誰? このモデルみたいな綺麗な人……。
「私ですよ~! これでも、ちょっと有名な雑誌の表紙飾ったこともあるモデルなんですよ?」
「……はっは。またまた、御冗談を」
「ほんとですって~! それの縁で編集者になれたんですもん!」
それが本当なのだとしたら、声を大にして言いたい。
なんでそんなモデルの人が、大人気作家になって歴史的ヒットを記録するような超大作を書いて、なんでこの部屋にいて、なんでテンションが上がったらジョジョのセリフを言い出すような特殊で癖の強すぎる人になったのか。
誰か、僕にこの状況を説明してほしいね。
むしろ、誰でも良いから僕のポジション変わってくれないかな……。
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やる気が、出ます( *´ `*)




