第161話 Moon light交流戦 第二試合 前半
更新が止まってしまっていたこと、謝罪します。ごめんなさい(><)
また更新するスピード変わるかもですが、余裕が出てきたので更新させていただきます。
変わらず応援して読んでくださる方は、お付き合いよろしくお願いしますm(_ _)m
『Moon light』との交流戦第一試合は結果的に引き分けに終わった。だけど、事前の取り決めで引き分けは僕らの負けになるので実質的には0勝1敗となったわけだ。
ここで改めて言っておくと、僕が集めたこのチーム『Blue Rose』は無敵のチームって訳でも勝率が8割強を超えている訳でもない。
むしろ、今まで大会で結果を残したのはあまりパッとしない紅葉狩りで優勝したくらいだ。
他の強豪チームはその他の大会でバンバン優勝しているし、なんならすでに海外のプロチームとも交流を図っているとどこかのブログで目にした記憶がある。
なのになんで僕らはこれほどまでに悠長……というか呑気に試験的な交流戦をしているのか。
その理由は、僕らがまだ色々試行錯誤している段階だからだ。
他のチームではどうか知らないけど、僕らのチームは早々にアバターの設定を数種類考えておいたおかげでその後の作戦やら対抗策やらを考える時間に充てる事が出来る。
しかも、考えるのは僕とハイネスさんの仕事なので他のメンバーは気兼ねなくランクマッチなんかで腕前を磨くことができる。
大会で結果を出せていないのも、その大会を本気で勝ちにいっていないからでそこまで焦る結果ではないのだ。
「で、今考えるべきはハイネスさんが皆に何を言ったのかなんだけど……」
2戦目の無人島、やはり僕に合流してくる人はおろか、子供陣営の人の影すら見えないのはどういう事なのかとマップで一番見晴らしのいい縄文杉まで辿り着いて腰を下ろした僕は顎に手を当てて考えていた。
なんでこんなに長々と独り言を喋っているのか。それは、本当にやる事が無くて暇だからだ。
だって、子供陣営の人と会えないから話し相手もいないし、鬼に追いかけられもしないから逃げるために頭を使う事もない。
頼みの綱である試練すら、謎解きの問題で苦戦したことは無いので数秒……ないしは数分もあれば解いてしまう。
だからこそ、今考えるべきはハイネスさんが皆に何を頼み、何を見たがっているのかだ。
「僕との接触を禁止していることはもはや疑いようが無くて……後は何だろ」
限りなく情報が0に近いこの状況でハイネスさんが頼んだことを当てられるほど賢くは無いけれど、あの人みたいな考え方をすればそれは可能になるはずだ。
ようは、僕がハイネスさんの立場なら皆にお願い……というか、してみてほしいことは何なのか。
「僕に頼らないゲームプランの構築……いや、指揮官不在でもなんとかなるって証明はされてるんだから今更そんなことはしなくて良い。個々の実力判断……いや、そんなことしなくても皆の強さはあの人なら十分わかってるはず……」
というか、僕がチームメンバーを集めた時の資料なんて絶対に丸暗記する人なので、それからさらにレベルアップしている彼らの実力は個々に話を聞くだの日頃の練習からの推測でなんとなくメモしているだろう。
そのメモを見たい気もしなくはないけれど、今はそんな事よりもだ。
「誰かに頼る事ない試練の突破……? 強制試練中に捕まる可能性を少しでも下げる……いや、そんなことして下がるかな? いや、でもハイネスさんが子供でプレイしてた時期は短いはずだし、子供の事は僕よりも当然理解してないはず……。あり得るな……」
確かに僕ら子供は、強制試練中のプレイヤーが捕まった時点で敗北するというシステムがあるし、実際敗北している理由の半分以上はそれだ。
なので、子供陣営の事にあまり詳しくないのであればそこを個々のプレイヤースキルをさらに向上させることで改善しようとする可能性はある。
だけど、実際はそこまで効果はない。
なぜなら、強制試練中に捕まるって言っても、元はと言えば普通に逃げていて捕まっているのと何ら変わりがないからだ。そこに『強制試練中』というオプションが付くだけで何も変わらない。
つまり、個々でやろうが集団でやろうがそこまで関係ないし、なんなら強制試練は2人か3人を犠牲にしてでもしなければならない物なので、個々でやる事は滅多にないのだ。
「とりあえず2個目はこれで良いとして……。次は……ん? いや、そんなことあるかな……」
――鬼視点
「ねぇメルちゃん、ほんとに捕まえに行かないの? あんなにかわい……じゃなくて、あんな絶好の場所にネクラさんがいるのに」
少し不満げな猫耳の和服少女を呆れた目で見つつ、もう1人のメルと呼ばれたプレイヤーも彼女が見つめる先――縄文杉で1人寂しくポツンと座りながら何事か考えているネクラを見つめる。
メルは猫耳少女と同じく和服を身に纏い、腰に3本の刀を差した独特のアバターで、最近ネクラが猫派だと聞いて恥ずかしいが猫耳を買う事を検討しようか本気で悩んだというネクラガチ恋勢の一人であり、元々ミルクとミラルが所属していたチームのリーダーでもあった。
今は『Moon light』の副リーダーを務める立場だが、その実力はランキング上位常連であり、現在のランクはネクラの解説動画のおかげで過去最高の6位をマークしていた。
その本業は女子高の教師なのだが、その件については良いだろう。
「みーにゃさん、気持ちは分かりますけど今回は相手方にお願いされてるんです。ネクラさんは追わないでほしいと」
「なんで~!」
「さっきの試合でも言ったじゃないですか。ネクラさんを追ってるとそれだけで時間のロスになりますし、海外の人や日本予選ではネクラさんなんて無視する人の方が多いので、その想定でやってほしいと」
「にゃ~! 分かるけどさぁ!」
交流戦が行われる前日、子供側の指揮官をしている私達のリーダーの元にハイネスという人から連絡がきた。
その内容は今みーにゃさんに言った内容と同じだ。
今回、ネクラさんは仲間内からもいないものとして扱われるので、そちらもいないものとして扱ってほしいとの事だった。
「っていうか、寂しがってるの見え見えじゃないですか。可愛い……」
「ほら、スクショ撮ったらさっさと次に行きますよ。まだ全然捕まえられてないんですから」
「は~い!」
実は、前回も噴水広場で寂しそうにポツンと座っていたネクラさんが可愛すぎて本人に気付かれないように何枚もスクショしてしまったのだが、それは私だけの秘密だ。
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