第134話 ネクラ杯詳細
解説動画の応用編を投稿して数十分、ようやく作業が終わったのでふーっと息をはいて頭からヘッドホンを外す。
ネクラ杯のホームページが完成したので、早速SNSにてネクラ杯の参加申し込みを開始する。
今後も同じように不定期に開催する可能性があるので、今回作成したホームページは今回限りではなく使いまわすことも可能な物だ。
こんなものを30分とちょっとで完成させたと言ったらプログラミングを齧ってる人に文句を言われそうだけど、そんなのは知らんと突っぱねたいね。
僕は人よりタイピングが早いので、パソコンでの作業が普通の人よりずっと早い。ただそれだけだ。
僕が作ったホームページにアクセスすると、まず最初に僕のアバターがばーんと大きく表示されてその後それが薄くなっていき、ネクラ杯の詳細がびっちり書かれた画面と参加に関する注意事項、後は応募フォームに続くURLが張ってある感じだ。
大会期間中には、この下にトーナメント表も表示されるので、確認が凄く楽になるはずだ。
今回のネクラ杯に関して、前回と変わった点は大きく2つだ。
1つ目は、賞金と賞品についてだ。
賞金が全て僕のポケットマネーから出るという点は変わらない(スポンサーが居ないので)が、今回はしっかりと優勝賞金1000万と表記した。
優勝チーム以外に準優勝のチームにも500万の賞金を出すので、僕の出費は大体1500万とちょっとだ。
高すぎるかと思ったけれど、お金に釣られる形で強い人が参加してくれたら盛り上がるだろうなという思惑があっての事だ。
実際、プロチームなんかが参加する場合は僕のグッズよりもお金の方が欲しいだろうし。
賞品に関しては、優勝チームと準優勝のチームでもちろん分けている。
優勝チームには僕のサイン入りオリジナルグッズか、僕のサイン入り色紙の選択。これは、メンバーの各々が選択した方を貰える。そっちの方が嬉しいだろうしね。
反対に準優勝のチームには、優勝チームとは別のサイン入りオリジナルグッズが人数分配られる。こっちには色紙の選択肢はない。
サインをすることは僕は望んでないんだけど、春香が絶対それにしろって言ってきたから、怖かったので従った。
前にマイさんが「あんまりサインを配るとレア感が薄れる」と言っていた件はどうするのかと反論したところ「優勝賞品で、その時限りのグッズにレア感がなくなると思ってんの?」という、至極まっとうな正論パンチを食らった。
ちなみに、このグッズや色紙を選択した場合は賞金がなくなる。
賞金と賞品、どっちを取るかはチームメンバーでよく相談してほしいと注意書きしている。
(賞金捨ててまでサイン欲しいかって言われると疑問残るけどなぁ……。僕なら絶対お金選ぶし……)
まぁそこら辺は分からないのでその時になってからのお楽しみだ。
2つ目の変更点は、試合の録画を許可している点だ。
もちろん録画しないでほしいと事前に相手チームに伝えて録画を禁止することは制限していないし、その件に関してもちゃんと明記している。
ただ、日本予選が近いので情報収集もかねて参加してほしいという思いから、この録画機能を活用してもらう事にした。
相手チームに情報を渡す代わりに、こちらも相手の情報を得る事が出来る。一種の賭けでもあるけれど、僕らが気付かなかった特異な戦術を使ってくる人がいた場合、その対処方法や戦術を録画しておくことで予習することも出来る。
まぁ録画は許可してるけど、決勝戦や準決勝をネット上で配信する事は無い。もちろん、録画したものを後日動画サイトにアップするのも問題ない(相手チームの許可を貰っていれば)
前回のネクラ杯と変わった点は、大きく言うとこれくらいだ。
後は試合毎にアバターの設定を変更出来るとか、通常キャラは使用不可能だとか、基本的なことだ。
それと、常時解放してるDMで今回の応募方法に異議を申してる人が何人かいた(全員女性)ので、応募が完了したらランダムで僕のアバターがお礼を言うプログラムを組んでみたりもした。
自分で確認した時は羞恥心で死にそうになったし、お前は何様なんだと何度も突っ込みを入れたけど……文句言われるより良いかなって思ったんですよ。
「ていうか、僕と話せなくなるからいつも通りの応募方法にしてって言ってたのはなんだったんだろ……」
僕は、チームメンバーになった人以外とは話した記憶がない。むしろ、知らない人と話すのは苦手だ。
それなのに、話せなくなるとはどういう事だろうか……。
「はぁ……。久しぶりにランクマッチ行こうかな」
確か、最近は旅行とか大会の準備とか交流戦とかが続いていたので、ろくに潜れていなかったはずだ。しかも、最近プレイヤー全体のレベルが上がったせいでランキング下位になってしまっているのもなんか嫌だ。
いや、勝率に関してはまだ100%なんだけど、僕の上に人がいるっていうのがなんか嫌って言いますか……。
ここ数シーズンはランキング1位を死守していたので、転落するのは避けたい。ていうか、転落したらいろんな人から何か言われそうだし……。
ちなみに、今の子供側ランキングにいる人は、僕らのチームで5人だ。
僕とミミミさん、ミラルさん、ミルクさん、サカキさんだ。全員勝率90%を超えているし、全員が僕より上の順位にいる。
ミミミさんは34位。ミラルさんは28位、ミルクさん51位、サカキさんが9位だ。
肝心の僕は89位なので、さっさと順位を上げないとランキングから追い出されてしまう。それは、絶対に嫌だ。
「やりますか……」
早速ランクマッチに潜るためにログインし、ギルドの応接室に戻ってくる。と、ここまで来てハイネスさんが『切り札にしよう』と言っていた設定について思い出す。
あれは、まだ試験段階だが海外のチーム相手にも18人生存で勝利を収めるという意味の分からない成果を叩き出した。もう少し煮詰めれば、世界大会でも有用な物になるだろう。
ランクマッチには潜りたいけど、未来の切り札についても考えたい。どっちを選択すべきか……。迷いは一瞬だった。
「行こっと……」
解説動画を出したせいで、数日後にはランクマッチのレベルが恐ろしく高くなる可能性が懸念される。そうすると、今より頭を使わないと勝てなくなる可能性があるので、必然的に長時間潜っていられるか怪しくなってくる。そうなる前に、出来るだけ順位を上げておきたい。
いや、解説動画第1弾の方が意味分からないくらいヒットしたせいでお金なんて稼がなくても問題ないし、むしろ今住んでるマンションを買い取ってもまだまだ余りそうな勢いだけど……いくらあっても困る物じゃないし。
頭の中で誰に言う訳でもない言い訳を考えた晴也は、そのままロビーに向かってちょこちょこと歩き始めた。
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やる気が、出ます( *´ `*)
この章が終わったらしばらく更新ストップします。
多分1ヶ月くらいですけど、必ず再開するので待っていていただけると嬉しいですm(*_ _)m




