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間話 驚愕

「ど、どうするんっすか……これ」

「ちょっと黙っててください……」


 交流戦初戦、ゲームが始まって1時間が経過した頃、相手の子供の人数は残り3人となっていた。

 なんでこんなことになったのか、偶然合流したミナモンさんもきょとんとしており、今まで指示を出してきた私でさえ頭に?マークを沢山浮かべていた。


 いや、海外のプレイヤーが化け物っていう考えは今でも変わってないし、強制試練中の子供が捕まったせいで子供側は既に敗北していた。だけど、私達はなぜか余裕もいいところだった。

 いや、その理由は単純明快で……。


「ネクラさんの事前情報のおかげっすよね……?」

「それ以外何があるっていうの……? 相手の指揮官の考え方の癖まで纏められてたら勝てない方がおかしいって……」


 なんとなく分かっていたけれど、あの人が纏めてきた情報は特に子供側の情報が詳細に纏められていた。

 その理由は単純で、私達に出来る限り情報を渡したかったからだろう。


 大会の映像を見まくったおかげなのか、相手の指揮官プレイヤーがどんな指示を好んで出しているのかとか、それに対する有効的な策まで事細かに纏められていた。

 いうなれば、完全版のrailgun攻略本みたいな感じだ。


「……シラユキさんからです。ちょっと待ってください」

(あの、多分残りの子供は縄文杉かその周囲20メートル地帯にいると思うんです。相手も負けるの前提で、次の試合に向けて対策立ててるんじゃないですかね?)

「そうですか。なら、マイさんとミナモンさんをそちらに向かわせます。多分抵抗しないでしょうけど、念のため監視をお願いします」


 こういう時、ネクラさんの攻略本によると、相手は負けると分かれば一か所に集まって生き残っている人達で次に向けての作戦会議を行うそうだ。


 これもさっきシラユキさんが言っていたことと同じだし、彼女もネクラさんの攻略本の内容を全て頭に入れているのであんなことを言ったのだろう。


 海外の化け物にも通用しうる索敵能力とプレイヤースキルを持ったマイさんと、海外のプレイヤー相手でもきっちり予測を当ててくれるシラユキさんがいるので、私がしっかりしていればこのチーム相手に負ける気がしない。


 一応、ネクラさんの攻略本の中身は今日までに20回以上読み返して一言一句覚えている。

 多分、1から全部作れと言われても問題なく制作出来るはずだ。


 あの人が纏めていたノートを最初に見た時にも思ったけれど、やっぱりあのノートを見て情報をしっかり暗記すれば、どんなチームでもある程度のプレイヤースキルさえあれば安定して勝利することが出来るらしい。

 おかしいんじゃないの、あの人……。


「ミナモンさん、今すぐ瞬間移動で縄文杉に向かってください。作戦会議の時間なんて与えたくありませんので」

「了解っす!」


 いや、相手の指揮官全員の考え方の癖をネクラさんが見抜いている時点で、相手が次にとってくるであろう行動はある程度予想出来る。

 でも、念には念を入れておきたい。


 考え方の癖というのは誰にでもあるけれど、癖というのは誰かに指摘されない限り自分では気付けないし、上位プレイヤーになればなるほど癖には気付きにくくなる。

 なぜなら、同じ状況でも過去に出した指示をそのまま使いまわすことが少ないからだ。


 でも、ネクラさんなら誰か(もしくは自分)を犠牲にして状況を確認する癖があったり、私だったら相手の行動を予測してから作戦を立てる事だったりと様々だ。


 ただ、ネクラさんレベルになると相手の癖を瞬時に見つけて、その癖を利用する作戦を思いつく。そこがあの人の怖さでもある。

 初めて戦った時も毎回毎回変なことをしてきて怖かったけど、これはまた別種の怖さだ。


「そう言えばシラユキさん、今回は初めて海外の人と戦ったはずですよね? なんで日本人と戦う時同様、予測をピタリと当てられたんですか?」

(実は、皆さんが貰ったファイルとは別に、私にはもう一つファイルが送られてきたんです。予測の手助けになればって事で……)

「……一応、どんな内容だったのか教えていただけますか?」

(皆さんに配られたファイルは、指揮官の人の考え方の癖とか、子供のプレイヤーが逃げる時にどういうルートや逃げ方をするのかってことまでしか書いてませんでしたけど、オマケのノートには子供陣営のプレイヤーが普段どんな逃げ方をしているのか。その癖や傾向までビッチリ書かれてたんです。子供の情報はハイネスさんが丸暗記してくれるはずだから、シラユキさんはこっちを重点的に覚えてくださいって言われて……)


 どこまで準備が良いのか、あの人は……。

 遠足とか旅行で、念の為にと持っていく折り畳み傘を2本や3本持っていきそうな人だ。

 別にそこまでしなくてもよかったのではないだろうか。ここまでスラスラ捕まえると、チート行為を疑われそうで怖い。


 いやまぁどちらのチームのリーダーも、この交流戦は全試合録画するはずなのですぐに冤罪は晴れるだろうけどさ……。


(あ、勝ったみたいですね)

「はぁ……。終わったら色々と言いたいことが出てきました……」

(あはは……。よく分かりますよ、その気持ち)


 次の試合に映るというアナウンスが聞こえてきて、私とシラユキさんはその場で乾いた笑いを漏らした。

 次の戦いの舞台は天空城。公式のホームページには載っていない、超激レアステージだ。

次の更新は水曜日です。

あと、次回はいくつか謎解きがあります。


投稿主は皆様からの評価や感想、ブクマなどを貰えると非常に喜びます。ので、お情けでも良いのでしてやってください<(_ _*)>

やる気が、出ます( *´ `*)

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