第126話 事前情報
2日後、僕は交流戦をする相手チームの情報をあらかた纏め上げたのでメンバー全員にそのファイルを送信して眠りにつこう……と思っていた数秒後、ハイネスさんや香夜さん、他複数人からとんでもない数のメッセージが飛んでくる。
何かミスでもしてたかな?と心配になってすぐにその内容を確認すると、どういう訳かその全てが1時間後にギルドの会議室に来てくださいとのものだった。
いや、ミスがあるなら今指摘してくれた方が直す時間が作れるからありがたいんですけども……。
という事で、きっちり1時間後に会議室に集まったのは、僕を含めて15人。うち9人は女性メンバーだった。
集まっていない他の人達は仕事だったりで都合がつかなかった人達だ。
まぁ、土曜とはいえ今は14時と真昼間だから仕方ない気もするけども。
「で、何かありましたか……?」
オドオドしながらそう尋ねると、代表としてなのかハイネスさんが立ちあがる。
この場に春香がいないのはなんでか分からないけど、多分ろくな理由じゃないので深くは考えない。
「何かありましたかじゃないですよ! なんですかあのファイル!」
「え、な、なにかありました……?」
「違うんですよ! なんでたった2日で海外のチームの情報をあれだけ集められたんですかって聞いてるんです! なんで各々のプレイヤーの癖まで書かれてるんですか?」
「だ、だって……ここ2日は寝てない――」
「こんなくだらないことよりご自身の健康を優先してくださいって、前にも言いましたよね!?」
いや、確かにそんなことを言われたような気がするけど、そんなに怒られるようなことをしたのだろうか。本気で分からない。
僕にとって眠らないなんてことは日常茶飯事だし、むしろ3時間眠れれば良い方だ。
ランクマッチに潜る気も起きない日は10時間以上寝るけど、逆に言えば、それ以外の時はろくに寝ていない。
今まで数年その生活を続けてきて、特に身体的な異常が出ていないので問題ないと思うんだけど……。
「ネクラさん、マネージャー経験のある一大人として言わせてもらいますけど、しっかり睡眠はとらないとダメです。いや、寝てないとしても2日であんな綺麗に情報纏められるのも大概おかしいんですけど、それでもです」
「……なんか、すみません」
ミミミさんにマジ顔で言われるとほんとに素直に謝らないといけない気がしてくる。
しかも、嬉々としてってよりは本気で心配されてる感じだから何か反論しようって気にもならないし……。
「分かりました? 今度やったらライにお願いしますからね!」
「……善処します、はい」
ライの場合、ハイネスさんからの頼みなら気絶させてでも眠らせてくるだろうし、最悪食事に睡眠薬を盛られる可能性もある。
いや、冗談とかじゃなく、そういう事をやりかねない人なんだ、春香は。
外面が良いせいで皆そのことには気付いていないけど、それだけは絶対に回避したい。
というよりも、気絶してるなら寝てるのと同じって考えはどこの戦闘部族だよと冷静に突っ込みたくなるけど、本気でそう思っていそうだから笑えない。
「で、話は戻ってあの情報に関してです。まず聞きたいんですけど、あの情報のソースはどこなんですか?」
「情報元ですか? 彼らが今まで出場した大会やランクマッチでの目撃情報、後は、各々のブログからです。英語はちょっと苦手なので、思ったより時間かかっちゃったんですけど」
僕はマリーアントワネットが好きな関係上、英語よりもフランス語の解読の方が得意だったりする。
なので、英語は正直苦手だ。
日本語とところどころニュアンス的な物が違うし、同じ単語でも学校で習うのと意味が違ったりするから解読にちょっとしたコツがいる。いわゆる、生きた英語ってやつだ。
現地の人は日本人ほど英語の文法なんて気にしないし、日常会話では文法なんて滅茶苦茶になっているから学校で学んでいるだけだと海外の人のブログなんて絶対に読めない。
いかに学校教育が無意味な物か分かるだろう。
「いや、それには同意ですけど……。じゃなくて、どうやったらここまで正確なデータをこんな短時間で纏められるんですか? それを知りたいんですけど」
「と言われましても……。うちには複数台パソコンがあるので、1台でそのチームの大会動画を倍速で流して、その横でブログの解析進めて、ランクマッチの目撃情報をダラダラ探すって感じですよ? 相手はプロのチームなので、ランクマッチでの目撃情報を集めるのはそんなに難しくないですし」
「大会動画倍速って……それ、見る意味あります?」
「ありますよ。凄いプレイが出ればコメントが一気に早くなりますし、海外だと解説まではなくとも、実況をしてる大会もあるので、その人達の反応で要所を抑えます」
正確には、なんか画面がうるさくなったなと思ったらその試合の最初まで巻き戻して画面に集中するって感じだ。
一試合2時間の試合をダラダラ見るなんて、余程暇じゃないとできないので、そういった感じで見た方が効率が良い。
「疲れてきたらどうするんですか?」
「ん〜、とりあえず大会動画の方を止めて、音楽流しますね。音楽聞きながら、ブログの解析とかします。その時に自分のSNSチェックしたりとか……」
「は、はぁ……」
ブログの解析に体力なんて使わないので、疲れてもそれは継続出来る。
ただ、情報の海から何かを探す行為はそれなりに体力を使うので、本当に疲れていたらそれすらも中断してSNSの巡回に移行する。
まぁ、僕の場合はそれをやっても10分とかだけども。
「あの、ネクラさん……私からも聞いていいですか?」
「ミミミさん? どうしたんですかそんなに改まって……」
「いえ、どうやったらこんなに分かりやすく資料を纏められるのか、純粋に知りたくて。社会人として……いえ、個人的にそのコツを知りたいんです」
「コツって言われても……僕の中じゃ、これ雑な方なんですよ? ランクマッチの勝率を現した表のサイズとか適当だし、文字の配列なり要所で使ってるフォントの色とかもバラバラなので……」
「それでも! 教えてください!」
大人の女性にぺこりと頭を下げられると断れないので、自分なりの考えを伝える。
といっても、僕の知識はほとんど独学で身に着けたものなので参考になるかどうかは分からないし、学校で習わないような専門的なことも織り交ぜているので、本当に参考になるかは分からない。
なんでそんなことを独学の僕が知っているのかに関しては、そういう情報は調べればネット上にいくらでも転がっているからだ。
教科書に載ってる内容はネットで調べれば全て出てくるし、教科書に載ってないような専門的なことや応用的なことも、調べ方次第で知ることが出来る。
まぁ、一番は僕がA型で、変なところだけは几帳面っていうのが理由だけども。
「なるほど。大変参考になりました」
「いえ……。というより、キリスさんは仕事って言ってましたけど、ミミミさんは良いんですか?」
「この情報の纏め方をどうしても聞いておきたかったので、午後から休みを取りました」
本当にそれでいいのか、大人でしょあなた……。
その数日後、アメリカのプロチームとの交流戦が始まった。
最初は、僕が初めに考えた隠れる編成で勝負することになった。
明日も更新します〜
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やる気が、出ます( *´ `*)




