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1日目 昼~夕方

外の運動場には騎士たちの練習に使われたであろうボロボロの丸太があり何となく何をするかは理解できた

雄二は盾を地面に置きけだるそうにあたりを見ている、咲も同様に少し離れている


「お前らはステータス的に近接戦闘が向いていると判断されたものだ、各クラスごとに担当の教官をつける」


筋骨隆々のパワータイプであろう男性はそう言うとランクごとに並べ教官らしき人物に連れていかれた、因みに俺たちの教官はいなかった


「どうするかね、どこか戦闘を教えてくれそうな人がいる場所はなんかないか」

「どこでもいいが、なんでめぇが仕切ってんだ」

「おっと失礼、では聡明な雄二殿。無知で愚鈍な私にご鞭撻のほどお願いいただけるかな?」


そう言うと雄二は舌打ちし好きにしろと言い残した、取り敢えず先ほどの筋肉に話しかけた


「すいません、自分らの教官がいないんですけど」

「ああ、すまないな。経費が足りなくて、好きに活動していいぞ」

「うっす」


なるほど、男の視線はどこか憐れみを感じ他とは違い自由に活動できる点から見て騎士でも抑えれるほどのステータスと言うことか


「城下町に冒険者ギルドハウスがあるそこならある程度の訓練はできるぞ」

「了解です」


雄二達を連れ、件のギルドハウスへ。城門から見える噴水のある広場に周囲の家よりも巨大な家屋に目星をつけた

街道には露店などが集まっていて店主と客の値引きや呼び込みの声が飛び交う、目的の建物の扉を開ける前に雄二が止めた


「まて、こう言うとこって冒険者登録とかで金が要るんじゃないか?」

「あー確かに、よく知ってるな」


そう言って何か金目の物を探すがこれと言った物もなく、財布から500円玉を三枚取り出した


「これで誤魔化せねぇかな?」

「千円札は?」

「こっちで使えないから紙切れ同然だ、まだ金貨っぽい500円の方が良いと思う」


建物に入り受付に向かう、座っていた女性はこちらを見て体を向けなおした


「ご用件は?」

「冒険者登録ってできますかね?」

「はい、後ろのお二方も登録でよろしいでしょうか?」


頷くと前にステータスを表示させた板を出し受け取った、変わっていないステータスが映りそれを返し紙に簡単な情報を記入すると完了した


「なんか登録費とかいらないんっすか?」

「外で話しているのが聞こえまして、こちらのクエストで登録分の金貨を差し引いておきます」


出された紙にはゴブリンの討伐と書かれており場所は城壁のすぐそば、ギルドの職員が同伴し初心者に軽く説明するといった物で所謂チュートリアルだ

付近の山にゴブリンの住処があるらしく時折、山から下りて城壁周りに住処を作ろうとするので定期的にこういったクエストが出ているらしい、早速集合場所に向かう



城壁をたどり目的地に向かっていると違和感を感じた、血の匂い、ぬかるんだ地面からは吐しゃ物の匂いも感じられる

後ろにはハンドサインで静かにするように促し、腰を落とし土を掬う。吐しゃ物は最近の物らしく温かみを感じる内容物は一緒で同じ人間の物だ血も同様で一人分

血痕をたどると雑木林にたどり着いた、短剣を抜き進む


「あれは、火?」


薄暗い雑木林の中で明るいモノが飛来し俺の顔を襲った


「ぐぁ?!」


何が起きたかわからなかった、熱い、眩しい



廃墟と化した市街地に赤いレーザーが指す、誰かが叫び俺の体を引きずっていく

次に見えた聞こえた、感じたのは熱波、爆炎、爆音



その場にとっさに体を地面にこすりつけ火を沈下する、幸い地面はぬかるんでいたおかげですぐに消えた。まただこれは誰の記憶だ?

脊髄が熱を発し顔に水魔法をかける、顔をさすりアイツの様にフライフェイスになってないか確認し木の陰に隠れる


「アイツ?いったい誰だ?あの記憶は?」

『マスター、火属性魔法を会得しました』


思考を遮ったのはビスティスの事務的な声だった、木から移動し火の飛んできた元へ向かっていく。

昔より体なまったか?半分の力すら出せてない気がする

雄二も同様に移動するが盾の重みで避けるのに苦労している、咲はどこを見てもいないことから気配遮断を使っているのだろう、一息ついていると喉元に剣先が迫った

足を滑らせ剣をくぐり剣の主を見ると明らか盗賊と言った風貌の男だった、短剣を男の太ももに突き刺しそこから相手の脚を蹴って転ばせる、転倒した男に抵抗する隙を与えず頸動脈を切断

服から金貨の入った袋を頂戴しほかの盗賊を警戒する

後方から迫ってきた矢を回避、木の陰に隠れそこからダッシュで移動


「ビスティス、敵の位置は?」

『目標を設定、マッピングしました』


眼球と脊椎が熱くなり4本の木が赤く見える、ホルスターからUSPを抜きスライドを引く


「…状況開始」


口から洩れた言葉はあまりにも自然で違和感を感じなかった、矢を回避しながら回り込み短剣で一人しとめる、胴をつかみ盾にしながらUSPで牽制

短剣を抜き近づいたところで投擲し一人が血しぶきをあげながら絶命、死体を捨てまた駆けだす

鍵縄を取り出し投げるとうまくもう一人をとらえ飛んできた矢をスライディングで回避、そこから鍵縄を手繰りよせ体制を立て直すとUSPでヘッドショット、最後の一人は鍵縄で上手く肉がえぐれたおかげでとどめを刺すまでもないほど失血していた

金貨と弓と矢を一式奪い雄二の援護に向かう



剣戟の音と盾に防がれる音が聞こえるのと共に矢をつがえる、隠れた木から顔をだすと盗賊と目が合った


「くそが!」


弓を押し付け喉ぼとけに矢が刺さり押し込む、安否確認で倒れた盗賊の頭を蹴り異常な方向に曲がったことと反応がないことから安心しもう一度矢をつがえた

雄二は大きく動くのでうまく盗賊だけを狙えず、断念し雄二に注意がいっている盗賊の首を切断しUSPでもう一人をしとめた 

銃声で空気が張り詰めた、雄二も盗賊も

その瞬間に一人を射殺しその一人から剣を奪い一刀両断、力の限り切り下げたおかげか胴体は綺麗に切断できた、最後の一人をしとめようと剣を振り上げると雄二の剣とぶつかった

USPでその場でしとめたが雄二は俺に近づき体を押した


「なんで銃を持ってるだ?!」

「スキルの『工作』で作りましたが?」


雄二は少しうつむくと俺を殴った


「なんで…人をそんな簡単に殺せるんだ?」


顔を上げた雄二の目は恐怖と人ではない何かを見る目だった、それにどこか見覚えがあり頭が痛む


「俺が二度目の転移者だからだ」


このことは俺だけの秘密にしようと思っていた、しかしこの情報はCランクの皆には教えていいと思っているのはなぜだ?

自分の意志で考えを制御できない、俺は何を忘れた?




夕方 ラセーノ城 Cランク用兼使用人用宿舎




「とういう、わけだ。俺は前に神の使者として似たような世界に呼ばれて無双してた。証拠はと言われると出せないがある程度の戦闘技術はある」


USPとマガジンを出して俺はテーブルの先を見据えた、雄二は欺瞞、幸奈は興味、里香は呆然、咲は…わからない


「じゃあ、その武器を今作って見せて」

「それだけはできない、作ることはできるが一人にさせてくれ」


そういうと、里香が口を開いた


「そんなに力があるなら上のランクに行けばいいんじゃない?」

「そうしたいのもやまやまだが…横井の件があるからなかなか上がる気にはなれんし上がれるのかもわからない」


俺は全員に一つの質問を投げかけた

いや、取引だ。悪魔か天使との契約

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