表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
六道転生~異世界にクラス転移で俺だけ魔王になった~  作者: 天道真人
第一章 戦士と魔王の卵
7/67

第六話 敵、襲撃(クラスside)

 顔をしかめながら石井が立ち上がった。重い足取りで訓練所に戻っていく。石井が訓練所に入った瞬間、もう片方の扉から入れ替わるように山本が走って入ってきた。

そしてそのまま柳生が置いた木刀を持って後ろから木刀を振り下ろした。


「おらああ!!!」

山本が叫ぶ。


 柳生は少し振り向くような仕草をとると間接視野木刀を回避し、自分が投げ捨てた木刀の許へ素早い動きで移動しノールックで拾い振り返ると同時に木刀を振った。刃部と刃部が交じり合う。互いに押し合い、互いの木刀が弾かれる。


 山本は一瞬で次の攻撃態勢をとり横一直線に振った。柳生は目のラインを通ることを予測し、頭を少し後ろに下げて攻撃を回避した。そして腹部を突いた。そのまま押し込み山本と距離をとる。


 柳生の一番攻撃を繰り出しやすい間合いをとり、木刀を振る。山本はすぐに木刀で受け止め、二人は鍔迫り合いの状態になる。木刀が軋む音がする。辺りの空気が一変する。

 密かに人気の高い柳生が戦闘する風景に女子達は釘付けになっていた。担任の若林は何故か気が気ではなさそうな顔をしていた。


「てめえ陸斗に偶然勝ったからって調子乗んなよ?」

山本から放たれる気迫は、石井をも超えていた。


「君は石井より強い。でも、そんな感情に頼った乱暴な攻撃じゃあ軌道が見え見えで当たりやしない」

柳生がいつもと変わらぬ表情、口調で言う。そんな柳生に腹を立て、鍔迫り合いの状態を解くと、切っ先を柳生に向けて構え、突進してきた。


「スキル 剣術!!あいつの言うことが本当なら柳生を殺せるよな!!」

山本が吼える。柳生の両目が見開かれる。柳生は覚悟を決めて受けの姿勢を見せた。


 木刀が縦に振り下ろされる。

 木刀がそれに合わせて横に振られる。


 ――飛散。


 2つの木刀はおかしな軌道で弾き飛ばされ庭をかこむ生垣に突き刺さった。葉が散る。


「ぐあっ...!」「うっ...」

互いに痛みから声を出す。山本の手首は赤く腫れ、柳生の指は異常な方向へ向いていた。


「いいね、二人とも。良い戦いを見せてもらいました」

二階堂が拍手しながら二人へ近づく。そして二人の怪我した部位を見た。


「丁度いいですね。西村さん、こちらへ」

二階堂は振り返り、西村を探し、指名した。西村は露骨に嫌悪感を表した表情をする。


「なんですか?」

西村が二階堂を見上げ、問う。


「あなたのスキルで二人を()()させてあげてください。マナを消費すれば使用できますよ。」


「え、いやです。この人達に使うのもったいないし」

そういって少し笑みを浮かべる。まるで二人を嘲笑っているかのようだった。


「そうですか。ここでスキルを使えば練習になるしいざとなったときに不手際なく使用できるようになると思ったのですが......マナも自然回復しますしスキルレベルを上げるためにもなるからデメリットは無いように思われますが......あなたがそうおっしゃるなら意見を尊重させていただきます。」

二階堂が圧をかけるように言う。西村が少し遅れて言った。


「な、なら使う…よ…どうすればいいんですか?」


「二人の患部に触れてください。そして回復スキルを使用するイメージを持って。」

西村はまたも嫌悪感を表す表情をしながら柳生と山本の患部に触れる。幹部を白い光が包む。光はすぐに消えた。山本の手首の赤い腫れはひいて元通りになり、柳生の指は正常な向きに戻った。


「できた!」

思わず声を出して喜んでしまった。あとから恥ずかしくて顔が赤くなった。


『スキルレベルが2になりました』

テロップが頭の中に流れる。おお~!スキルレベルがあがった~。これで莉愛とか怪我したときにちゃんと治せる!!


 西村はとてもうれしく思っていた。自分が誰かの為に目に見える形で役に立てたのがまるで周りより自分が上の存在だと感じれてとても喜ばしかった。


(柳生は序盤にしては相当強い…見合う相手が見つからないな......まさか()()()()()()()()()()とは…彼の実力を舐めていた。さて、俺が練習相手をしてやるか。

 山本に関しても次手を繰り出すまでの間隔が短い。迫り合いになって弾かれても一気に多段攻撃を仕掛けられそうだ。)

二階堂は真剣な眼差しで柳生と山本を見つめ、どう使うか思考した。


「執事さん!七体の悪魔を倒すっていってもどこにいるかわかるんですか?」

思考を阻害された。だが、重要な質問だった。質問者は…相原か。


「いい質問ですね、実は、わかりません。」


「えー」というような失望する声が上がる。


「七体の悪魔・・・七つの大罪はまだ誰にも倒されていません。故に何処にいるかもわかりません。ですから皆さんで街へ行き、仕事をこなしていきましょう。求人エリアがございますので、そちらで仕事を探し、徐々に七つの大罪につながる情報を集めましょう。大丈夫です、魔族を倒していたら自ずと道は見えてきます。」

二階堂はここで()()()魔王も大罪スキルを求めているとは言わなかった。


「では、街へ行きましょう」



 約2kmの道を一行は歩いて魔族に支配されていない街、《ボイル》に向かった。

2-5の人たちは歩き疲れたのか途中途中歩みを止めて休憩していた。


 ボイルに到着すると門番の人に二階堂がカードのようなものを見せ、ボイルへ入る門をくぐった。


 ボイルは大きく、たくさんの建物があり発展していた。ただ、ビルのような高層建築物はなく、高くても3階くらいまでの高さだった。地面は石タイルで街は大きな壁で囲まれていた。人が多く、忙しそうに仕事をしていた。


 線路のようなものや道が複数あり、たくさんの村や町とつながっていた。電車が激しく往復する。


「うぉおおすげええ!!」

久しぶりの発展した場所に石井は興奮して周囲を見渡す。ボイルを見渡し日本とは違った街の形に皆感動を覚えていた。


「こちらになります」

二階堂は求人エリアで止まった。


 仕事内容が書かれた求人看板がたくさん壁に掛けられたり立てられたりしていた。


 二階堂がすべての看板に一通り目を通し、仕事を決めた。

「皆さんにはこれからこの仕事をしてもらいます。」

二階堂が指さした看板には〈求ム戦士、来ル屍人(ゾンビ)〉ノ襲撃ヨリ、村ヲ護衛スル〉と書かれていた。


「ぞぞぞゾンビ~!!???」

財前悠太が叫ぶ。


「はい、皆さんにはゾンビ退治をしてもらいます。」


「怖ぇ~!!」「嫌だな......」「面白そ」

様々な声が上がる。


「皆さんの初仕事ですね。毎晩襲撃がある村を皆さんで護衛しましょう。私とセラ様含め35人でかかれば簡単にこなせます。それに、七つの大罪に繋がる何かも判るかもしれませんしね」

二階堂はやる気溢れる顔でそういうと携帯電話を取り出し村長へ電話をかけた。

 デルガルドにもスマートフォンのような携帯はあるようだ。


「なあ執事、七つの大罪七つの大罪ってさっきから言ってるけどよ、七つの大罪って何?誰なの?」

石井の取り巻きの一人、中川漣が訊いた。


「いい質問ですね。七つの大罪とは人々を罪へ導く感情を持つ大罪人に与えられたものです。

一人、傲慢の罪・ルシファー。二人、憤怒の罪・サタン。三人、嫉妬の罪・レヴィアタン。四人、怠惰の罪・ベルフェゴール。五人、強欲の罪・マモン。六人、暴食の罪・ベルゼブブ。七人、色欲の罪・アスモデウス。


 この七人の悪魔が七つの大罪です。同時に、その罪名のスキルを所持しております。この七人の悪魔はかつて地下牢に服役していたのですが、ある日アスモデウスをきっかけに7人の大罪人が脱獄致しました。


 奇しくもその日は四大魔王の封印が解かれた日でした。この七つの大罪を討伐することができれば、四大魔王に繋がるのかもしれません。


 そして、言い忘れてましたが、大罪スキルは()()()()()()()()()()()。」


「魔、魔王が?!それやばいんじゃね」

山本が同意を求めるように石井を見る。そして一瞬、蓬莱を見た。


「それな。魔王とか来たら俺ら勝てなくない?てか魔王って」

石井は嘲笑した。一瞬見られたことに気付いた蓬莱は何を言うでもなく、いつも通り沈黙したままだった。


「35人なら大丈夫です。勝てますよ。村長さんと連絡もしたので今から向かいます。あちらの電車にのっていきます。」

そういって二階堂が指したのは今にもどこかが壊れそうな電車だった。日本とは違いホームのようなものはなく、止まっている電車に直接乗り込むような形だった。


 一行は電車に乗り、ギシギシと不安な音を立てながら進む電車に身を任せて護衛する村へと向かった。



 電車に揺られること3分。護衛する村は意外と広く、村人も多く住んでいた。ゾンビに壊されたと思われる傷が村の施設中に見られる。


「ついた~!!」

財前が真っ先に降りて大きく背伸びをする。


 本村は激しく揺れる電車に酔い、下車すると、村の川に嘔吐した。他にも数人、激しく揺れる電車で酔った者がいた。


 2-5は下車後、しばらくその場で待機するよう二階堂に言われ、喋るなりはしゃぐなりで時間を潰していた。


 しばらくすると二階堂が戻ってきた。


「村長に挨拶してきました。では、準備に取り掛かりましょう。

 皆さん、この荷袋から一人一本斧を取り出してください。そしてそこの植林場の木を伐採していってください。木を切ったら私を呼んでください。私がスキルで村の壁をつくります。皆さんはその素材を集めてほしいのです。」

二階堂が荷袋から斧を取り出して皆に分けた。そしてそれぞれが斧を持って植林場へ向かった。


 訓練所で鍛えたことがすぐに表れている。二階堂の特殊訓練コースはこの世界で生活するための最低限の強さは手に入れることができ、ゴブリン程度の魔族なら一人で倒せるほどの内容量のものだった。


「ねえねえ執事さん!岩でもいい?」

明るい声で尋ねるのは女子のリーダー的存在である赤座優奈だった。あまり高くない身長の割には健康的に育った胸は男子の視線を集める。


「はい。岩の方が強度はあるのでありがたいですね、今向かいます。」

二階堂は煩悩に視線を操られずしっかり目を見、話した。当然と言えば当然かもしれないが。


 そうして村の壁が建設された。壁と言っても胸くらいまでの高さだが厚みはあった。


「ゾンビを倒すには頭を攻撃するのが一番です。頭を撃ち抜けばゾンビは蒸発して消えます。

 その際、倒した人は経験値を手に入れることができます。自身のレベルを上げて強くなるために頑張りましょう。

 では、このこちらの拳銃をお使いください。」

射撃に関してはすでに実弾を使用して練習済みだ。あとは実戦で使えるか否か。


 増本が唐突に全員集合するように言った。村の公民館を借りて増本が作戦を提案した。壁建設時に考えた作戦を全員に告げる。


 夜が来た。


「ううううう」

地を震わせるような低く不気味な呻き声とともにゾンビの群がやってきた。腐敗臭が離れていても村まで届く。幾月も放置された死体がそのまま蘇ったような姿をしていた。


 目は白目を剥き、全身青緑に変色しており、所々に苔が生えていた。ゆっくり迫ってくる。


 増本が叫んだ。


「作戦行動、開始ぃいい!!!」


 村全体に銃声が響き渡る。


 初めての戦闘が――今、始まった。

ここで新しく登場した2-5のみんなを紹介します!!

財前悠太、中川漣、赤座優奈

クラス単位だと数人まとめて追加とかあるので本文で書ききれないのはこちらで書こうかと思います。番外編みたいなのでクラス全員のステータス紹介とかしたいですね

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ