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やさしい魔王の物語  作者: 鬼龍崎
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友への死刑宣告

未来のために、親兄弟に続いて友まで、手にかけるアースロイド。そして、その苦痛を理解するクラリス。二人の思いは、同じである。

[アースロイドサイド]

アースロイドは、今王城の玉座に座り、その横には、クラリス将軍と、その妻が控え、眼の前に控える貴族どもを見下している。「さて、次の粛清の貴族を伝える」その言葉に、ある者は、お互いを見つめ合い、また、ある者は、俯いて震えており、また、ある者は、天に祈っていた。

「その者は、メリダ伯爵の領地とする。」その名に、安堵する、薄汚い貴族ども。ただ、一人だけ、声をあげた者がいた。「お待ちください」クラリス将軍だった。

「メリダ伯爵は、陛下の真の友では、ありませんか。そのような方を手にかけるのは・・・・・」と、ワザとらしく、大声で窘める。だが、「真の友?それがどうした。私に歯向かう者は、誰であろうと関係ない。私は身内でも、平気で殺したのだぞ、今頃になって、友もなにも関係あるまい。」そして、不気味な笑みを浮かべて、「では、将軍自ら伝えて参れ。近直、滅ぼしにいくとな。ワハハハハ。」


そして、メリダ領内。

馬に乗り、メリダ伯爵邸に向かう、クラリス将軍の姿があった。

クラリスは、アースロイドとの二人だけの会話を、思い出していた、「ダリス=メリダを殺す」アースロイドが伝える。「なぜです。あの者は陛下の考えを理解し、必ず協力してくれましょう。あの者ほど、頭の切れる者はおりますまい。それに、私達の真の友ではありませんか。」

「自他共に認める真の友だからこそ、恐怖を植え付けるには、ヤツの。ダリスの命が必要なのだ。友でも殺す魔王でなければならない。クラリス。お前もわきまえよ。」その顔は苦痛に歪み、握った手からは、爪が食い込み、血が滴り落ちていた。



「わかりました。陛下。私も魔王軍の将軍として、なすべき事をなしましょう」

そう言って、ダリス邸の門をくぐっていった。

互いの心情を理解して、決断する、友同士。もう言葉は、いらないぜ。

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