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Hearts  作者: 昏月 うつろ
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序章


「ーーー番組の途中ですがここで臨時ニュースの発表です。クサムラ研究員からの緊急発表です。10秒間の画面の暗転の後に自動的に映像を切り替えます。」


「人類諸君。人の心とは何なのか考えたことはあるだろうか?カタチがないもの、みえないもの、さわれないもの。それでもあると信じられている人の心。私はそれをいつか解き明かしてみたいとずっと願いながら生きてきた。人は心なくして生きられない。それなのに心が何か何一つ証明できないままで人類の叡知を!可能性を!語ってしまってもいいのだろうか?

勿論答えは否である!私は今!この時を以て長年秘されてきた〈人の心を解き明かす研究〉を始めようと思う!この研究には既に研究者100人以上が協力を惜しまないといってくれており、人類叡智研究政府機関からも先程承認を得ることができた!私はここに約束しよう!人類はついに人らしさの根源たる心のすべてを解き明かすことができるのだ!この研究で私は必ず人類が満足できる成果を示してみせよう。仮説は既に終わっている。今回の研究は実験して証明するだけである!人類諸君。期待しててくれ。」


「以上で人類叡智研究政府機関-通称〈UWSG〉からの緊急発表を終了します。これより10秒間の画面の暗転の後に通常の配信に自動的に切り替わります。ご静聴ありがとうございました。」機械的なアナウンスが流れ、画面がブラックアウトした。


「見事な演説です、(クサムラ) 圭人(ケイト)研究員。」

「ほんとは30分近く演説しなきゃいけないものなんだけどあれぐらいでいいのかな。一片(ヒトヒラ)研究員はどう思う?」

「高名な叢 圭人研究員のありがたい演説だから短くてもいいのでは?普通は研究成果を発表するものですけど今回のは研究に着手したって報告ですし。それに国民の皆さんも満足してるようですよ?」

そういいながら耳を澄ますとなるほど確かに明るい声がそこかしこで響いていた。まあ今までの成果から期待されてるということなのだろう。その分好きなことができるのだからありがたい話だ。

叢 圭人研究員と呼ばれた黒髪黒目の青年と一片研究員と呼ばれた白髪青目の男性。彼らは共に高名な研究者である。研究者とは人類叡智研究政府機関(UWSG)に所属する人類を叡智に近づける研究を専門に扱う者たちのことでその研究成果は人類を大いに発展させた。その功績を最大限に活用するため研究成果の売買や技術・知識の公開などを限定的に許可することで他国を吸収、人類すべてを管理するほどまでに巨大化した。そのため政府機関といっても研究専門、成果管理、人類統治、機関監視などに細分化されておりその全容を知ることができる者は少ない。そんな中でも叢 圭人研究員と一片研究員は研究においてトップクラスの成果をあげており人類叡智研究政府機関の全容を知ることのできる数少ない研究者だった。

叢 圭人研究員は主に人の心の動きや感情のプロセスを明らかにし、一片研究員は人体の発するエネルギーの活発化や無意識化における本能の解明に貢献したといわれている。


人類叡智研究政府機関(universe wisdom study government)

UWSGともいわれる機関だがこれは叡智研究の成果を売買、限定公開することで他国を吸収していきついには全人類を支配下においた組織の自称である。最初は1研究機関が政治の真似事などふざけるなと自国政府からは一蹴されていたが小国を研究成果を駆使して乗っ取りそこから支配領域を拡げていったといわれている。

人類すべてを吸収した今となっては各地方のバランスを取ることと叡智への研究の指揮・管理を主な役割としておりオンライン回線からの専用チャンネルを通して指示を出している。あくまでも噂に過ぎないがUWSGは一人で運用されてるとの話もあり、その詳細は明らかにされていない。


ここは研究機関によってすべての人類が管理されている世界である。

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