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剣の王と七つの魔宝刃  作者: 水無月 平
魔剣エラディオン
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封印処置

 



 魔剣は所持しているだけでも持ち主に影響を及ぼす可能性があるため、イルジオたちは回収方法に困っていた。


 しかし、しばらくするとシュトナが何か思いついたようで、ひと通り思案した後ある提案を出した。


「取り敢えず私の魔法で魔剣の力を抑えみるわ。完全とまではいかないけど、たぶんある程度はできるはず」


「そんなことができるのか?」


 人間を魔物に変質させる程の力を持つ魔剣を封じ込めるのは難しそうに思え、イルジオは思わずそう尋ねた。


「ええ……と言っても魔剣から滲む力程度しか処理できないから、持ち運べるようになるだけで使用することはできないわよ」


「了解した。それじゃ頼む」


 シュトナの答えを聞き、ニクも反論などしなかったためイルジオはシュトナを信じて任せた。


「ふう…………よし!」


 シュトナは一度呼吸を整えて魔法を使う準備をする。イルジオに対しては軽く言ったものの、シュトナが行おうとしているのは相当に至難の業だ。


 ある空間の封印ならば、その空間を指定し固定する一つの魔法だけですむが、空間魔法を使って物体を起点にした封印を施すには、その物体が空間に及ぼす影響を識別する魔法と空間固定の魔法の二つを使う必要があるのだ。


「いくわ」


 地に刺さる魔剣を見つめながら、シュトナが言った。



「境界よ線を引け


 変化の中の不変


 不変の中の変化


 区別し記憶せよ


 ––––空間識別(ケージハイレ・ソル)型式設定(カッツェキース)


 シュトナは一つ目の識別の魔法を維持しながらもう一つの魔法を紡ぐ。


 その額には汗が玉のように浮き、整った顔が苦しそうに歪んでいる。


 鼻先から滴る雫が地面に染みをつくる。




「越冬の棺


 静寂 安寧 孤独の間


 姿かたちの変化せぬ


 ひとときの眠りにつけ


 ––––空呑む(ケージヘルゼ)凍結の枷(ドバーチェナライ)



 シュトナが脱力し、地面に膝をつく。


 場を包む沈黙を破り、イルジオが口を開いた。


「成功か? それとも失敗したか?」


 イルジオの問いに終始黙っていたニクが静かに答える。


「…………ん。成功」


 こういう時も冷静なニクに頼もしさを覚えつつ、イルジオは安堵の息を吐いた。


 すぐさまニクとイルジオはシュトナに駆け寄り、シュトナを楽な体勢に整えさせるのに手を貸す。


 シュトナは疲労を顔に滲ませながらもやり遂げたというような表情だ。


 そんなシュトナから魔剣へと視線を移したイルジオは立ち上がり、満足気な表情で魔剣の柄を握った。



「これでようやく、魔宝刃が二つだ」



 イルジオが力を込めると、魔剣は拍子抜けするほど軽やかに抜かれた。













 ––––魔剣ディルシング回収完了







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