黒き森
あれから夜が明けて翌日。
前日に決めた通りイルジオ達は二手に分かれて行動をした。
ニクとシュトナに見送られてイルジオは町の外へと魔物狩りをしに出発し、次から次へと換金しやすい素材を落とす魔物を狩っていった。
昼過ぎに解体した魔物で持参した袋が一杯になったため、イルジオは町へと帰ることにした。
イルジオが町の肉屋や工房などで大量の素材を換金して宿に戻ると、部屋にはすでにニクとシュトナが帰っていた。
「ただいま。こっちはしばらくは大丈夫そうなくらい稼げたんだが、二人は何か進展はあったか?」
「うーん。黒き森の場所だとか、黒き森が調査隊の派遣が始まるずっと前からあることとか。昨日わかったのと同じようなことばっかりだわ。昨日と今日でけっこう聞いて回ったはずだからこれ以上の情報はもうないのかもしれないわね」
「……ん。私もシュトナと同じ考え」
「そうか。なら準備を整えたら黒き森へむかうか…………あれ? そういえばシュトナその髪どうしたんだ?」
イルジオが指摘したのはシュトナの髪型だった。シュトナはその肩まで下ろしてした銀色の髪を後ろで一つにまとめていたのだ。
「ああ、これね。実は露店で情報の対価として買い物をしたの。大した情報じゃなかったからいっちばん安いのしか買わなかったけどね。それに帝国に捕まった時に解けちゃっただけで元はこの髪型だったのよ」
それを聞いてイルジオは納得した。朝分かれる前にお金は二人に預けていたのだ。
「ニクも何か買ったのか?」
「ん。私は串焼きを食べた」
イルジオはニクが意外と食べることを村での宴会の時に知っていたが、それを思い出して苦笑した。
イルジオはそれから食べ物、で思い出したのか二人に尋ねた。
「そういえばニクとシュトナはもう昼食はとったのか?」
その質問に二人が首を横に振ったのを見て、自分もまだだったイルジオは二人を誘って町へと繰り出した。
その後昼食を済ませた三人は黒き森の探索に必要なものを揃えて宿へ戻り、翌日に向けて充分に睡眠をとったのであった。
*
前日に早く寝た分早朝にも関わらずすっきりと目覚めることができた三人は黒き森目指して町を出発した。
黒き森は町のちょうど西にあるそうだったので、イルジオ達は町を西へ向けて出てからはずっと真っ直ぐと進んでいた。
町を出た二日目の朝。
ようやく彼らは目的の場所に到着し、奥深くまで続く黒き森のその入り口の前で立ち止まった。
「ここが黒き森……」
「なんだかすごく不気味ね」
「まあいつまでも立ち尽くしていても仕方がないからな。はやく入るぞ」
イルジオの言葉に覚悟を決めて森へと入っていく彼らの姿は、まるで巨大な生き物の口へと飲み込まれていくかのようであった。




