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剣の王と七つの魔宝刃  作者: 水無月 平
魔剣エラディオン
15/27

休息

 


「ひとまず帝国との国境を越えた後のことだが今のおおよその場所はわかるか? ニク」



「ん。シンゼリアは大陸下半分を占めるアイシン帝国のなかでは西北部に位置してる。私達は北の門から出てきたからこのまま進めば国境を越えてジオゼリア王国に入るはず。

 ……そういえばイルジオは魔宝刃について何か情報を得ることはできた?」



 ニクは魔法学院での調べものではそれらしき情報は得られず、収穫といえばあの深淵魔法くらいだった。

 そのため、イルジオは何か知ることができたのかどうかを訊いた。



「ああ、まず帝国に一つ魔宝刃があるのは確かだろうな」



 イルジオの確信したような言葉を聞いてシュトナもそれに同調するように言う。



「ええ、そうでしょうね。私達は魔宝刃について調べてたら捕まったわけだし、それにあの帝国の騎士の言葉からすれば確定よね」



 騎士の言葉、と聞いてニクが顔に疑問を浮かべたのでイルジオが付け足すように説明する。



「宝刀についてどこで知ったのか、だったか。つまり帝国には宝刀と呼ばれる魔宝刃があって俺らがそれを嗅ぎつけたとでも思ったんだろう」



「……そういう事だったんだ。でもそんな警戒した状態なら諦めた方が良いと思う。他には何かわかった?」



「ああ。一つだけそれらしい情報を手に入れた。なんでも"黒き森(ヴェルトモント)"と呼ばれる場所に強力な剣を持った騎士風の魔物がいるらしい。俺はその剣が魔宝刃なんじゃないかと思うんだが肝心の黒き森の場所の情報は無くてな。シンゼリアに噂が入ってきたからにはそう遠くはないはずだが」



 イルジオに質問しその答えを聞いたニクは少し考えから自分の考えを話す。



「黒き森、なんて私は聞いたことなかったから帝国にはないはず。ジオゼリアの街で聞き込みするしかないけど帝都にほとんど情報が無いくらいだから王国はその場所について隠しているのかも。もしそうなら聞き込みの時は注意しないと。今度は王国に追われることになるかもしれないから」



「三大国家のうち二つから追われるなんてことになったら洒落にならないわね」



 ニクの言葉に最悪の想像をしてシュトナは苦い顔をして言った。

 それに軽く同意して、続けてイルジオが結論をまとめる。



「それには最大限注意していこう。それじゃあとりあえずこのまま北へ進んで着いた街で黒き森について調べる、てことでいいな?」



 イルジオは自分の言葉に二人が頷いたのを確認し、夜になる前に街に着ければいいな、と思いながらそのまま北へとひた走った。







 日が暮れて夜になろうかと言う頃、街明かりらしきものが見えてきたため、イルジオを速度を落として明かりの方へと近づき、そっと街の様子を伺った。

 見ると街というよりも町、と言った方がいいような大きさで町の入り口に眼を凝らすと「帝国の北端の町イライゼへようこそ」という旗が掲げられていた。



「まだ帝国からは出られてないみたいだがどうする?」



 イルジオが自分が見えたものを伝え、どうするべきか二人に意見を聞いてみた。



 町にこっそり入っても野宿しても帝国に捕まる危険があることはわかっていたが、移動するのはイルジオで自分は担いでもらっている身のため走り続けようとは言えない。

 そう思ったシュトナが良い案が浮かばず黙り込んでいるとニクがある提案をした。



「町に入ろう。良い魔法がある」



 *



 すでにイルジオ達の情報が伝わったのか多めの衛兵達が巡回するまちの喧騒の中を堂々と歩きながら、イルジオは感心したように溢した。



「本当に大丈夫みたいだな」



 歩ける程度には回復した二人を降ろしてイルジオ一行は正面から町へと入っていた。



 三人が帝国にばれない理由はニクのある魔法のおかげである。

 上級闇魔法『認識阻(ソルズィ・クル)害す改(・アルト・ゲー)変の闇(ジィ・シング)』によってイルジオ達は顔をそのままの顔として見られるが、見た相手に何も異常はない、と思い込ませる魔法なのだ。これは気配を消す魔法よりも難しい分一度かければ簡単には見破られない。

 なぜなら隠密系の闇魔法はまず違和感を感じることでそこを発端に破ることができるのだが、あるはずのものが見えないよりそれが普通だと思い込ませた方が違和感を感じにくいのだ。



 こうして町に潜り込むことができたイルジオ達は一晩たっぷりと休息した後、ゆうゆうと出発したのであった。




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