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剣の王と七つの魔宝刃  作者: 水無月 平
魔剣エラディオン
10/27

情報収集

 


 村から帝都へと向かう道中、イルジオがニクに帝都や魔法学院についての話を聞くと、ニクはイルジオのために丁寧に説明を始めてくれた。



「そもそもアイシン帝国は武力を中心に栄えた国でジオゼリア王国、ルミンナ聖王国と並んでヒルズ大陸の三大国家のうちの一つに数えられてる。

 その帝国の都シンゼリアにある魔法学院の研究は戦いに使える魔法に限れば大陸一のものと言われていて、その分図書館の蔵書量はすごいものなの。まだ私も全体の半分ぐらいしか読めてないから魔宝刃について書かれた本も探せば見つかる可能性はある」



 聞けば帝国の魔法学院は入学試験の難度は高いが卒業資格というものはないらしい。

 学びたいことを学んだら自由に出ていくことができ、そのかわり学院で行った研究は国と学院に帰属する仕組みのようだ。逆に今まで学院内で行われた研究のほとんどは閲覧できるため入学してくるものは皆それを目当にしてくるらしい。



 ニクは十三歳で入学しまだ二年しか在籍していないようだが、学院史上最年少での入学は当時かなりの話題になったという。



 ニクの話に魔宝刃の情報を得ることができそうだと期待を馳せながら、二人は馬車でゆっくりと帝都までの道のりを消化していった。






 帝都への道のりは特別問題もなく進み、二人での会話や昼寝などをして過ごしていたらあっというまに一日が過ぎ、気づけば二日目の夕暮れになっていた。



 だんだんと人々の生活音が聞こえ始め、それから少しするとやがて馬車はその進行を止めた。



「着きましたよ」



 そう御者をしてくれていた行商人が言ったので、二人はここまで乗せてきてくれたことに感謝を述べ馬車から降りた。



 目の前には巨大で堅牢そうな門が構えており、見渡す限りの城壁が街を囲っていた。



 イルジオが面白そうにそれを眺めているうちに行商人は、馬車は検問する入り口が違うので、と別れを告げてきた。



 それに返答しもう一度お礼を言った二人は街に入るために検問の列に並んだ。



 検問も問題無く通り帝都に入ることができた二人はまずこの後の方針を決めることにした。



「今日は宿をとって休むことにしよう。明日からなんだが、ニクは学院へ行って調べてくれ。そっちはニクにしか頼めないからな」


「イルジオはどうするの?」


「俺はその間色々と調べてみるよ。聞き込みとかの方向で」


「わかった。ならまず宿を探さないと」



 そうして二人は宿をとって明日へ備えるのであった。



 *



 翌日の朝。



「日が暮れたら宿へ戻って来よう。あと何かあったらー人で片付けようとしないで合流することをまず考えよう」



 そう約束した二人は昨日決めた通り二手に分かれて情報収集を始めた。



 学院の図書館へ行くニクを見送ったイルジオは早速聞き込みを始めることにする。



 聞き込みをするなら人が集まる場所へ行くのがいいため酒場などが最適なのだが、今の時間帯はまだ店も開いてないだろう。

 そう考えたイルジオは武具を扱う仕事をしている人を当たることにした。




「魔宝刃ねえ。悪いが聞いたことねえな」




「そんな魔法と剣のいいとこ取りした武器なんかあったら商売上がったりだぜ」




 武器屋、鍛冶屋、果てには防具屋などと色々なところで聞き込みをしたイルジオであったがどこも同じような反応ばかりで全く収穫は無かった。

 そこで、ちょうど昼時になったのでイルジオは昼食を取ることにした。



 酒も出してそうな大衆食堂を見つけたイルジオは何か情報があるかもしれない、とそのお店に入ることにした。



 カウンター席に座ったイルジオは適当な昼食をカウンター越しのマスターらしき人に頼んだ。



 カウンター席にはイルジオの右側にー人だけ、三十前後の男が座っているのみでかなり空いていた。



 イルジオがなんとなく右を見ると、男が一見なんでもないような、しかし実際は隙のない所作であるのに気づき、戦いを生業にしているいわゆる冒険者というやつだろうか、とイルジオは考えていた。



 それから視線を前へ戻すと、自分が頼んだものを作っているマスターへとイルジオは話しかけた。



「なあ、マスター。今調べものしているんだがちょっといいか?」


「作業しながらでもよろしいなら」


「ああ、こっちから頼んでんだしそれで構わない。

 ……それで、俺はある武具について調べているんだが、魔宝刃て言葉聞いたことないか?どんな些細なことでもいいんだが」



 右の男が僅かに身じろぎしたのを視界の端で捉え、魔宝刃について知っているのだろうかと思い目を向けるも、男は何も聞いていなかったかのように黙々と食事を続けていた。



 何か知っているなら教えて欲しかったが、聞こえていない振りをしているのなら、聞いても答えてはくれないだろう。

 そう思ったイルジオはひとまずマスターとの会話を優先した。



「ふむ。魔宝刃、という言葉は聞いたことございませんがそれはどのようなものなのですか?」


「魔宝刃ていうのは不思議な力を持った武器のことだ。それこそ魔法でも再現できないようなことまでできるらしい」


「なるほど。その魔宝刃とやらに関係あるかはわかりませんが、大陸の北にある"黒き森(ヴェルトモント)"というところには強力な剣を持つ騎士のような魔物がいるらしい、という話を聞いたことがあります。心当たりがあるのはそれくらいですね」


「本当か! ありがとうマスター!」


「ただ、そこには強力な魔物が多数住みついているとの話も一緒に聞きましたので行くのはお勧めできませんが……」



 マスターの追加の情報を聞くもようやくそれらしい情報を掴んだイルジオは喜び、そのあともマスターと談笑しながら昼食を楽しんだ。



 いつの間にか右の男はいなくなっていたが、興奮していたイルジオは特に気に留めずに店から出た。



 店から出たイルジオであったが、まだ昼過ぎだったためもう少し聞き込みを続けることにした。



 しばらく歩いていたイルジオは店から出てから感じる視線に違和感を感じる。



(尾行(つけ)られてるな)



 視線の正体が尾行であると当たりをつけたイルジオはそのまま人気のない方へと歩いていった。



 しかし、ちょうどいい路地を見つけそこに入って行くイルジオが直面したのは予想だにしないものだった。



「止まれ。我々は帝国諜報部の者だ。

 大人しく投降せよ。そうすればここで危害は加えない」



 イルジオは後ろから突きつけられる刃に反応しようとするが、その台詞を聞いてひとまず様子を見ることにする。

 視線を感じたのは店を出てからなのであの右に座っていた男が帝国諜報部とやらだったのではないか、とイルジオが考えていると再び男の声がした。



「両手を後ろへ組め」



 その声の言う通りにするとイルジオは手を縛られてさらに目隠しまでさせられた。



 この状況に驚きつつもイルジオは、先程のここで、という言葉はその後は危害を加えるつもりであるという事なのだろうか、と冷静に考えながら自分が諜報部に捕まった事情も知りたいと思い、捕まってから逃げだせる自信もあったため大人しく投降した。



(あ、やばい。霊剣を没収されたらきついな。逃げだすだけならいいが没収されたのを見つけ出すのは骨が折れそうだ)



 そう思ったが今更どうしようもなく頑張って探しだすか、と諦めたイルジオだったが、何故か剣は没収されずに、そのまま牢屋らしき所に入れられた。



 目隠しが外されそのままイルジオを連れてきた者がどこかに行くも剣はイルジオが背負ったまま放置された。



「なんなんだ? これじゃあ逃げてくれとでも言ってるみたいだな」



「……あんた、誰?」



 剣を見逃されたのを不思議そうにつぶやいたイルジオの声に反応して、隣の牢からは誰何する声が聞こえてきた。



 イルジオが薄暗い中そちらを見ると、そこには褐色の肌をしたまだ幼い少女の姿があるのであった。


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