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師匠を訪ねて(出発前段階編)Ⅰ

注意


・ 文章力が低く読み辛い

・ ご都合主義

・ スローペースな物語の進行

・ 残酷描写あり


以上の事が大丈夫な方はどうぞ

「おにいやん。かくご」

「ぐえぇ」


毛布に包まり床で寝ていた俺は寝ぼけたアリシアに腹を踏まれた事で目が覚めた。

俺を踏みつけた当の本人は、またベットに潜り込み眠っている。


彼女は一体何故起き上がって来たのだろう。

俺を踏むだけの為にアリシアは起き上がった様な気がするのだが。

気のせいだろう。

気のせいと信じたい。

実は嫌われてるとか。

無いはずだ。

嫌われていたら彼女の性格上、付いてくるなんて絶対言わないだろし。

となると、昨日ことまだ根に持っていたのか。

駄目だ。考えてもわからない。

そこの所は後で本人直接聞けばいい。


それよりもう眠れる気がしない。

仕方なしに二度寝は諦めのカーテンを明け外を見てみる。

まだ日は昇っておらず空がうっすらと色づき始めていた。

朝と言うにはまだ少し早いようだ。


多分この時間帯なら従業員は働いてるだろう。

昨日、色々あり過ぎて忘れていた朝食の注文は今のうちに取っておいたほうがいいだろう。

リュックサックから、財布を取り出し部屋を出る。

用心の為にと部屋を施錠し、一階へと降りる。


                 ☆


一階では案の定、宿の従業員が作業をしていた。

この仕事熱心には脱帽せざる得ない。


「おや。目が覚めたのかい」


声を掛けてきたのは恰幅が良い、この宿の女将。

彼女は従業員に指示を飛ばしながら話しかけてきている。


「おかげさまでぐっすり眠れました」


女将は鼻をスンスンと数度動かし少し残念そうな顔でこちらを見てきた。

何という辱めだ。


「次があるさ」

「何の事かは聞きませんが、ちがいますよ」


女将は俺の肩を叩き笑い飛ばしてくるが、しっかりと否定しておいた。


「それでですね。朝食を後で部屋まで持ってきてもらいたいのですが」


財布から金貨を1枚出し、女将に握らす。


「あんた。これ」


女将は頭を掻き困った様子をみせる。

いきなり金貨を出されても困るだろうが、こちらの意図は困らすことではない。


「お釣りは取っといてください。営業時間外に対応をして頂いたお礼です」

「そりゃあ確かに営業時間外だったけどさぁ。こんなにもらって良いのかい?」


気前のいい払いにどうやら腰が引けている様だが、此方としては口止め料の意味も込めて受け取って貰いたい。


「えぇ。かまいませんよ」


営業スマイルで微笑みかけると女将安心したようで、少し顔を綻ばせていた。


「そこまでいうなら貰っとくわ。それと朝食だけど後で持って行かせるわ」

「お願いします。では私は部屋に戻ってますので」


部屋に戻ろうとすると『アンタ』と女将に声を掛けられ立ち止まる。


「また何かあったらこの宿、クレイキャットを御贔屓に」

「えぇもちろん」


今度こそ部屋に戻った。


                  ☆


部屋の扉の前。

開錠し扉を開くと、着替え途中のアリシアが下着姿で立っていた。

何で今なんだよ。

だがそんな泣き言は言ってられない。

本能がヤバイと察し、急いで扉を閉め再び施錠する。

何とか成ったかな。

安堵から、扉にもたれ掛かれ力なく座り込む。


それからどれぐらい立っただろう。ガチャリと施錠した扉の鍵が空く。

その音に心臓が跳ね上がり、同時に体も跳ね上がった。


「おにぃちゃん」


顔を赤らめたアリシアが扉を開け此方へと睨み付けて来る。

だが、思ったほど怒っては無さそうで少し安堵する。


「悪い。態とじゃないんだ。だから許して。何でもするから許して」


必死の謝罪が通じたのだろうアリシアは『とりあえず入りなよ』と声を掛けてくれた。

それならばと恐る恐る。彼女の機嫌を伺いながら部屋に入った。


「何故ノックをしなかったの」

「出て行ったときには寝ていたので。まだ寝ているかなと思い」

「何処に行ってたの」

「朝食を注文しに」

「お金はどうしたの」

「お金は、ここに自前のがあります」


財布を取り出すと何か察したように彼女は質問攻めを止め少し塞ぎ込む。

新調したリュックに目をやると寂しそうな表情を浮かべた。


「やっぱり気付いてたんだよね。きっと辛かったんだよね」


彼女が言っている意味は理解できた。

だが、辛いか。辛かったのだろうか。

解らない。


俺は勇者から嫌われているというのは最初から自覚していた。

あれほど露骨だと気付かない方がおかしいレベルだったから。

奴等が裏で俺に代わる仲間を探しているのに気付いたときはショック受けた。

何時からだろうかあいつ等に興味を持てなくなくなったのは。

今回、普段俺に管理させている地図をコソコソと持ち出しているのを目撃してまった時はどうだったか。

ショックと言うよりかは『ようやくこの旅が終わるんだな』という気持ちだったような気がした。

ショック受けたとすれば、あれだけ矯正をしたのにあんな行為を行ったことだろう。

俺の行動は全部無駄だったんだから。


「どうなんだろうな。俺にはわからん」

「私は少し辛かった。だって追い出されたされた理由が勇者の女に成らなかったからだよ。ふざけんなって言いたかったよ」


アリシアは少し目を伏せると悲しそうな表情をする。


「なんであいつ等はあんな事が出来るの。もっと真面目にやってよ。その為に力を与えられたんじゃないの。何で私じゃなくてあんな奴らなの。グルグル廻ってさ辛かったし、苛々した」


さらりと言うがそれは彼女の悲痛の叫びだろう。

この旅に一番真摯に向き合っていたのは多分アリシアだったのを知っている。


「けどさ、追い出されてから冷静に考えてみるとどうでも良かった」


突然の方向転換についていけず少し困惑する。

ん………どういう事だ。


「私はあれを勇者と認めない。ただそれだけど良かったんだ」


どういう事か意図が掴めない。

聞き返そうとすると、コンコンと部屋をノックする音が響いた。

ノックの音に遮られ尋ねるタイミングを逃してしまった。

すこし歯痒い。

アリシアの語った事はまた今度聞くとして今は来客の対応をしなければ。


朝食の用意にしては早すぎる。

おそらく来客だろう。

しかし、こんな早朝に来る客だ。

何か訳有りな可能性がある。

アリシアも同じ事を思ったのか杖を持ち俺の影に隠れるように位置を取った。

俺は警戒し部屋の扉を開いた。


そこには二人の人物が居た。

一人は、困った表情を浮かべた従業員だと思われる女性。

そうして、もう一人は宿に似合わぬドレスを着た女性。


ドレス姿の女性は髪の色と同じコバルトブルーの瞳を此方に向けている。

それはまるで今から、一戦交えるぞ。

そんな気概が含まれたような強い眼差しだった。

お読みいただきありがとうございます

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