プロローグⅤ
注意
・ 文章力が低く読み辛い
・ ご都合主義
・ スローペースな物語の進行
・ 残酷描写あり
・ 今回下ネタ多め
以上の事が大丈夫な方はどうぞ
結果から言わせて貰うと、宿は大問題だった。
宿の名誉の為に言うが宿事態は悪くない。
一階が酒場に成っているため煩いが、その悩みも酒場の閉店まで。
手入れも良く行き届いるので良い宿ではあるのは間違いない。
では何が問題か。
それはこの扉を開けたときに気が付いた。
ダブルベット。
これが真っ先に目に入り思わず扉を閉める。
「どうしたの入らないの」
俺の背後で不思議がってるアリシアの肩を揺さぶった。
「なっなに」
俺の奇行に動揺しているようだがそんなの知った事ではない。
それより大問題がそこにあるから。
「ギルド職員に何て言ってこの部屋を取ってもらった」
「えっ、ダブルベットの部屋を一つって言ったんだけど。もしかして別々の方が良かった」
「そうじゃない。なんでダブルベットなんだ」
「えっ………えっ?」
俺の剣幕に押されてか目を白黒させて答えるがどうも要領を得ない。
何か食い違いがある様に思える。
まさかな………。
彼女の勘違いに思い当たり冷や汗が流れる。
「なぁ………。ダブルベットって何か知っているか」
「えっ、ベットが二つある部屋の事でしょ」
「違うそれはツインベットだ」
「えっ………じゃあダブルベットって何」
マジか………。マジなのか。
まさかとは思ったが、アリシアは本当に知らないようだった。
こうなったら見せたほうが早い。
「あのなぁ。ダブルベットというのはこう言うのだ」
意を決して彼女に部屋の中が見えるように扉を全快にする。
「☆○△□φθλ!?」
彼女は理解したのようだ。
そして理解してしまったようだ。自分の過ちに。
言語化できていない悲鳴を上げ、顔を真っ赤に染め上げ俯く。
この部屋ってダブルベットもさる事ながら色々、可笑しいのだ。
ベットカバーがピンクだったり、部屋が普通より広かったり、妙に照明が弱く薄暗かったり。
ただ、どこかでこんな感じの部屋の話を聞いた事がある気がするのだが。
何だったかな。
考えているうちにふと脳裏に一つの単語が浮かんだ。
いや。まさかな。
記憶が確かであればと、内壁をコンコンとたたいて見る。
すると、コンコンと音が反響して返ってきた。
やはり部屋には防音対策に結界魔法が張ってあるようだ。
ここは………連れ込み宿じゃないか。
さすがにこの事態は想定しておらず混乱する。
俺とアリシアここに泊るのだろう。
しかも俺等は、勇者パーティ追い出されたという情報もそのうち広まるだろう。
絶対何か変な憶測が生まれるなこれ。
駆け落ちでもしたとかそんなのが出てきそうだ。
しかし、密談をするには最適な場所ではある。
おまけに、ここの清掃は良く行き届いている。
こういう宿は大当たりで大抵、飯も美味い。
それに、侵入者や魔法の類も結界が防いでくれる為盗聴のリスクも少ない。
問題が有るとすれば、ここのイメージが悪いだけなのだ。
葛藤の末に実利を取る事にした。
噂ぐらいなんとでも成るだろうしな。
「この部屋に泊ろうと思う」
アリシアは凄く動揺しているらしく目をグルグルさせ『ヒ…イが…んな…とし…だと』断片的に聞こえる程度の小声で呪文のように何かを言っている。
何を言っているかは解らないが、内容は多分俺が手を出すと思われているのだろう。
個人的にはすぐに弁解をして誤解を解きたい所だ。
しかし、下手に話せない内容も混じっているわけだから結界内で話すべきだな。
「取り合えず。部屋の中に入ってくれ」
誤解されるのを覚悟で頼んでみる。
「あの。お手柔らかにお願いします」
彼女は理解したくない言葉を口走り恐る恐る部屋へと入る。
扉を閉めすぐに鍵を掛け扉の結界を作動させる。
音に驚いたのだろう『ヒゥ』と彼女は短い悲鳴を上げ、涙目で此方を見てくる。
なんだか凄く悪い事をしているように思えてきた。
いや、しているのか。
落ち着かせるには何から言ったらいいのだろうか。
別々に寝るってことを伝えればいいか。
「安心しろ、俺は下で寝るから」
「私の下で寝るの!?」
何故そうなった。
曲解して彼女に伝わった事に驚きが隠せない。
「違う、俺は床で寝るって事だ」
「解った。なら私はヒューイを踏めばいいのね」
これは、本当にいっぱいいっぱいなのだな。
何時もの、おにいちゃん呼びでは無くなっている上に、恐ろしいほど曲解の返答だ。
果たしてちゃんと訂正出来るか。
「違うそうじゃない」
「胸が小さい私では駄目なのね。やはりフィーリア見たいに色々と重そうな子じゃないと駄目なのね」
駄目だ。話を聴かない上に答えづらい事を言い出した。
確かにアリシアは色々小さく軽そうだが、フィーリアが別に重いと言うわけでもないだろう。
いや、俺は一体何に弁解しているのだ。此方まで混乱してきそうだ。
もうこうなったら実力行使しかあるまい。
混乱する彼女ににだましをかました。
突然の俺の奇行にポカーンと口を空け固まる。
「よく聞け。俺は床で寝るから、お前はベットで寝てくれ。手は神に誓って出さない」
ようやく言えたその台詞は彼女にちゃんと伝わったのか安堵する表情が見て取れた。
「じゃあ、何でこの部屋に泊ろうとか言ったのよ」
ようやくまともに戻った彼女を見るとどっと疲れが押し寄せてくる。
しかしちゃんと説明しなければと、この部屋の利点を伝える。
勿論、都合の悪い事は隠したままでだが。
「防音対策ねぇ。なんでこの部屋にこんな機能がついているの」
話を聞き終わった彼女の第一声がこれだった。
よりにもよって、そこに触れるかと頭を悩ませる。
ここが連れ込み宿だという事を話せば元の木阿弥になるは解っている。
「それについては言及は控えてくれ。それよりもこの機会に今後の事を話そう」
仕方が無いので無理やり話をそらす。
「それは勇者の事。それとも、私たちの事」
「両方だな」
「勇者達なら簡単よ。国から見限られるでしょうね」
彼女は呆れたように勇者の今後を語る。
しかし、どうも彼女の発言には引っ掛かりを覚えた。
国に見限られる事はあり得るのか。
「確かに素行は悪いがそれでも義務は果たしているんだ。それでも見限られるのか」
「普通なら見限らないわ。でも私はお兄ちゃんが知らない彼等の話を知っているの」
そう語る彼女の顔は真剣だった。
その内容は如何やら相当な内容らしい。
「それは、どんな内容だ」
「秘密。それは、まだ言えない。言える時が来るまで待ってて欲しい」
「わ、解った」
この重苦しい雰囲気に飲まれそうになる。
俺に話せないほどの秘密か。
どうなるのかが怖いな。
「そんなに身構えなくても大丈夫よ。私達には絶対被害は無いから」
コロッと変わった彼女の雰囲気に若干の戸惑いを覚える。
ますます。謎だ。
「そうね。私自身は一度、師匠の所へ顔を出すわ。お兄ちゃんは如何するの」
「お、俺はトラベラーに戻るかな」
急に話を振られ一瞬どもってしまった。
「トラベラーって何」
「トラベラーというのは本拠地を持たない冒険者の事だ」
「冒険者って基本、そうじゃないの」
どうやら彼女も勘違いしている様だ。
それは仕方ない事だ。
「そう言うイメージは有るだろうが実際は違うんだ。そうでないと効率よくお金が稼げないからね」
トラベラーはお金を稼ぎにくい。
例を挙げるとするならばこんな感じだろう。
とある町にずっといて同じ仕事を安定してこなす男がいたとする。
其処に、どこからかやって来た見知らぬ男が彼と同じ仕事をしたいと申し出てきた。
しかし定員は1名、ではギルドはどちらを斡旋するか。
そんなの火を見るより明らかだろう。
つまりだ、拠点を持たないトラベラーは仕事を取りづらい為にお金を稼ぎにくい。
「その代わりトラベラーは色々な所にいけるから楽しいんだよ。観光巡りとか、名物食べ歩きとか」
「なにそれその話を詳しく聞かせて」
興味津々のアリシアにせがまれ、今まで巡って来た町の話をする。
それは掻い摘んでも二時間にも及ぶ長いものだったが、彼女は飽きる事無く聞いていた。
「面白そう。私もお兄ちゃんと一緒に付いていく」
話を聞き終わると彼女は宣言した。
そして、俺も思ってしまった彼女となら面白い旅が出来るのではないかと。
お読みになっていただき有難うございました。