プロローグⅣ
注意
・ 文章力が低く読み辛い
・ ご都合主義
・ スローペースな物語の進行
・ 残酷描写あり
以上の事が大丈夫な方はどうぞ
「ヒューイは俺です」
カウンターに置かれた荷物を持つと、俺を探している女性の前へと向かう。
逃げたと思われたのだろうか『ちょっと』と受付嬢が呼び止めようとするがそれは無視しすることにした。
「良かった。会えました」
涙で潤んだ真紅の瞳を此方へ向けると俺の手を握り締める彼女。
いきなりの事でドキリとしてします。
「ギルドマスターがお呼びですので至急此方へとお越しください」
彼女はそう言うとグイグイと説明も不十分に力強く俺の手を引っ張っていく。
「ちょっと待って。説明を………って力が強い」
彼女の力は恐ろしく強くまるで大男に引っ張られているような錯覚を起こす。
抵抗は空しく彼女は赤いポニーテールをゆらゆら靡かせながら俺を引き摺って行かれる。
「だから、説明を」
せめてもの願いも彼女の耳に届いて無いらしい。
これを如何にかできるのは無理だ、と抵抗するのを止め彼女に身を任すことにした。
何故、俺の周りの女子はこう特殊な奴が多いのだろう。
そんな事を思いながら連行されていった。
☆
連れて来られたのはレンガ造りの建物だった。
吊り看板には杖の絵が掛かれておりここが魔法ギルドだという事が分かる。
「もしやと思ったがやはりここか」
隣から野太い声がした。
驚き声がするほうを見ると、そこには百戦錬磨の戦士がいた。
いつの間に、ぜんぜん気付かなかった。
その男は冒険者ギルドにいた冒険者より筋肉が一回り以上大きく、体には傷跡だらけで目立つ。
服も赤色の派手な物なのにまったく彼の存在に気付く事が出来なかった。
「だ、誰だ」
声を荒げて尋ねると、彼はしてやったりといった風にエメラルドの瞳を細め、小麦色の頭皮を輝かせる。
「俺は、この町の冒険者ギルドでギルドマスターをしているタルトってんだ。以後よろしく」
彼は白い歯を見せ好青年のように笑う。
「なんで貴方が居るんですか」
俺の手を引いていた女性もようやく彼の存在に気付いたのだろう。
驚いたように、目を開き後ろへ一歩後ずさる。
「そりゃあ。俺のギルドで騒いで男を連れ去って行ったんだ。興味あるだろう」
「なっ。違います」
悪びれなく言うタルトの言葉に手をぶんぶん振って否定する彼女。
あのう。俺の手も一緒に振られて結構痛いですが………。
「そんな事より、とっとと入ろうぜ」
彼女の体を使った目一杯つかった否定もそんな事の一言で切り捨てタルトは俺の繋がれて居ない方の手を繋ぐ。
「だから、何故手を繋ぐ」
「さぁ行こうぜ」
俺の問いかけは無視され二人に引き摺られていく。
それは、さながら連行される犯罪者を彷彿とさせ、何ともいえない気持ちになった。
☆
魔法ギルドは冒険者ギルドとは違い静かだった。
誰も魔法ギルドに酒を持ち込み宴を開いてないし、ギルド職員も真面目に働いている。
いや、冒険者ギルドが特殊なだけか。
そんな部屋の真ん中では何故か正座している人がいる。
まぁ言うまでも無いがアリシアだった。
傍に仁王立ちしている男性が何やら喚いているのを見ると、どうやら彼女は説教を受けているようでようだ。
「ようキッシュ。ヒューイを連れて来たぜ」
何故か無関係なタルトが説教をぶった切るかの様に声を掛ける。
いいのかそれは。
此方に飛び火しないか冷や汗が流れる。
アリシアを説教をしていた男、キッシュは此方に視線をやると顔を顰め頭を抑える。
「なぜ。お前達は馬鹿みたいに手をつないでるんだ」
まったくその通りだ。
何故こうなったか、俺自身が知りたい。
いや、説明してほしい。
「それはいい。しかし、なぜタルトまで居るんだ。説明してくれないかフィーリア」
呆れた様子で手を繋いでいる女性に向ける。
「ご、ごめんなさい。お父さん」
「私の事はギルドマスターと呼べと何回言ったら分かるんだ」
どうやら彼女『フィーリア』はキッシュの娘のようだ。
確かに瞳の色も同じで、髪の毛の色もキッシュは所々白髪は混ざっているが同じ色。
だが、体つきは豊満な魅惑のバディをしているフィーリアに対しキッシュは背が高くかなり痩せている。
似ているようで似ていないそんな親子に感じられた。
「まぁまぁ。俺が勝手に付いてきたんだ。フィーリアを叱るのは止してやってくれ」
タルトが悪気を一切感じてない口調で言うとキッシュは彼を一瞥しため息をついた。
「まぁいい。お前のところにも関係が有る話だ。聞いて行け」
「わるいな。今度なにかおごるぜ」
どうやら、見た目も性格も正反対なこの二人はかなりの仲良しのようだ。
それは、まるで腐れ縁の友達に見えた。
「説教はここまでだ。とりあえず話が聞きたいから付いて来なさい」
キッシュがアリシアの正座を崩す許可を出と、彼女はやっと終わったという安堵の表情浮かべる。
しかし、彼女は此方を見るとべーっとキッシュに見えないように舌を出した。
なんなんだアイツ。
「それでは私の部屋で話そうか」
キッシュは先頭に立ち俺達をギルドマスタールームへと案内する。
勿論、何故か俺の手は両手とも繋がれたまま連行されていった。
☆
ギルドマスタールームいてようやく俺の両手は解放された。
今現在、対面にはキッシュとタルトが座り
俺の横には不機嫌そうにしたアリシアが座っている。
フィーリアはと言うと、今から話すのは機密事項のため外で見張りしている。
それにしてもフィーリア力が強すぎる。
まるで加減が出来ていないのか手がジンジンと痛む。
痛む手を見ると赤い跡がくっきりと浮かび上がっていた。
突然刺す様な痛みが走る。
原因は解り切っているのでアリシアの方を向くと彼女はフンとそっぽを向いた。
「どうしたんだよ」
「デレデレしちゃって」
「してないよ」
「じゃあ何で、手なんか繋いでたの」
「いや。あれは無理やりだ。しかも振りほどけないほどに強かったんだからな」
くっきりと跡が付いた手を見せる。
彼女はウッと言葉を詰まらせた。
まぁこれを見せられたら信じるしかないだろう。
「いいわ。信じてあげるけど、嘘だった承知しないからね」
渋々だが彼女も納得してくれたようだ。
「痴話喧嘩は済んだようだね。すまないが、今は君達の話が聞きたいのだ」
「痴話喧嘩じゃない」
アリシアはそっぽを向く。
このままでは話が進まなそうなのでキッシュから詳しく聞いてみた。
やはり、というか案の定なのか彼が求めていたのは俺達が追い出された時の事だ。
だから俺は拗ねたアリシアは取り合えず放置し経緯を事細かく話す。
俺の話が進むにつれて、キッシュに哀愁のような物が漂って行った。
それはさながら就職に有り付けなかった人のような悲しい哀愁に似た様な物に思えた。
「わかった。つまるところ勇者達は我々、魔法ギルドに喧嘩を売ったってことになるのだな」
話を聞き終わったキッシュがポツリと力なく結論を出す。
どうやら、彼にとって相当ショックな内容だったらしい。
信じていたはずの勇者に裏切られた事がショックだったのか、それとも勇者の知能指数が低い事にショックだったのかは解らないが。
「それだけじゃねぇ。俺達、冒険者ギルドにも喧嘩を売ったって事だろう」
タルトの方は解りやすく怒っているようすだった。
それは善人としての当たり前の衝動。
人を殺そうとした勇者への不信感からだろう。
「今日はもういい。たしか宿は、アリシア殿が取っておられたな」
キッシュは疲れたように言う。
「いつの間に取ってたんだ」
「さっき。魔法ギルドの人に頼んでね」
彼女の機嫌はまだ悪い。
「そういえば、何故か頼んだ職員が顔真っ赤にしてたわねぇ」
彼女の口からさらりと出た情報に何やら嫌な予感がする。
気のせいで有ればいいのだが。
お読みいただき有難うございました。