師匠を訪ねて(トポ村編)Ⅳ
また今回も短いです。
もしかしたら、最近上手く書けずに、一日2回の投稿ペースからペースを落とすかもしれません。
あと7月から予定があるから投稿ペースがやっぱり落ちるかもしれません。
村に帰るとフワリといい匂い充満していた。
教会の外に急遽作られた窯に大鍋が設置されており、そこで炊き出しの準備が始まっている。
「おぉ。帰えっておられたか」
リーダー格の男性が僕達を見つけ駆け寄ってくる。
「魔物の襲撃はどうでしたか」
「どうやら、貴殿の言う通り効果があったのだろう。前よりも、グッと被害少なくなったのだ」
「そうですかよかったです」
俺もアリシアもほっと胸をなでおろす。
さて、此処からが本題だ。
「村長にお願いがあるのですが、どちらにいらっしゃいますか」
「村長は私だ。よければ、私の家で話そう」
リーダー格がまさかの村長だった。
村長のイメージからかけ離れていたため全然気付けなかった。
そして、リーダー格あらため、村長は俺達を家に案内してくれた。
☆
村長の家へと付いた。
彼の家は他の家と比べ少し大きい木製の家だった。
案内された部屋は荷物が多いが、よく整理整頓された綺麗な部屋だった。
「狭いところで悪いが、椅子にでも座ってくれ」
用意された木製の椅子に俺達はそれぞれ座る。
「それでお願いというのは」
村長も椅子に腰掛ける。
「ワイバーン討伐の許可が欲しいのです」
村長の顔が曇った。
「退治して貰えるのであれば願ったり適ったりだが、如何せんわれ等は見ての通りお金が無くてな」
「いえ、お金は要りません。ただ、倒したワイバーンの所有権をください」
「なるほど。それならばと、言いたい所ではあるが勝てる見込みはあるのか」
「あります」
村長は考え込む。
「わが村に危険は無いのか」
「それについてはいくつかの考えがあります」
「聞かせてもらおう」
「まず、馬鹿正直に南からでは無く東から攻めます」
アリシアの方を見る。
彼女はやる気に満ち溢れた目をしていた。
「それと、結界をもう一段階強めてもらいます」
これは帰ってくる途中にアリシアと話し合って決めた事だ。
本当ならアリシアに残ってもらうのがベストなのだが、彼女はそれを拒絶した。
それに、アリシアに言われて気が付いたのだが、今の俺ではワイバーンを運ぶ事が出来ない。
そこで、苦肉の策として、結界の強化をしてもらう事にした。
ただ、これにはアリシアの魔力残量が大幅に減るというリスクがあるため、むちゃな行為が出来なくなる。
そして同時に、彼女を危険にさらす事にもなる。
だが、それを彼女は望んだ。
そうなると俺には止める権利はない。
本当に危ないときは俺が盾になる事で彼女の被害を抑えればいい。
覚悟を決めた。
「ふむ。わかった許可しよう」
村長の許可が下りた。
すると、アリシアは待っていたかのように魔法を詠唱し放つ。
見た目では一切変わっていないが、今村全体に強固な結界が張り巡らされた。
「大丈夫かアリシア」
「大丈夫よ」
彼女の顔には少し疲れが見て取れる。
「村長さん。私達は今からワイバーン討伐に赴きます」
「今からですか」
村長は驚いた顔をした。
本来なら、少し休んで行きたいが備蓄の事を考えると余り長い時間を掛けていられない。
それに、結界も絶対では無いのだ。
一刻でも早く討伐する。
これが俺と彼女が考えた作戦だった。
「だいじょうぶです。きたいしといてください」
「わ、解りました。御武運を」
村長に見送られワイバーン討伐へと向かった。
ありがとうございました。