師匠を訪ねて(出発前段階編)Ⅷ
注意
・ 文章力が低く読み辛い
・ ご都合主義
・ スローペースな物語の進行
・ 残酷描写あり
以上の事が大丈夫な方はどうぞ
フィーリアに情報のお礼と今日中にこの町を旅立つ事を伝えた。
そして、ずんずんと進んでいるアリシアを追っかけ街中を縫うように駆ける。
☆
アリシアと合流した後、宿まで戻ってきた。
宿では、女将の指示の元で従業員達が木箱を俺達の部屋まで運んでいる様だった。
他の客たちはその光景を何事かと見守っていた。
「あんたかい。ちょうど今最後の品物が届いたみたいだよ」
俺達に気付いた女将は此方に近寄って来る。
「助かりました」
「気にしなくていいのよ。あんた達のお陰であいつ等も何時もずいぶん稼ぎが良くて張り切ってるのよ」
「そうなんですか」
確かに運び込んで貰うのに幾らか渡したものの、そこまで大金は渡していなかった筈だ。
「女将さん。運び終わりました」
従業員の一人が離れた場所から女将さんに声をかけこちらへとやって来た。
「お帰りなさいませ。荷物は全部運び終わってますよ」
俺達に気付いた従業員はそう声をかける。
「ありがとう」
従業員にお礼を述べると『とんでもないです』と焦られた。
「じゃ私達は部屋に戻ります。それと荷物整理が終わったらチェックアウトしたいのですが」
「なんだい。もう一泊して行かないのかい」
「えぇ。少し訳がありまして今日中にこの町を出ます」
「それは、寂しいねぇ。この町に帰ってきたときはまたりようしておくれよ」
「えぇそれはぜひとでも。では、作業してきます」
俺達は部屋へと戻った。
☆
部屋には大量の木箱が積まれていた。
とりあえず箱の中身を確認し間違いや不足は無いか調べる。
大丈夫そうだ。
とりあえず、俺達が使う食料だけは。リュックに詰め替える。
「アリシア頼めるか」
「まかせて」
アリシアは呪文を詠唱し始める。
そこで、違和感を覚えたが何かまではわからない。
違和感の正体を考えている間に彼女の詠唱が終わる。
すると、空間が割れぱっくり大きな穴が開いた。
ここで違和感の正体に気付く。
狼達に使った魔法と違うものだった。
アリシアは杖で木箱を叩くとその叩かれた木箱が消えていく。
見ていて面白い。
次々に吸い込まれていき、物の数分で仕舞われた。
「終わったよ」
「面白いもんだな次元収納魔法って」
「そうだね。その分目立つけど」
「聞きたいんだけど狼に使った魔法って何」
俺の質問の意図を察したのだろう楽しそうに彼女は笑う。
「勘違いしたのね。狼はただ単に土葬しただけだよ。おにいちゃん」
やっぱり違ったのか。と言うことはずっと勘違いしてたのか恥ずかしい。
自信満々にあれが次元収納魔法だと思ってた自分が恥ずかしい。
俺が恥ずかしさで少し悶えていたら、なぜか彼女はハッっと気付いたような顔をした。
「もしかして、狼の素材必要だったりした」
「いや。別に要らないな。魔法を使うならせめて声を掛けて欲しかったのはあったが」
「ごめんなさい」
「次から気をつけてくれたらいい。それよりあの時は助かった。ありがとな」
「うん」
アリシアは笑みを浮かべる。
「さて、準備も終わったしそろそろ出るか」
「ちょっと名残惜しいかも」
確かに宿は良かったからな部屋は手違いであれだったけど。
俺達は宿をチェックアウトするため一階へと降りる。
「チェックアウトを頼みます」
フロントに居た女将に鍵を渡す。
「おい。あんたたち、こっちにいらっしゃい。お帰りになるだってよ」
女将がそう大声で言うと、ぞろぞろと従業員が出てきた。
「どうも、こいつらあんた達のことを気に入ったらしくてね。是非お見送りがしたいって言ってさ」
なんで、こうも懐かれてるんだ。
他の客が興味ありげにこちらを見てきていて居心地が悪いんだが。
アリシアもその様で、俺の影に隠れるように小さくなった。
「目立つだろうけど勘弁しやって」
「あぁ。かまわないよ」
動揺が顔に出ないようにし、平静をよそおう。
『行ってらっしゃいませ』
「行ってきます」
俺達は、従業員たちに見送られ宿を出た。
☆
引き返したときに通った南口ではなく町の北口。
ここでは多くの人が、検問を受け町の出入りをしている。
「まってたわ」
俺達が町から出ると声を掛けてきた人が居た。
そこには私服姿の冒険者ギルド受付嬢(見習い)アリスと先ほど分かれたフィーリアがまっていた。
彼女達、特にアリスの姿が見えるとアリシアはキュッと俺の服を強く引く。
また、争いが起きなければいいが。
「二人ともどうしたんだ」
「私達は見送りよ。ちゃんとギルドマスターから休みを貰ってきてるのよ」
なるほど………何か用事が有るのか。
「これは選別よ」
無骨な一本のナイフをアリスが渡してくる。
「あの、これは私からです」
アリシアのほうにはフィーリアが木製の腕輪を渡しているようだった。
なるほどな。
「じゃあ。行くな」
俺はそういってアリシアのほうに目をやる。
アリシアはコクリと頷き短い呪文を詠唱する。
フワリと杖が浮き、そこにアリシアと俺は座る。
「またどこかでな」
「遭いたくはないけど、またどこかで遭いましょう」
「なによそれ、まぁいいわ。またね」
「お気をつけて」
各自それぞれ挨拶をを終え空の旅へと出発した。
☆
上空は少し肌寒いが日差しが心地よい。
俺達は今、はるか上空で滞在している。
俺とアリシアはそれぞれ貰った餞別を取り出しキーワードを唱える。
すると、餞別は消え、それぞれ一つの短い文章が空中に映し出される。
『貴族に気をつけろ』
『君達は中心にいる』
どういうことだ。
アリシアの方を見るが彼女も首を捻っている。
俺達は、二人のギルドマスターが残した文章をを理解できなかった。
お読みいただきありがとうございました。
ようやく彼等は出発できました。
長かった。