師匠を訪ねて(出発前段階編)Ⅶ
注意
・ 文章力が低く読み辛い
・ ご都合主義
・ スローペースな物語の進行
・ 残酷描写あり
以上の事が大丈夫な方はどうぞ
勇者達よりも勇者っぽい。
まさに、その通りだから何とも言えない。
勇者達は緊急性のある魔物無視して、ドラゴンやら賢狼など狩る必要性皆無の強敵ばかり狩っていたからな。
それでアリシアとよく口論していた。
「それじゃあ手伝ってくれるんだな」
「えぇいいわよ」
アリシアの返事を聞くと、店番しているおばちゃんに駆け寄る。
「おばちゃん。買いにきたよ」
「あぁ。あんた本当に買いに来たのかい」
どうやら、用事というのは方便だと思われていたのだろう。
おばちゃんは少し驚いた様子を見せる。
「で、相談なんだけどさ。宅配とかって頼める」
「宅配、別途料金貰ってもいいなら別にいいけどさ必要なのかい」
「あぁ、量が量だけにね」
「量ってあんたどんだけ買う気だい」
おばちゃんは怪訝そうな顔をした。
「玉ねぎ1箱と人参1箱。あとキャベツ1箱が程欲しい」
「あんた、そんなに買い込んでどうする気だい」
おばちゃんは心底驚いているようだ。
「ちょっとね。で幾ら」
「金貨2枚に宅配料が銀貨1枚。けど払えるのかい」
「あぁ大丈夫」
財布から金貨2枚と銀貨1枚を取り出し渡す。
「確かに、じゃあ届け先は何処だい」
「クレイキャットって宿屋だね。事情は宿のほうに伝えておくから今日中に頼む」
「あいよ。わかったよ」
おばちゃんはそう言うと店の奥へと消えた。
その後、似たようなやり取りを肉屋、雑穀屋、塩屋で行い。
合計で金貨12枚程の額になった。
結構大きな出費だ。
「後は届く待つだけだから魔法ギルドに行くぞ」
「そうだね」
そう言うアリシアの顔は強張っていた。
☆
クレイキャットの従業員に『宅配物が届くので部屋に運び込んで欲しい』と伝えた後、魔法ギルドにやって来た。
ギルドに入ると『アリシアさん待ってましたよ』とフィーリアが声を掛け駆け寄ってくる。
「ギルドマスターがお待ちなので着いて来てください」
「解った」
彼女はまた説明も無しに俺達を案内するようだ。
だが、どうやらアリシアは何か知っている様子。
また俺だけ蚊帳の外だな。
案内された先は、先日訪れたギルドマスターの部屋だった。
中ではキッシュが見慣れた装備一式を持って立ち。
その隣にはフィーリアが立っている。
「アリシア殿、君に先に言っておくがシリアルナンバー装備の再発行なんて前代未聞だ」
それは、そうだろう。
シリアルナンバー装備とはギルドが発行する勲章のようなものだ。
各ギルドで年の初めに表彰式は行われているらしいが、何処のギルドも受賞者の数は片指で数えられる程度と言う噂だ。
冒険者ギルドも毎年、形式だけは取っているが実際の所はただの宴会と化している。
それほど、シリアルナンバー装備とは貴重なのだ。
それを奪われて再発行なんて如何な物だろう。
冒険者ギルドではシリアルナンバー装備を売った奴の伝説があるがあれは例外だろう。
「さて、ヒューイ殿。君に来て貰ったのはアリシア殿の我侭が原因だ」
キッシュはアリシアの方を困った奴だという目で見る。
だが、アリシアは気にしていない様子だ。
「本来ならギルドマスターである私が彼女に装備を付けて儀式は完了するのだが彼女は君を指名した」
俺はそんな理由で呼ばれたのか。
アリシアの方を向くと二ヒヒと誤魔化すような笑みを浮かべた。
「魔法ギルドとしては、アリシア殿とは長く付き合っていのでな多少の我侭なら許す事になっている」
もしかして、アリシアってここではやりたい放題とか、やってないだろうな。
やっていたら説教しなければ。
「まさか、初めての我侭がこんな事だとは思わなかったがな」
「こんな事じゃないよ。大切な事だもん」
アリシアは大切な事だとは言っているが、俺としてはこんな事だ。
キッシュと俺で何が違うのかがいまいち解らない。
「つけてやってはくれないか」
装備一式を手渡された。
「解りました」
帽子を彼女に被せ、マントを………マントを………これどうなってるんだ。
「おにいちゃん。ここを押せば外れるの」
彼女が指差し止め具の大きな飾りを押すとカチリという音がして外れた。
マントを彼女に着けもう一度同じ場所を押しカチリと止めた。
凄いマントだったんだなこれ。
最後に、ミスリル製の杖を彼女に渡す。
これこそ、見慣れたアリシアの姿だ。
「おにいちゃん。ありがとう」
彼女は微笑みかけてくる。
その姿に少しドキリとした。
「これにて儀式は終了だ。ご協力感謝する。フィーリア。おい、フィーリア」
キッシュが声を掛けるが彼女は顔を少し染めうっとりとした表情で見ている。
「フィーリア」
キッシュが彼女の肩を揺さぶるとハッとした表情を浮かべ『なんですか』とキッシュに訪ねた。
「何をやってるんだお前は。彼女達を外まで案内して差し上げろ」
キッシュがそう言うとフィーリアは俺達を外まで送ってくれた。
☆
「フィーリアさん先ほどは何故かポーッとしてたようですが」
「知りませんかシリアルナンバー装備の物語」
興奮している様子のフィーリア。
知りませんかと言われてもそもそも魔法ギルドに所属しているわけではないので知ってるはずが無い。
「どんな話なんです」
「それはですね―――」
「それより、握手しましょう。フィーリア」
フィーリアの言葉を遮る様にアリシアは言葉を被せた。
「えっ…えぇ。いいですよ」
戸惑いながらも手を差し伸べるフィーリア。
二人が握手をするとアリシアの顔が歪む。
「痛い………」
「あぁ、御免なさい。私力が強いもので」
「気にしないで。でも、おにいちゃんが言ってたのは本当だったのね」
アリシアは痛む手を軽く振る。
そういえば疑われていたな。
これで疑いも晴れただろう。
「それで先ほど物語の続きですが」
「さぁ、おにいちゃん宿に戻るわよ。やらないといけない事は沢山有るんだよ」
アリシアはフィーリアの言葉を再び遮る。
そして一人でズカズカと宿の方に帰っていく。
そんなに、聞かれたくない内容なのかそれ。
フィーリアの方にお礼を言おうとしたところで彼女から手招きされた。
なんだろうと思い彼女の方へ寄っていくと小声で俺に語りかけてくる。
「シリアルナンバー装備の物語って恋愛小説なんですよ。確か正式名称はアイシアの恋だったかな。気になるなら探してみては如何ですか」
なるほどそう言うことね。
今度探してみよう。
お読みいただき有難う御座います。
そろそろ、旅立たないとなとは思ってますがなかなか旅立てませんね。
あと、情報過多になりそうだったため勇者のくだりは大分端折ってます。
まぁそのうち嫌でも話題になると思いますが。