師匠を訪ねて(出発前段階編)Ⅵ
注意
・ 文章力が低く読み辛い
・ ご都合主義
・ スローペースな物語の進行
・ 残酷描写あり
・ 今回、歪んだ願望あります
以上の事が大丈夫な方はどうぞ
「どうなりたいって」
アリシアは誤魔化すような笑みを浮かべた。
だが、俺は何も返答せずじっと彼女を見つめる。
もう誤魔化せないと悟ったのだろう。
しばらく後、ため息を付いた。
「そ、そうだよ。わ、私はおにいちゃんが………好きだよ」
顔を赤くし目を泳がせながら言った彼女の言葉はかなり弱弱しく小さいものだった。
面と向って言われると、俺が言わせた事ではあるが恥ずかしい。
「なんであそこで、あんなことしちゃったかな」
赤くなった顔を手で覆い、先ほどの行動を悔いてる。
「けど、仕方ないよね今までおにいちゃんを好きって言う奇特な人いなかったもん」
彼女の毒に何ともいえない気持ちになる。
「奇特って言うな。それだとお前まで奇特になるぞ」
「いいのよ。ほら、私って面倒な女だし。重い女だし。自覚あるし」
追い詰められた余りか、めをグルグル回して自虐を始めた彼女。
「そんな気はしなかったが」
冗談が言える楽しい関係だ。
面倒だだとか重いなとは思った事がない。
怖いなって思うときは少しあるが。
「そんなことない。だって私はおにいちゃんの事を独り占めにしたい」
「それは、普通じゃないか」
それはただの可愛い嫉妬じゃないか。
「そんな曖昧なものじゃない。私はおにいちゃんを閉じ込めて、私の物にしたいの」
人はそれを監禁という。
監禁は駄目絶対にだ。
これは、確かに普通じゃない。
「大丈夫。養ってあげるし、世話もちゃんとするよ。だからね」
何が大丈夫なんだ。
全然、大丈夫じゃない。
ペットじゃないんだぞ俺は。
というか、さらっと監禁生活を勧めないでくれ。
さっきの甘い空気がどこか遠くのものな気がした。
「断る。俺は旅がしたいんだ」
「解ってる。ただ冗談だよ」
そう入っているものの、彼女は少し残念そうな顔をしていた。
「でもそんな願望があるならもしかして、実はあの部屋を取ったのはわざとだったり」
「そ、そうね。そうに決まってるじゃない」
そう言う彼女の目は泳いでいた。
それは、普通に知らずに取っていたんだな。
「じゃあ、朝に俺を踏みつけたのは」
「踏みつけた、私がおにいちゃんを」
首を捻り考えて始めると、何かを思い出したようだ。
「そういえば、『おにいちゃんが床に寝てたから踏まないと』と思った気がする」
「いや。何で踏むんだよ」
「何でだろう」
そう首を傾げる彼女を見て俺の力は抜けた。
アリシアはやっぱりアリシアだった。
先ほど普通の人が聞いたら、距離を置こうとするような発言をした彼女だ。
だが、俺の抱えている気持ちはなんと表現すれば良いのか解らない。
アリシアだからしょうがないなの一言で片付けてしまいそうになる感情。
本来、片付けてはいけない事柄なのだろうけど。
まさかこれが、恋なのだろうか。
愛おしいのような世話したいような。
彼女が全うな道に進めるように、ついでに常識も身につけられる様に。
そんな感じの教育がしたい。
このままでは心配でしょうがない。
これが恋なのだろうか。
ならばこの気持ちを伝えねば、無理やり聞き出して此方の気持ちは隠したままというのはフェアじゃない。
何よりこの気持ちを抱えたまますごすのは辛い。
「………」
いざ言おうとすると言葉が出ない。
顔が熱くなり、眩暈がする。
気持ちも不安定になり、逃げ出したい気持ちに陥る。
凄いなアリシアはこんな状態なのに言えるって。
だが、ずっとうじうじとは言ってられない。
よし言うぞと、再び覚悟を決める。
「アリシア。お、俺も好きだよ。アリシアのこと」
少しどもってしまった。
「あ。ありがとう」
そう言う彼女の顔は蕩けてて、思わず彼女の頭を撫でてしまうほど可愛かった。
☆
それから気恥ずかしさから沈黙が続き気が付けば先ほどのおばちゃんの店の近くまで戻ってきてしまった。
ここで、この買い物には彼女の力が必要になると言う事を思い出す。
「なぁ、アリシア。次元空間収納魔法って食材を入れることは出来るのか」
「できるけど、目立つからやりたくない」
まだ恥ずかしいのかそっけない返答が帰ってきた。
「なら宿で頼んで良いか」
「いいけど何で。何時もはおにいちゃんが持ってたのに」
「事情があってだな」
「事情って何」
どう説明したものか困る。
とりあえず、説明しながら疑問に答えればいいか。
「ギルドでのやり取り覚えてるか。先に釘を刺すがと個人的なやり取りではなく業務的なやり取りの方な」
「そのぐらいわかってるよ。そのことで、気になったんだけど」
心外だとでも言うようなジト目を此方に向けてくる。
「依頼がなかったことだろう。それは簡単で依頼を出せる状況ではないのだろう」
「どういうこと」
「つまりは、金が無い。或いは金が足りない」
「お金なの」
彼女は、怪訝そうな顔をする。
少し前までお金の心配も無く人助けに専念していた彼女にとっては余り好ましくないのだろう。
しかし、残念ながら冒険者は慈善組織では無い。
金が無ければ依頼を出せない。
適正ではない安い賃金で出せば、やってくるのは詐欺師紛いか、無謀な若者だけ。
そうなると自分達が落ち目に成っていると、ただ冒険者に知らせているだけになる。
それではまずい、では如何するか。
外との連絡、それこそ領主に談判するはずだ。
どんな領主だって村一つ潰れるのがどんなに不味いか解っている。
だから、多くは冒険者ギルドに依頼を出す。
だが、どちらも無い。
ポト村は現在、外部との連絡を断たれている可能性が高い。
ならば、食料も不足しているはずだ。
そこで次に考えないといけないのは原因と物資の使い方。
原因はおそらく三種類
街道の通行不能、盗賊の襲撃、魔物の襲撃。
街道の通行不能なら簡単だ。
町に戻り然るべき所に、街道がふさがっていると言う事を伝える。
そして、空を飛んで村に行き商業ギルドに物資を売る。
引け目があるなら、買った値段で売ればいい。
それで、増減はなし。
残りの二つ、盗賊や魔物の襲撃も簡単だ。
俺達は物資を無償る。
その代わりに情報と信頼を得る。
村長の許可を貰って原因を排除し、魔物なら素材を盗賊ならば溜め込んだ金品の一部と盗賊の身柄を貰う。
依頼が出せないほどの高難易度の物だ。
それを、冒険者ギルドで売れば元手以上は稼げる。
これが今回やろうとしていることだ。
俺の推論や計画をアリシアは真剣に聞いていた。
聞き終わると少し考えたようなポーズをとる。
「それいいね。勇者達より勇者っぽい。私も手伝うよ」
彼女は満面の笑みを浮かべ答えた。
お読みになって頂いて有難う御座いました。
ここまで来て思いましたが、まともなキャラが少ない気がします。