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プロローグⅠ

注意

・ 文章力が低く読み辛い

・ ご都合主義

・ スローペースな物語の進行

・ 残酷描写あり


以上の事が大丈夫な方はどうぞ

町の人から見送られどれだけ時間がたった頃だろう。

そろそろ次ぎ向かう村までの折り返し地点辺りに差し掛かったころ突然、勇者は告げて来た。


「お前はここまでいいから」


突然何をと思ったが意地悪くニヤニヤ笑い侮蔑に染まったどす黒い眼差しを此方に向けてくる勇者を見ると彼が本気だと言う事が見て取れる。

では仲間達はと彼女等の方を見渡すが、一人はそっぽを向き残る二人は勇者と同じどす黒い笑みを浮かべている。

どうやら彼らは密かに企んでいた計画を実行したようだ。


「そうですか分かりました。リュックはここに置いときますね」


彼等のどす黒い笑みを浮かべる顔面を殴り矯正したい衝動を抑えつつも、リュックを地面に置いた。


「お、おう物分りが良いな」


侮蔑の眼差しを向けていた勇者は俺の行動に顔を顰めた。

どうせ、俺が動揺し縋り付くのを笑い飛ばすつもりだったのだろうが甘い。

思い通り成らず苛立ちを覚えるのなら勝手にしてほしい。


彼らの事は気にかけず町へと踵を返す。

だが、そんな態度が彼を苛立たせたのだろうか『ちょっと待て』と声を荒げ俺の肩を掴んできた。


「何でしょうか」

「………。そうだ。金だ。金とそれから武器も置いていけ」


彼の発言を一瞬理解出来なかった。

世界を守るはずの彼から出た、賊の様な言葉に戸惑ってしまう。

だが、それは俺にどす黒い笑みを向けていた彼女達も同じようで困惑したように仕切りに二人でアイコンタクトを取っている。


「武器は私の私物ですし、お金は私が稼いだものなのですが」

「俺に逆らうのか」


勇者は顔を赤らめ腰に下げていた聖剣を抜く。

すると、困惑していた彼女達も迷いつつも武器を構えた。

落ちる所まで落ちたか。

彼等の行動に落胆し眩暈を感じつつ、素直に財布と武器を取り出す。


「後悔しますよ。それでもいいんですね」

「ごちゃごちゃうるせぇ。さっさと寄越せ」


彼に最後のチャンスを与えるがそれすら無視し財布と武器を強引に奪い取る。


「もう、お前に用は無いさっさとどっかに行け」


勇者は腹を蹴り俺に尻餅を付かすと、愉悦に浸ったような笑みを浮かべた。

こちらこそ、こんな泥舟パーティーは御免だ。

立ち上がり土を払うと町に向けて駆け出した。


                   ☆


賊行為を行った彼等と袂を分かってどれぐらい時間がたっただろう。

今現在、困った状態へと陥っている。

と言うのは体長1m程の狼の魔物『グラスウルフ』の群れに襲われ戦闘中だ。

30匹程度なら武器さえあればすぐ片付くのだが、無いとこうも時間が掛かってしまう物なのか。

逃げれれば良いのだがここは奴等のテリトリー。

下手に逃げたところで増援が出てくるだけだろう。

本当に今日は厄日だ。

仕方が無いので全て殲滅する覚悟をきめる。


幸い、狼どもの攻撃を避けるのは簡単だ。

それは、狼どもはあらゆる角度から俺に向かって飛び掛ってくるだけだからだ。

そのご自慢の爪や牙で俺の命を抉り取ろうと躍起になっている。

だが、正面からでも死角からでも飛び掛ってきた所で俺にとっては関係ない。

狼共の吐息の音、足で大地を蹴る音、生臭い息の臭い、土と埃が混じった臭い。

そのどれもが彼等の位置を、教えてくれる。

甘い攻撃にはカウンターをかける余裕さえもある。

だが、生暖かく柔らかい物を殴る感触、ゴキリと相手を骨を折る感触。

これが俺の心の安寧を乱し、戦意を削る。

それでも、止めない。いや、止める事が出来ない。

歯を食いしばり、随分数を減らした頃に『ウオォオォオォオォオォン』とグラスウルフの遠吠えが草原に木霊する。

すると、どこからも無く新たにグラスウルフの群れが現れた。


鳥肌がたった。

またあんな思いをしないといけないのかと心が折れそうになる。

その隙をグラスウルフは見逃さない。

飛び掛ってくる。

ゾクリと背筋が凍り死が頭をよぎる。

何とか避けたが完璧には避け切れず狼の爪が皮膚を浅くえぐった。

ズキズキと刺す様な痛みが俺の迷いをふっきり、タラリと流れる熱い血と汗が俺の生きたいという意志に変わる。


そんな決意を知らないグラスウルフはそれを勝機だと思ったか攻勢を仕掛ける。

だが甘い。俺にはもう、迷いは無い。

それでは俺は殺せないし、殺される気も毛頭ない。


それに、勇者達も俺の死を望んでいるのだ。

ならば、俺は死ねない。死んで成る物か。

勇者は制約の為、善人に手をかける事は許されていない。

だからこそ武器を取り上げ魔物に殺してもらおうと咄嗟に思いついたのだろう。

ならば俺は何が何でも生き残ってやる。


甘くなった攻撃を避けグラスウルフ達をひたすら叩き潰す。

覚悟しとけ狼共。俺はお前等には負けない。



                 ☆


それから、どれだけ時間がたっただろうか気が付けば日は傾き草原を赤く染めていた。


思い返すとあそこまでの泥仕合は初めてではなかろうか。

倒しきれずにあの後に何度、遠吠えで仲間を呼ばれたことか。

そして、気が付けば周りには100を超えるグラスウルフの死体が糞尿の臭いを放ちながら横たわっている。

もう二度と素手でやり合いたくない。


今日中に町に戻る予定が大幅に狂ってしまった。

しかも、今からこの異臭を放つ大量の死体を片付けないといけないのだ。


今日1日で1年分の不幸が襲い掛かっているのではないのかと錯覚する。

途方に暮れていると、どこからか魔法の詠唱が聞こえてきた。

戦闘態勢を取り辺りを見渡す。

夕日で染まっているせいで辺りが見づらい為か見つからない。


どうするかと、焦って居る間に魔法の詠唱が終わった。

何が来る。

身構えた俺を他所に大量に有ったグラスウルフの死体が沼に沈むように消えていった。


「誰だ」


辺りを見渡し叫ぶ。

狼共の処理の手間が省けたのは嬉しいが、相手は人の獲物を横取りした輩だ。

そいつが善人であると言う保証も無いし、ここで襲われる可能性もある。

やはり、何度、見渡しても見つからない。

そうだ相手は魔法使いなのだ。

慌てて俺は上空に視線をやった。

夕日で見づらいが、一つの人影が上空に浮遊していた。


「誰だとは、心外だね。お兄ちゃん」


その女性の声色に一人の人物の顔がよぎり思考が止まる。

何故。アイツがここにいるんだ。


杖にのりゆっくりと降りて来た女性の姿がはっきりと見え言葉を失う。

そんな俺を見て悪戯に成功した子供のようにアイスブルーの瞳を細めた。

お読みくださって有難うございました。

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