幻の6階
状況が状況だ。飲むしかない。
『平川、いいか? ガラスが柔らかいと念じるんだ』
『……分かった』
平川は目を瞑り、強く念じてるようだ。
すると、ピキッ、ピキッ。……バリン! ズシャー! とガラスが割れて中の水が流れ出る。
『助かった〜!』
『ママー! パパー!』
『陽子! 虎太郎! 良かった、無事で』
家族3人で抱き合ってる。平川はソッと2人に自分のジャケットを被せる。
しかし、子供は俺の顔を見ながら『悪魔だ』と言った。
『坊や、何を言ってんの?』左目が潰れてるからかな? 子供はそれっきり口を閉ざした。
『よし、あとは脱出するだけだ』
『でも出口らしき所はなかった』
『待って! 状況が分からないけど、私達は閉じ込められたの?』
『ああ、そうだ』
『よくよく考えたらさ、ワンダーiを遣って外に出て、助けを呼んだ方が良かったよね』
『金田、そうはいかない』平川は不思議な事を言う。
その時。ガタン! 俺は目を疑った。水槽の天井が開き、脚立が下ろされた。
『誰だ!? 犯人か!?』
『危害は加えない。上がってきなさい』男の声だ。
俺達は考える。誰から上がるべきか、脱出するには脚立を登るしかない。すると、平川が『私から行くよ』と志願した。
『大丈夫かよ、平川』
平川は脚立に足を掛けてしっかりしてるか確かめる。
ギシギシ……平川は一歩一歩、慎重に登っている。
平川はなんとか登りきったようだ。『大丈夫だ! 順番に登ってこい!』
次に平川の子供が登り、奥さん、高間、金田の順で登り、最後に俺が登る。
6階に上がると、そこはなんかの研究室のようだった。何だここは!?