水槽に閉じ込められた家族
ガタン! 俺はギスい扉を開ける。20代後半の女性と幼稚園生くらいの男の子がガラスの奥に居た。
『…………陽子!? それに虎太郎!』平川は血相を変えている。
『あなた! どうしてここに!?』
『平川、まさか奥さんと息子か?』高間が聞いた。
『ああ、そうだ! ……すぐに脱出しよう!』
平川がガラスに近付いた時、「ピッピピー」と鳴り、ガラスの上から水が勢いよく流れ始めた。
水が四角く溜まっていく!? これはただのガラスじゃない。デカイ水槽だ。平川の奥さんは両手首を縛られてるようだ。抜け出す隙間もない。ガラスを割るしかない。
『パパー!』
『今、助けてやるからな! 虎太郎! ……皆、鈍器みたいな物がないか探してくれ!』
――俺達は5階をくまなく探す。そして、水槽の前に集まる。水かさは水槽の半分くらいまで溜まっていた。
『キョウジ、高間、何かあったか?』
『ダメだ、何もない。平川、体当たりで壊そう』
俺と高間は助走をとって思いっきりガラスに体当たりをする。ガン!
『ビクともしない! 強化ガラスか!?』
その間も流れ落ちる大量の水。時間はない。どうしたらいい? 平川は力なくガラスを叩く。
『平川、2階の死んだ奴が着けてた金のネックレスはどうだ? 取ってこようか?』
『時間がない! それに金は柔らかい』
俺達が途方に暮れていた時に「ピッピピー」と鳴り、水が止まる。助かった? しかし、水かさは9割ほど溜まっている。閉じ込められてる2人は苦しそうだ。平川の奥さんは背伸びして、子供は水槽の僅かな出っ張りに掴まって呼吸をしてる。
『平川、ワンダーiを飲みなよ』金田が促す。
『私が飲んでも無意味だ』
『いや、効果あると思うよ。俺は五月蝿い編集者を異動させる事が出来たし』
『眉唾物だな、偶然じゃないの?』俺は懐疑的だ。
『マジで効くよ、ハハハ。平川、飲めよ。水が止まってる間に』
『僕も目が治ったし、効果あるよ』
『犯人は俺達をモニタリングしてるはずだ。再び動き出す前に飲めよ』
『しかし…………』
『ほら、平川』金田がワンダーiという薬をポケットから取り出す。
『こういう時の為にとっておいたんだろ? 平川、一か八か飲めよ』
『クソッ! 仕方ない!』平川は金田の手からワンダーiを取り、口に入れる。