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けれども僕は前を向く  作者: 赤青群青君
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出会い

軽く見てくれたら嬉しいです。

「よし、これぐらいかな」


少年は少し小さめのリュックに色々と物を詰め込み、ドアノブに手を掛ける。

そこで後ろを振り向き、部屋の隅に飾ってある写真を見る。


「行ってきます、爺ちゃん」


そして少年は、外の世界へ出て行く…。



↓↓↓↓↓↓↓↓↓



この街、ファルセハードは数十年前に突然塔が現れ、そこから栄えていった。

なんでも地面から植物が生えるようにグングン伸びていったという。

そしてそこには、魔物が多く存在した。

倒しても倒しても無限に沸き、一定量以上は増えないという最高なおまけ付きで。

さらに魔物は倒すと消え、アイテムだけを落とすという、これまた良く出来たシステムだった。


これには各国の冒険者が集まり、そしてそこに宿を建て、さらに商店街などが増えていったことで発展した。

ギルドなども生まれ、冒険者稼業は次第に本格的となり、魔物から得た知恵で魔法も使えるようになった。


そんな街に1人、少年がロクな武器も防具も持たずやって来る。

名は リュク 、駆け出しの冒険者。

腕も未熟でこれといった才能もない。

努力でしか何かを成し遂げられない少年。

それを不憫に思った神様が、ある能力を彼に授けた。

彼はそれに気付かないまま…。



↓↓↓↓↓↓↓↓↓



ー塔入り口ー


「やっぱり多いなぁ…」


塔の入り口で、リュクはそんな事を呟いた。

まだ朝は早いはずだが、塔の入り口には冒険者が大人数で中に入っているところだった。

リュクは一応列に並ぶが、すぐに押し出されてしまう。

やはり1人なのがいけないのだろう。


「でもなぁ…雇う人もお金も無いしなぁ…」


はぁ、とため息をつく。

もしため息の数だけ幸せを逃しているのなら、リュクは今頃何も無い所で転んで頭を打っているだろう。


よし!と意気込んで、本日4回目の列に並ぶがまた押し出されてしまう。


「いったぁ…やっぱり駄目かぁ…。…あれ?タリスが…」


首元に付けていたはずの石が無くなっていることに気付く。

おそらく押し出された時に外れたのだろう。

リュクは、キョロキョロと辺りを見回すと、5メートル先に転がっているのが見えた。


「あっ、ま、まて!」


すぐに追いかけるが、石は華奢な手に止められる。

止めたのは女の人で、塔に来たのか軽めの防具姿だった。

それにしても綺麗な人で、しばらくボーッと見ていると、相手の方がこちらに寄って来た。


「あっ、いえ!その、そのですね!えーっと…」


「これ」


女の人が手を出してくる。


「え?」


「あなたのじゃないの?」


可愛らしく首をひねる。

そこでようやく、自分の思考が冷静になってゆく。


「あっ、ぼ、僕のです」


「そう、よかった」


あまり表情の無い顔で言ってくるが、雰囲気で伝わってくるから不思議だ。


「あ、ありがとうございます!」


「お礼はいいよ、拾っただけだから」


「えっ…あ、あのーーー」


「おーい、何してんだ レイラ」


そこで、男の声が掛かる。

見ると、数人の男女がこちらを見て待っている。

この女の人の仲間なのだろう。


「あっ、あのーー」


「じゃあね」


「あっ」


間をあけず、むこうへ走って行ってしまう。

その綺麗な後ろ姿に、見惚れてしまう。


『ねーねー、何してたのー?』


『何だか困ってたから』


『このお人好しー』


『おいフィグ、お前レイラに近づきすぎなんだよ』


『うわー、ロウきもー』


『んだとオラ』


『やめないか2人とも』


そんな会話が聞こえてきて、思わず口にしてしまう。


「いいなぁ…パーティって…」


僕はそのパーティが塔に入るまでここを動けなかった。



↓↓↓↓↓↓↓↓↓



右手には短剣、左手には木製の盾、そして防具は安い銅の装備。

あまりにも貧弱だが、何とか2階層までならこの装備でいける。

2階層までは脳筋で突っ込んでくるだけの魔物しかいないからだ。

だから、この装備でも充分といえる。


すると、早速魔物と遭遇した。

フワルと名の魔物だ。

名前通りフワフワしていて、危なくなったら仲間を呼ぶので初心者には優しい稼ぎ魔物だ。

僕は、少しずつ距離を詰め、…一気に斬りかかる!

こうしないと、逃げてしまうからだ。


僕の攻撃は、フワルの胴体へあたり、フワルは床へ落ちた。

だが、フワルは最後の力を振り絞って「アァァァ」という短い声を出し、アイテムとなった。


しばらくすると、色の違うフワルが4、5匹集まってくる。

こうして、安定させて稼ぐことが出来るのだ。


「今日は何体いけるかなぁ」


そんな事を考えながら、僕はフワルへ寄ってゆく。

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