高校デビューは甘くない8話
イッキ読みの方は、はじめまして定期的に読んでくれている方はお久しぶりです。
何とか今回は、投稿する予定だった日にちを超え過ぎず間に合わせることができました
このペースでどんどんと投稿していきたいのですが、家でダラダラすることが中毒になってしまいどうしてもヤル気が出ない時があるので…どうか遅れた時はお許しください笑
っていうことで、次話はおそらく来週の木曜日に上がります!
放課後、奈良花と八雲に集まるよう約束したので俺は帰りのホームルームが終わっても帰らずに教室に残った
ただ、ぼっちになって以降、放課後に教室に残ったことがなかったからか、あまりの賑やかさに俺は少しを身を縮めてしまっている
奈良花は掃除の当番らしく、それが終わったら来ると言っていたので、それまで待たなければいけない
一方の八雲はというと、絶対に暇なはずなのだが放課後の騒がしい時に他クラスに入るのが憚られるのだろうか、時間を潰してくると言って何処かに行ってしまった
よって、現在俺は奈良花が来るまで強制的にこの地獄を耐えなければならという状況に陥っている
まぁ……そんな時は、ソシャゲに限るよな!キラッ
ということで俺は颯爽とポケットからスマホを取り出し、「パズル&ビースト」通称パズビスを起動した。
そして、スタミナを消費しなくても無限に楽しめるまさに、無限回廊を始めた
あ〜、これが一番楽しいんじゃ〜
休憩時間もずっとやっているためスタミナが残っていないことが多いので、そういうときにやっている
ただ、ソシャゲーの残念なところはマンネリ化しちゃうところだな
だから、最近は他のアプリにも色々と手を出している
俺は、しばらくソシャゲをしつつスマホをいじっているといつの間にか充電がなくなってきていた
ヤベっ、充電なくなってる、どうしよ、さっき予備のバッテリーも使っちゃったし…
俺はスマホを使うことを諦めて、何とか身の回りのもので時間を潰せるものがないかとカバンや机の中を探してみた。
しかし、結局何も見つからず、とりあえず俺は窓から外を眺めながら時間を潰すことにした。
すると、今日が何の日かわからないがいつもはいない生徒会が正門のところで帰りの挨拶運動をしていた
「じゃあね〜小春会長〜」
「さよならなのだ!」
「「じゃあねー」」
などと生徒会は生徒と元気よく挨拶を交わしていた。
帰りに挨拶って独特だな、やるなら普通朝だろ…
それに、会長と呼ばれているということは、あの子が生徒会長なんだろうが、やけに小さいな。見た目的には小学生って言っても通用するレベルだぞ。そんな制度内にはあるとは思えないが、もしかして飛び級とかじゃないだろうな。
俺がそんな変な勘ぐりをしていると生徒会のメンバーの中に見知った顔を発見した。
会長とは真逆の高身長でマッチョの男子生徒
彼の名前は明智 立央
あいつは、早稲と小さい頃からの幼馴染で一年生の時に俺と同じグループに所属していた1人
見た目や早稲の幼馴染という事もあってか女子からの人気は高い
そんな立央は未だに、あのグループが離れ離れになってしまったことを恨んでいるのか早稲に会いにクラスに来てはこっそり俺を睨んだりしている
言っとくけど、あれバレてるからな…
てか、立央って生徒会に入ってたんだな…
俺は、事件以降グループの奴らとは直接関わることがなかったので、その後どうしてるとかは全く知らなかった
…立央なんか変わったな、もっと笑うやつだったのに…
そんなことを考えてながらぼーっと外を眺めていると肩をポンと叩かれた
「ん?」
後ろを振り返ると俺のほっぺたに人差し指がぽこっと刺さって、そこには笑顔の奈良花が立っていた
「やーい、引っかかった〜」
///ちょっ、ちょっ、ちょ、なにこれ、ドキっとするんですけど‼︎
古典的なイタズラながらも不意をつかれた所為か俺の中のリトル鷹宮か騒ぎ出している。
と、とにかく、ここで興奮したらキモがられるから落ち着け俺‼︎
俺は膝を思いっきりつねって、グッと堪えて、なるべく普段通り対応した
「な、何すんだよ…びっくりしただろ」
「えへへ、何となくやってみただけよー」
奈良花はいたずらが成功して子供のような無邪気な笑顔で笑っている
「なんだよ……。それにしても戻ってくるの早かったな」
「まぁね、誰とも会話せずにやったらパパっと終わっちゃった。」
奈良花が、ドヤ顔で言ってきた。
「おいおい、理由が悲しすぎるんですけど…」
「いいじゃん!…早く終わったんだし」
「それはそうだけどさぁ…」
なんか、俺は新入生のことだけでなくこいつのこともどうにかしてやらなきゃいけねぇんじゃねぇか?…
「それより、何ぼーっと外見てたの?」
「あぁ、外で生徒会が帰りの挨拶運動してたから、ついな」
「へー、生徒会って、誰いるのかなー?」
そう言って、奈良花は俺のの隣から身を乗り出して外を見た
「あっ!あれ!小春会長だよね⁈可愛い〜」
奈良花はさっきの小さい生徒会長を指さしながらそう言った
「なんだ、知ってたのか?」
「当たり前じゃん。てか、逆に知らなかったの⁈」
確かに、あんなに小さい子が先輩でいてよく俺は気づかなかったな
いくら下向いてても、あの小ささなら目に入るだろうに
「悪いかよ、さっき初めて知ったわ。」
「ったく、あんたね……もうちょっと周りのこと見たら?私のことだって去年も同じクラスだったのに覚えてなかったし…」
「別にいいだろ、知らなくても生きていけるんだし…」
「はぁ…ホント、変なとこ意地はってるんだから…」
奈良花は聞こえるように、大きな溜息をついた
「それより、もう1人来るって言ってたけど、まだなの?」
「さっき連絡したから、もうすぐ来るはず」
それから奈良花とたわいものない会話をしつつ五分ほど待っていると教室のドアがガラガラっと開いた
そこから入ってきたのは、ビジュアル系のバンドを連想させる長髪と耳のピアスに着崩した制服、その名もぼっちデビューヤンキーこと鳴島八雲さんだ
「おう、やっときたか八雲」
俺が手を挙げるといつも通りクールに教室に入ってきた
「すまん、待たせたな」
そう言って八雲は乱暴にカバンを近くの机に放って空いてる席にドタッと座った。
俺と八雲は普段通りの絡みなのだが、1人だけ挙動不審なやつがいた
「えっ、えっ、えっ、ちょっと待って、もう1人のメンバーってナルシ?」
「は?誰だよ、ナルシって」
「だから、あの鳴島かって聞いてんのよ?」
何故か奈良花が怒っているが、理由が俺にはわからない
八雲のやつ、なんかしたのか?
「そうだけど…なんか文句あんのか?」
俺がそう言うと、奈良花が「はぁ〜」とため息をついた
「いやー、まぁ、なんとなく想像はしてたけど、よりによって鳴島だとわね……」
理由はわからないが奈良花が猛烈にガッカリしている
「なぁなぁ八雲、お前、奈良花になんかしたのか?」
俺が聞くと八雲がキレながら返してきた
「あぁ?知らねぇよ、この女のことなんか。どうせ、裏で俺の悪口言ってるバカなヤツらのうちの1人だろ?」
「えー、奈良花、そうなのか?」
俺と八雲でジーッと見ると奈良花はブンブンと手を振って否定した
「違う、違う!私は悪口言ってたわけじゃない。ただ、単純に女子の中では鳴島は悪い噂しかないから……六股とか…」
それを聞いた八雲は、慣れている様子でヤレヤレといった表情をしていた
「まぁまぁ、一時期噂になったことは確かだけど、所詮噂だからな〜。なぁ、八雲?」
「あぁ」
それを聞いた奈良花は少し動揺しながら質問してきた
「え?じゃあ、実際のところはしてないってこと?」
「そうだ。俺はずっと言ってたが誰も聞こうとしなかった。まぁ、今は否定するのも面倒くせぇしほっといてるがな」
「へ〜…そうなんだ。」
「だから奈良花は、八雲がメンバーだからって手を出される心配はしなくていいぞ。」
俺がそういうと八雲は心外だといった様子で俺の後ろに回って首を絞めてきた
「このやろう!お前がそういうこと言うから、また変な噂が広がるだろ‼︎」
「痛い、痛い、って八雲、冗談、冗談だから!」
俺がタップしてギブアップすると、八雲は力を抜いて元の席に戻った
「ねぇねぇ聞きたいんだけど、もしかして私は、ずっと鳴島のこと誤解してたってこと?」
「まぁ、そうなるな」
「やっぱそうなんだ…じゃあ、ごめんなさい!これから一緒にやっていくのに詳しいことも知らずに変なこと言っちゃって」
奈良花は八雲が本心から噂を否定しているとわかってか、頭を下げて一生懸命謝罪をした
すると、八雲は女の子が噂を嘘だと信じて真剣に謝ってくれたことがないので驚いていた
「お、おぉ。…分かったんなら、別にとやかく言わねぇよ…」
「ありがとう!じゃあこれからよろしくね」
そう言って奈良花が手を出すと
「あぁ」
少し戸惑いながらも遅れて八雲は手を握って握手を交わした
奈良花と八雲の件がひと段落したということで、俺は本来の目的であった部活の話についてすすめることにした
「えーと、奈良花と八雲が少し和解できたということで本来話す予定だった話を始めます。まず、奈良花には、まだ具体的には話してないけど俺たちはこれから新しく高校デビューをする生徒の為に活動することになった。そして、その部活を作る目的は、もうすぐ行われる部活動紹介の際に新入生全員に暗号を入れたチラシを配ることで学年全体に漏れることなく情報を回すことだ。そして、今日集まっていただいたのは他でもなくその部活を作る為である。というのも部活を作る為には顧問と空き教室が必要なわけで。だから本日は部活を作る為に必要な顧問と空き教室を獲得すべく笹野葉先生のもとに特攻する。すでに、放課後に話があると言ってアポは取ってあるが内容については何も話していない為、何が起こるかわからない、それでも実行する勇気があるものは心臓を捧げよ‼︎我ら調査兵団に‼︎」
それを聞いた奈良花は、途中までは食い付いていたものの、最後の方でふざけてしまったのがバレてこちらを薄目で睨んでいる
一方の八雲は、途中から話を聞くのをやめてチュッパチョップスの棒をタバコのように咥えながらふーっと息を吐いていた
「おいおい、お前らな。真剣に聞くということはできないのか!」
「いやいや、最後の方あんたふざけ出したじゃない」
「ゔぐっ」
「それに、話が長い。要するに今から笹野葉のとこ行くってことだろ?」
「…まぁ、その通りだけど」
「じゃあ、とっとと行くぞ。面倒くせーしな」
「ねぇねぇ、なんか八雲がリーダーっぽくなってないか?」
俺がそう言うと
「えっ?そもそもあんたリーダーだったの?」
「言っとくけど、お前の下につく気はねぇぞ」
二人から鋭いツッコミを喰らった。
さんざんな言われようにさすがのリーダーも心が折れたが、二人はそんな俺には構わず先に教室から出て行った。
しょうがないので、さっきのことは忘れて二人を追いかけることにした
職員室に着くと、笹野葉先生は話を覚えてくれたみたいで作業を止めて時間を作ってくれた
「おうおう、来たか。それで、鷹宮、話ってのは何なんだ?」
「笹野葉先生って、確か、部活動の顧問とかしていらっしゃいませんでしたよね?」
「そうだけど」
「それでモノは相談なんですけど、僕らがこれから作る部活の顧問やってもらえませんかね?」
それを聞いた瞬間先生の態度が急変した。
「あぁ?何で私がそんなことやんなきゃいけねぇんだ?部活の顧問ってほとんどボランティアなんだぞ!私の時間がタダで買えると思うなよ。」
先生が近くに何故か置いてある竹刀を取ろうとするのを止めながら俺は応えた。
「いやいや、落ち着いてください先生。僕は先生のことを思って言ってるんですよ。あのこともありますし…」
俺はそう言いながら、以前笹野葉先生に捕まったときに協力すると言ったことを耳打ちした
それから、少し笹野葉先生はウンウンと頷いて考え始めた。
「ん〜、まぁ…鷹宮がそこまで言うなら、しょうがないな…私で良ければ協力しよう。」
「ありがとうございます!」
先生の態度が耳打ちの後で一変したので、奈良花が俺の脇腹を肘で突いて聞いてきた
「あんた、何したのよ?」
「いやー、別に」
「嘘だ、何もしないで、あんなに180度態度が変わるわけないじゃない」
「まぁ…先生にも良いことありますよって言っただけだよ…」
笹野葉先生にそれ以上言うんじゃねぇぞとばかりに睨まれたので詳しくは説明しなかった
だが、奈良花は納得いかないがらも、その場は流してくれた
「そういえば聞いてなかったが部活の内容は何をするんだ?」
そう笹野葉先生に聞かれて、そういえば考えてなかったなと気づいた
本来の目的は、もちろん高校デビューを手助けすることだが部活を作るとなると表向きの名前が必要だ
んーー、奉仕部?いや、それはダメだ
他には隣人部とか?いやいや、それもダメだろ
じゃあーー………
「相談部…とか、どうでしょうか?」
「…どうでしょうかと聞かれてもな…お前達ですでに決めているんじゃないのか?」
そう言われて俺はこれでいいよなと確認を取る為二人の方を向くとまぁいいんじゃないと二人とも頷いてくれた
「はい、元々決まってました相談部で!」
「まぁ部活名は分かったが、相談部と言っても活動は何をするつもりなんだ?」
「基本的には、部室で悩みを抱えた生徒の相談に乗ってあげることです。」
「ひとまず内容は良いとしても場所とかはどうするんだ?部室がいるんだろ?」
「心当たりはあります。」
「何だ?聞かせてみろ」
俺はそう言って以前先生に閉じ込められた部屋の話をした
すると
「あ〜…あの部屋か…、まぁ、正直使えなくはないんだが…」
先生は、そう言った後、俺に耳を近づけるように言った
「実はな…ココだけの話、私はあそこでいつもタバコ吸ってるんだよな…だからお前達に協力したいのはヤマヤマなんだが…」
あっさり、ぶち込んできたよ、この先生⁈さすが元ヤンはやることが違う、法が意味をなしていない!
ただ、ここを逃せば部屋は管理している担当が違うだろうし他の先生に頼む必要がある。それに、笹野葉先生は意外はおそらく俺たちが部活を作ろうとしていることに賛同してくれないだろう
…なら、ここは一か八か賭けてみるしかない…か
俺はもう一度先生に耳打ちした
「先生、実はココだけの話、熱男先生の唯一苦手なタイプがタバコを吸ってる人らしいですよ。やっぱり体育の先生だけに、健康には気を使ってるんでしょうね。」
それを聞いた先生は
「な、、何⁈本当なのか?鷹宮!」
「先生落ち着いてください、僕が先生に嘘をつくわけがないじゃないですか!信用してください!」
「じ、じゃあ、私は今日から禁煙するぞ!健康が一番だしな!」
「よっ、それでこそ笹野葉先生です!」(ちょろいな〜)
「よし、なら部室は三階の視聴覚室で決定だな。」
「ありがとうございます!」
俺は、なんとか(先生がちょろいおかげで)部室を勝ち取った。
熱男先生には、後でウラ取らないとヤバイな。笹野葉先生、ホントに信じてるよ。まぁ、時間もなかったし上手くいってよかった
俺がホッと一息ついていると、また奈良花が脇腹をつついてきた。
「ねぇねぇ、あんた後でしっかり話しなさいよね!さすがにあんなにコソコソされると気になるから!」
「わかった、わかった、後でな、教えてやるから待ってろ」
「絶対だからね!」
奈良花は、笹野葉先生と話した内容をついて知りたがっているが一方八雲は全く興味が無いらしい、ずっとスマホをいじっている
「八雲は何か気になること無いのか?」
「無い」
「何でだよ、興味持てよ」
「嫌」
「返事短っ!」
そんな風に俺たちが話合っていると話を遮るように笹野葉先生が声を発した。
「おい鷹宮、話をしているところすまないんだが確か部活を作るのに最低限必要な人数って4人だった気がするぞ…」
「「「えっ⁈」」」
俺と奈良花、そしてつまらなそうにスマホをいじっていた八雲までもが一斉に同じ言葉を発した。