高校デビュー 序章
修正して新しく書き直しました。
頑張って高めの頻度で更新していこうと思います。
突然だが、まず俺は言っておきたいことがある…
それは、俺は…高校デビューに失敗したーーー!!!!!
ただ、言っておくが、俺は中途半端な高校デビューをしたわけではない
それだけは知っておいてくれ
俺は全ての時間を高校デビューの為に費やした
中学の卒業式から始まった、イメチェン政策。
それは長く険しい道のりだった
筋トレによる体作り、男性向けのファッション誌の研究、初めての美容院、インターネットによるモテるため、人気が出るための情報収集、その他もろもろ。
成果が出るまでの長い道のりには何度も心が折れそうになってきた
だが並々ならぬ努力の成果により、段々と俺の見た目は変化していき、今までの自分とは違う理想の自分に近づいていった。
しかしまだ、足りなかった…。
そう…経験が!
今のままではfpsゲーム、いわゆるシューティングゲームで高いスコアを出せるようになっただけで調子に乗って本物の戦争に行くようなもの。
その結果、生まれるものは死のみ!
ただ、実戦に行くことはまだ出来ない。なら、さらなる武器を、織田信長が長篠の戦いの時に武田相手に銃を使ったように。
そうして俺が手に入れた新しい武器…それは…SNS!
俺は全てのSNSを使いこなすべく努力をした
自撮りのカメラの角度、光の当て方、いいつぶやき、SNS上のコミュケーションのやり方、その全てを寝る間を惜しんで勉強した
そして、ついに俺はライソ、ツイツター、ミクシィ、インスタントグラム、全てを制し、頂点に至った
そんな俺は、初めての戦場にガンダムで行くようなものだ
もはや、敵などいない
ビームライフル1発で戦争を終わらせることなど容易いだろう
そこまで強化された俺に、さらに神は微笑んだ
SNSを極めたおかげか、春から〜高校みたいなやつで学校が始まる前から複数人と知り合うことができた
そしてその結果……俺は高校デビューには成功した。
そう、俺は成功していたのだ
失敗したとは言ったが最初から失敗したわけではない、少しの間は上手くいっていたのだ
俺は入学当初から、今までインターネットから集めてきた情報を駆使して話を盛り上げ、さも今まで上位カーストの人間だったかのように振る舞い、人気を得ていった
その後は事前に知り合った人たちと集まって男女のグループを結成した
完璧だった、完璧な高校デビューとはまさにこのことだろう
これほどまでに順調なことは俺の人生になかった。
小学校、中学校をボッチとして暮らしてきたことが嘘のようだ。
俺は今までにないほど幸せな日常を過ごしていた
ただ、この時にみんなと遊ぶ時間をつくる為に部活をしなかったことは唯一のミスだった
そして来る夏休み、俺のスケジュールに空いている日などなかった
そんな人間などいるのだろうか
これぞ夢にまで見たあのリア充だと俺は確信した
夏休みは海に行ったり、バーベキューしたり、友達の別荘にお泊まりなんてものもした
俺はこのまま最高の夏休みを過ごして、秋からも楽しい生活を続けて行こうと思っていた
…しかし、事件は起きてしまった
あれは夏休みの終わりの日だった
事件の内容はまだ明かせないが、俺はよりにもよって一番仲がいい男女のグループの前で高校デビューであることがバレてしまった
それからは、もう…悲惨だった…。
学校に来ると噂は広まっていて、みんなが俺を見る目が以前とは全く違った。
いつも休憩時間に俺の席に寄ってくるやつらも他の席に集まって話していたり、グループにならなければいけない時も当たり前のように1人取り残されていた
さらに、事件以降に仲が良かった男女グループで集まることは一度もなかった
もう俺は、ドン底だった
小学生や中学生の時よりも視線が集まったり、話題にされて陰で色々言われている分だけもっと辛かった
しばらく学校を休もうかとも思った
ただ家族には迷惑をかけたくなかっただから、何事もなかったかのように過ごすしかなかった
そんな生活が半年以上も続いて気づけば俺は二年生になっていた
新しいクラスになって何か変わるかもしれないと少し期待をしていた自分がいたけど、現実は甘くなく相変わらず俺はクラスでぼっちだった
しかし、時が経つにつれて徐々に噂も薄まってきて、周りも俺のことなんか眼中にないのか騒ぎ立てる奴はほとんど居なくなっていった。
そして俺は丁度一周回って正真正銘のぼっちに戻った
そこで、俺はふと考えた。
高校デビューをすることはいけないことだったのか?と
自分を偽り、相手を騙し、仮初めの姿を演じたピエロになっていたのだろうか
だが人の本質というものは、ちょっとやそっと努力しただけでは変わらないものだと思う
だから、正直なところ、俺は変わっているようで、何も変わってなかったのかもしれない
けど他の人何も自分を偽ってない人からすると俺はただの嘘つきに思えたのだろう
それでも俺は高校デビューしたということを後悔はしていない
だって、俺の今までとこれからの人生において唯一誇れる思い出になったのだから…
この物語は、高校デビューをして楽しい日々を送るという話ではない、むしろその逆、高校デビューに失敗した人間のアフターストーリー
本来ならそのまま日常が過ぎ去っていくところに、救いあれ。
そんな願いの込められたKDぼっちの物語。