表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/37

2話3

「……なんで、こいつが、ここにいるんだ?」


 翌朝、ケネルは、あぐらで首をひねっていた。

 腕にはなぜか、引っ掻かれたような赤い線。真横で寝入った頭とぬくもり。

 土間をはさんだ北側の、毛布がめくりあげられた寝床を確認、己の横へと目を戻す。

 心当たりは、とんとない。


 ふと、顎をなで、首をかしげた。


「……夜這い、かな」


 ……ま。ないな。

 それはない。


 しかし、不思議だ。

 一体どうやって寝ぼけたら、こんな所まで転がってこられる。

 間に土間を挟んでいるのに。寝相が悪いにも、ほどがある。


「なんにせよ、さっさと戻すとするか」

 気づけば、わめくに決まってる。


 起こさぬように注意しながら、背をかがめ、担ぎあげる。

 体を動かしたその拍子に、腕の寝顔が、かくりと落ちた。

 瞼を閉じた無防備な顔。薄桃色の半開きの唇……


 はた、と室内の無人を確認。

 密かに胸をなで下ろし、寝入った客を担ぎあげる。

「……まったく、しょうもない奴だ……」

 すたすた土間の北へと歩いた。

 寝床にうつ伏せに転がして、普段より更にぶっきらぼうな手つきで、ぱたぱた寝具を整えてやる。

 ゲルの戸口へそわそわ向かい、出口の仕切りを払いのけ、

 戸枠に蹴っつまづいて出て行った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ