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京都夢現〜儚い無限の命〜  作者: ありあ
6/12

夕日は人に無限を魅せる 了

 神奈は店を出るとすぐに煙草とライターを取り出し、火をつけた。口から吐く煙は京都の赤い空へと吸い込まれていく。

 「こっちだ」

 さっき歩いてきた方とは逆に神奈は歩き出す。蓮花は慌てて追いかけた。

 「どこに行くんですか?」

 蓮花は静寂が訪れるのが嫌で、ふと聞いてみた。

 「行けばわかるさ」

 神奈は煙草をくわえながら答えた。煙草をくわえている姿ですら綺麗に見えるのは夕日のせいか、はたまた彼女があまりにも美人だからだろうか。

 二人は小さな路地を抜け、階段を昇っていた。蓮花は少し不安になってきていた。

 「ここだ」

 歩くこと三分程。着いたのは小さめのビルの屋上だ。広さはそこまでだが、一つちょこんとあるベンチは何故か懐かしさを感じる。

 しかし、一番目を引くものはそれではなかった。

 「なに、これ......」

 その屋上から見える夕日は、まるで世界を溶かすような紅色に染まり、空を照らしていた。

 「驚くのはまだ早いさ」

 神奈はそう言いながらベンチに腰かける。蓮花はしばらく空を見つめていると、空に変化が起こった。

 妖気が溢れ、バランスが崩れたのか渦巻き出す。そのまま渦巻き続ければ実体化しない妖怪が生まれるのだが、神奈はただ眺めている。蓮花が渦巻きを見続けていると、渦巻きは少しずつ収まり、色とりどりの妖気が空を満たし、その妖気を夕日が照らした。

 碧や蒼、紫や黄金に輝く空は、この世を洗う浄化の光のように見える。神奈は煙草を携帯灰皿にしまい、ベンチに腰掛けたまま、話を始めた。

 「綺麗だろう?当然だが、妖気が見えないと見ることすら出来ない景色だ」

 小さな古いビルの屋上を照らす無数の色の光が神奈を照らす。

 「君の話を聞く限り、君はきっとその見える力で人に避けられ、人を避けてきたんだろう。だが、それじゃ面白くない」

 「え?」

 「人生は有限だ。人の命なんてものは簡単に壊れる。だが、その有限の間に自分の人生は無限に広がるものさ。例えば、この夕日は私に無限を見せてくれたように。例えば、人と繋がり、人と同じ時間を共有する時間が無限に感じるように」

 夕日の下で語られる神奈の話は、蓮花の中の何かを破っていく。

 「この夕日が見れたのはその力があったからだろう?無限のうちの一つはその力が無ければ見れないものだった。じゃあ、その力はいずれ君の力になってくれる。そうは思わないか?避けられるからといって自分から人を避けると、折角の無限の可能性を無駄にしてるじゃないか。有限の中で楽しむには、自分から動くことさ」

 蓮花は答えない。代わりに、目から溢れる涙が蓮花の心境を物語っていた。

 「少し説教臭くなってしまったな......私が言いたいことは、その力だって君自身である、ということさ。さて、もう一度頼もう」

 神奈はベンチから立ち上がり、蓮花の方を向く。そして、軽く笑みを浮かべ、手を差し延べた。


 「君の力になりたい。だから、力を貸してくれないか」


 蓮花は、初めて自分の力に感謝した。そして、急に性格が変わってしまった、この人のバーに連れてきてくれたクラスメイト、この美しい女性、そしてこの無限を魅せてくれた夕日に。

 「......私の方こそ、妖怪退治も出来ませんが、それでも、それでも......力になりたいです。よろしくおねがいします」


 夕日は人に、無限を魅せた。

すみません涼介君の性格説明してないです

とりあえずこれで第一章終わりです

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