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京都夢現〜儚い無限の命〜  作者: ありあ
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雨降る朝に妖しい瞳 肆

 蓮花と涼介が四条の大通りに着いた頃には、雨は止んでいた。

 普段は観光客で人が通る道すらほとんど埋め尽くされている四条も、雨が降った直後はまだ人が少ないほうだ。

 「絶対神奈のやつ人混み嫌いやから俺らこっち行かせたやん!俺も四条人多いから嫌いやっつーの!」

 そして四条で鵺を探し始めて約十五分。涼介と入れ替わったヤマトは、先程からずっとこの調子である。

 「ないわー。ほんまないわー。ジメジメしてるし涼介の体借りて正解やわー。足冷たくない」

 「そのためだけに体入れ替わったん......」

 猫の体では靴を履いていない為、足が冷たいらしい。蓮花はそんな小さな理由で体を入れ替える涼介とヤマトに少しため息を漏らした。

 車が何台も通る大通りを逸れて、昔の風情溢れる道へ。こちらは雨が降った後だというのに、かなりの人通りだ。

 「人通り多すぎやん!帰らへん?蓮花」

 気まぐれな猫は早速愚痴を零したが、最早蓮花も聞く気が失せている。ヤマトの問いかけを無視して、必死に何か見えないものかと目を凝らした。

 「うーん......見えへん」

 少し残念な声を出しつつ、蓮花は歩き出した。ヤマトも慌てて追いかける。

 「どう?ヤマト、なんか見えたりとか」

 「微妙。人多すぎて解りにくいわ、これ」

 どうやらヤマトは心の底から人混みが嫌いらしい。

 「ねぇ」

 どうしたものかと考えていると、蓮花に、小さな女の子が話しかけてきた。和服を着て、下駄を履いている。そして雪を彷彿とさせる真っ白な肌。まるで日本人形のような少女だった。

 「どうしたの?」

 蓮花はその少女の目線に合わせ、しゃがんで笑いかける。すると、少女はニコリと微笑み、蓮花を指さした。

 「あそぼ!」

 無邪気な声で少女が言う。蓮花が少し戸惑い、どうやって断ろうか考えていたその時だった。

 突然猫の姿の涼介がニャーと叫んだ。それも普通の猫が出す声とは違う、切羽詰った声だ。

 その声を聞いてヤマトはすぐに蓮花の方を向いた。蓮花は涼介の鳴き声に驚き、腰を抜かしている。そして蓮花の次にヤマトが目に捉えたのは、その少女だった。

 「蓮花、下がれ!!」

 ヤマトは叫ぶと同時に少女に向かって走り出す。それを感じた少女は一瞬ビクッとした表情を見せたが、すぐにまた無邪気な顔に変わった。

 「お兄ちゃんが遊んでくれるの?」

 ヤマトはその言葉を無視して少女の前に妖気の渦を作り、蓮花を抱えると地面を蹴った。地面は遠くなり、ドンという着地音とともにどこかの家の屋上に降り、蓮花を下ろした。

 「蓮花、じっとしといてな。あれ、実体化した妖怪や」

 蓮花は驚いたような顔を見せ、すぐに電話を取り出す。

 「神奈さんに連絡する?」

 「いや、いい。あれ鵺じゃなくて座敷童子の一種やし、座敷童子なら俺と涼介で勝てる」

 そう言うと、ヤマトは屋上から飛び降り、妖気の渦を振り払った様子の座敷童子と対峙する。

 「涼介、このまま俺がやるわ」

 足元にいた涼介は了承の意味を込めて一声鳴き、ぴょんと飛び上がると妖気を放出、その妖気は猫の体を包み込み、少し短めの日本刀へと変化した。それをしっかりとヤマトが掴み、鞘から引き抜き、逆手に持った。

 「さて、やろか」

 ヤマトは体から妖気を放出し、妖気はヤマトの全身へと纏わりつく。基本術式、運動術だ。

 ヤマトが座敷童子に向かって走り出した。その速度は先程とは比べ物にならない程の速さである。ヤマトが纏っていた妖気はもう見えなくなっているが、術式は正常に動いている。

 座敷童子はその速度に驚き、全く反応出来なかった。ヤマトは座敷童子とすれ違いざまに逆手に持った刀を振る。その攻撃は座敷童子の脇腹を捉え、座敷童子は甲高い叫び声を上げた。

 ヤマトはすぐにまた座敷童子へ向かって走り出した。そしてすれ違いざまに斬りつける。次に捉えたのは左腕。また甲高い叫び声がこだまする。座敷童子の顔は歪み、邪気の溢れた悍ましい表情へと化している。

 「おまえ、きらい」

 座敷童子はそう言うとパチィン、と両手を鳴らし、口を大きく開けた。中から見える舌が蠢き、涎が滴る。

 「しね」

 座敷童子は恐ろしい速度でヤマトに突撃し、そのまま勢いに任せてタックルの姿勢で突っ込む。ヤマトはそれを間一髪でかわすものの体勢を崩し、片膝をついた。

 勢い余って壁にぶつかった座敷童子。くるりとヤマトの方へと向き直り、また凄まじい速度で接近し、次は叩きつけるような拳。体勢が崩れたままのヤマトはかわしきれず、右足こ攻撃を受けてしまった。

 「痛った!何あいつ力ありすぎやろ!」

 ヤマトは悪態を突きながら座敷童子へと走り出した。足にダメージは受けたものの、支障が出るほどではないらしい。

 座敷童子は迎え撃つかのように右の拳を合わせる。しかしそれを読んだヤマトは体をひねり、拳をくぐるように懐へと飛び込む。そして刀を連続で振り抜き、すぐさま射程外へ。そしてすぐに向き直り、座敷童子の反撃に備えた。斬撃は三発、入っている。

 座敷童子も流石にダメージが溜まってきているらしく、悍ましい叫び声をあげ続けている。妖気が澱み、どす黒い塊のようだ。

 「ころす、ころしてやる!」

 座敷童子はそう叫び、今までの叫び声とは違う、甲高い耳を劈く様な声を上げた。

 「うぉ!?気持ち悪っ!

 「キャッ!?」

 座敷童子の叫び声は次第に小さくなり、とうとう残響も聞こえなくなってきた。しかし、ヤマトは目眩を感じ、頭がフラフラしている。

 その時、次の叫び声が聞こえた。先程の声とは違う、甲高い、悍ましい叫び声。

 ひょー、ひょー、とまるで息が何処かから抜けているようで、黒く、人を怯えさせる声。

 座敷童子の顔は黒い笑顔で歪み、そして空が暗くなる。いや、空を何かが覆った。

 ヤマトと蓮花が空を見ると、そこには猿の顔、蝙蝠の翼に馬の四肢、蛇の尾を持つ異形の化け物..... 鵺がいた。

なんか真面目にバトルしてますが、戦闘描写書けません。

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