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男装お嬢様の冒険適齢期  作者: ONION
第3章 近侍のお仕事
98/124

3-12 近侍と侍女長のたくらみ

  神暦721年 剣の月07日 炎曜日



 昼時の高い陽が差し込まぬ、薄暗い室内。

 外出から自室に戻った彼女は、持っていた荷物を机に置いて息をつく。


(少々時間がかかってしまいましたが、やっと手に入れる事が出来ました…。)


 そして早速、その荷物の中から目当ての物を取り出してそれを両手に乗せて眺める。


(そう、これは彼女との関係をより強く結びつける物…私を縛る事で彼女をもまた縛り付ける物…。)


 彼女は笑みを浮かべて小さく声を漏らすと、それを机に置いてその整った顔から眼鏡を外す。

 もっとも、眼鏡をしているからと言って、彼女の目が悪い訳ではない。

 このせせこましい街の中では、彼女の眼は少々見えすぎるのだ。

 そして着ていたワンピースの背中の紐を解き、それを脱ぎ落とすことで下着姿となる。

 部屋の空気に晒された彼女の肌…それは健康的でありながら処女雪のように白く、染み一つ見当たらない。

 空気の冷たさに身震いをひとつしてから、彼女は頭に手を伸ばして髪を留めていたピンを引き抜いた。

 …するとどうだろうか?

 数刻前に結えられてから留められたままだった彼女の髪は、その弾力でひとりでにするすると解けだしたのだ。

 流れ落ちる水のように優雅な曲線を描いて垂れ下がった彼女の髪…それは彼女の尖った耳の上端で3つに別れ、そしてその下端でまた一つの流れとなる。

 結い髪の僅かな拘束感から解放された彼女は、大きく息をついた。


(そう、そしてこれが今の私に相応しい衣装…。)


 彼女は準備してあった貫頭衣を取ると、頭上からそれを被り、首を、そして袖を通す。

 目の粗く、所々繊維の毛羽立った布で仕立てられたその服は、故郷に居た頃でさえ身につけた事がないほど粗末なものだ。

 そして腰を細い一枚帯で結わうと、両手で髪を払って服の下から引き出した。

 腰まで伸びた、毛先に進むにつれ緑がかるその金髪。

 それはさらさらと流れて、彼女の背で再び一つにまとまった。


「あとは…。」


 彼女は靴を脱いで靴下姿となり、さらにそれも脱いで素足を晒す。


(準備はこれでよし…。)


 念のために自分の格好を見回して確認した彼女は、部屋の窓に歩み寄ってそれを押し開き精霊に呼びかける。


野分の宮(ストームウインド)、彼女は今何処に?」


 その問いかけのしばらく後、一陣の風が彼女の耳を撫でた。


「そう、ありがとう。」


 彼女の問いかけに答えた精霊にそう礼を告げると、彼女は窓を閉じる。


(さて、丁度いい頃合ですね。)


 彼女は机の上に置かれたそれを手にして胸に掻き抱くと、素足を忍ばせて静かに部屋を抜け出した。





 昼時。

 お嬢様と奥様が昼食を済ませた後。

 その日もいつものように私とマリオンは誘い合わせてマリエルを自室から引きずり出し、昼食を取っていた。


「ああ、奥様付きの侍女が4人体制に戻って、本当に楽ができるようになりましたわ。」


 マリオンが手元のシチューを匙でかき混ぜながらしみじみと呟く。

 私は手元のパンから顔を上げると、数日前の朝礼で紹介された侍女の名前を思い出そうとする。

 …ええっと、何だったっけ。


「ああ、やっと補充されたんだ。そういえば、ここ数日は何人か新しい人を目にするわね。」


「ええ。奥様付きの侍女だけではなく、客間女中の方にも新しい人が来ましたのよ?」


 口を挟んだマリエルとマリオンの会話の間に、私はなんとか記憶の中から名前を引っ張り出すことに成功する。


「確か…クローディさんだっけ?王都のお屋敷からの転属だとかいったわよね。…仕事の方は大丈夫なの?」


「はい。侍女になって2年目との事で、たった数日でこのお屋敷の仕事にも馴れて、それ以来は何事も卒なくこなしていますわ。むしろ私の方が色々と教わる事が多いくらいで…。」


 有力貴族ともなると主人やその家族が王家に係る役目を賜る事もままあり、そういった時の為に大抵の伯爵以上の貴族は住居や滞在時の宿代わりとして王都に屋敷を所持している。

 その屋敷もまた行儀見習いの受け入れ先となっており、今回はそっちから即戦力を引っ張ってきた形だ。


「ふーん、よかったじゃない。私とユニスさんが抜けた穴に新人2人を入れるんじゃ戦力低下は免れないと思っていたんだけど…経験者を引っ張って来れたのなら心強いわね。」


 私がしみじみ呟くと、マリオンは口を尖らせて拗ねたような口調になる。


「おね…ユーリアさん、私だって既に十分な戦力になっていますのよ?パメラさんやカスティヘルミ様に色々と教わって…。」


「ええ、それは分かってるわ。貴女も日々の針仕事を頑張ってるものね。」


 周囲の耳があるので呼びかけをよそ行きの物に言い直して愚痴るマリオンに、私は苦笑を浮かべながら彼女の手元に視線を向ける。

 マリオンの手を包む白手袋。

 それは彼女が針仕事に勤しむ間に出来た生傷で奥様の衣類を汚さないようにつけている物だ。

 そして以前からマリエルに調合してもらっていた軟膏を、夜な夜な彼女の手に塗りこむのがここ最近の私の日課だ。

 もっとも、あと一月もすれば彼女の手の皮膚も厚くなって、それらも必要なくなるだろう。

 えっ、私?

 私は剣術をしていた所為か、生傷は特に出来なかったわね。

 針で指を刺したりでもしない限りは。


「けど、大丈夫かしら?カスティヘルミさん(いろぼけエルフ)には以前釘を刺したけど、クローディさんの登場にその痛みも忘れて手を出したりとか…。」


 私は言外に「そうなったら私達の苦労も多少は減るかしら?」と含ませて茶化すが、マリオンは苦笑気味に首を振る。


「それは大丈夫だと思いますわ。カスティヘルミ様はクローディさんの指導に関してはパメラさんに一任してますし、歳が近い所為か彼女はパメラさんと一番仲がいいので。」


 そして「けど、私との仲も悪くありませんのよ?」とマリオンはすまし顔でしっかりと関係を築けている事をアピールする。

 そんな彼女の態度に、私は表情を苦笑から微笑へと変化させた。

 いつまでも私にべったりかと思っていたが、彼女は彼女でしっかりとやっている様だ。


 しかし、そうするとあの森妖精(エルフ)の目は未だにこっちに向いたままなのね…ここ最近は大人しくしているようだけど、時折向けてくる視線が相変わらずじっとりと熱を帯びているように感じられる以上、まだまだ用心は必要だ。

 ホント、彼女に釘を刺して痛い目を見せる事でその後は安心してお屋敷での生活を送れるかと思っていたど…少し考えが甘かったかしら。

 私は彼女の事を引き続きの頭痛の種として改めて認識し、油断することなく対処して行こうと気を引き締めるが、結果論で言えばそれは少々遅きに失していたのであった…。




 賑やかな食堂内、その喧騒がふとした時点から波が引くように静まる。

 急に消えた雑音に私はシチュー皿に落としていた視線を上げ、周囲の人ごみの様子を窺うが…彼らの視線は皆こちらに向いていた。


 いや、正確にはこちらの背後か?

 嫌な予感に私が慌てて背後に振り返ると、女性使用人宿舎へと続く扉の前に一人の女性が立っていた。


 人並み外れて整った顔のつくりに尖った耳。

 そしてまるで青々とした森の木の葉に降り注いだ日光のような金から緑へと変化する髪を、結い上げることもなく腰まで下ろしている。

 一体これは誰だろう?

 私は呆然と彼女を見つめていたが、やがて脳裏に一人の顔が浮かび上がる。

 だがどうした事か、彼女の髪はいつもの結い髪ではなく、その服装もいつもの侍女服とは比べられないほど簡素なもので、眼鏡もない…だがそれは、紛れもなくカスティヘルミさんだった。


「お、お姉様…?」


 突然の状況に、マリオンが不安気な声を上げる。

 私はそれに答えようと口を開くが上手い言葉が浮かんで来ず、代わりに振り返って彼女と一瞬視線を交えると再びカスティヘルミさんに向き直った。

 すると彼女はこちらを見据えてにっこりと微笑むと、歩み寄ってきて…私の目の前に跪く。

 未だ状況が認識出来ずに彼女に合わせて視線を下げる…そんな私に、彼女は無言で胸に抱いていたものをこちらに差し出した。

 これは…首輪?

 どこかで見覚えのあるようなその細身の首輪について思考が逸れた間に、カスティヘルミさんは陶酔したかのような甘い口調で声を上げる。


「ああ、ユーリア様。どうか貴女の下僕たる私めに、この枷をお授け下さい。」


 えっ、何?

 何の遊び?


 彼女の行為が理解できず、固まる私。

 だがそんな私よりも、当人達にとっては全くの他人事である周囲の野次馬達の立ち直りは早かった。


「何、何で侍女長様が…下僕?」


「カスティヘルミさんって、オウトライネンの族長の娘でしょ?それが何で?」


「常々カスティヘルミ様には蔑んだ目で見下され、その御御足(おみあし)で踏みつけられたいと思っていたが…そっちもアリだな!」


「下僕…ってことは、あの耳を思う存分…い、いかん、妄想が止まらん!!」


「おい、誰か衛士を呼んできてコイツらを…って俺もコイツらも騎士じゃねーか!」



 ざわざわと好き勝手な事で盛り上がる外野達。

 って、こんな衆人監視の下じゃ事情を聞くわけにもいかないし、取り得る手段も限られる。

 とりあえずは人気のないところで…。

 私は意を決して立ち上がると、カスティヘルミさんの手を掴む。


「とりあえずは、場所を変えるわよ!」


 そしてマリオンに目配せすると、私はカスティヘルミさんを引きずって女性使用人宿舎に駆け込んだ。

 ちなみにマリエルは手を振ってこちらを見送って居たので、不干渉を決め込むのだろう。

 薄情な。




「さて、説明してもらおうかしら?」


 カスティヘルミさんを自室に引きずり込み、腕を組んで仁王立ちした私はそう問いかけた。

 ちなみにマリオンとは言えば、部屋の扉の外で近づく者がいないか廊下を見張りつつ、扉の隙間から中の会話を拾っている。

 そしてそのカスティヘルミさんは、部屋の床に座り込み、上気した顔でこちらを見上げていた。



「説明…でしょうか?私は以前交わした契りを形にするために、枷を賜るよう願い上げたのですが…。」


 カスティヘルミさんはそう答えてから体勢を整えて再び跪き、「さぁ!」とばかりに首輪を差し出す。


「契り?」


「はい。以前、私事についてはユーリア様に絶対服従だと誓わせていただきました。ですので、少々遅くなりましたがその証としてこの首輪を自ら用意した次第です。どうか、どうか隷属の証としてこの首輪を私めに。」


 そしてさらに高く差し出すカスティヘルミさんを前に、私は内心頭を抱える。

 そりゃ、下手なちょっかいをさせずに遠ざける為に、こちらの指示に従うように命じたけどさ…。

 妙に素直に従うと思ってたら、これを狙って居た訳か…。

 …ああ、思い出した。

 この首輪、どこかで見たような気がすると思ったら仕上げがミーアの首輪にそっくりだわ。

 確か、あの店員は人用の首輪も作るような事も言ってた記憶があるけど…余計な事を。


「別に、そこまでの服従は求めないわ。この国では奴隷の所持は禁じられてるし、貴女もお屋敷に仕える以上、まずはそっちに従うべきだし…。」


「はい、もちろん職務に関しては弁えております。ですので、それ以外の私事はすべてユーリア様に…。」


「私としては、余計なちょっかいさえかけてこなければ、別に隷従させたいなんて思ってはいないんだけど…。」


 そう呟いてカスティヘルミさんの様子を窺うと、その目は驚きに大きく見開かれていた。


「そんな…ではユーリア様はあの誓いを反故にされると言うのですか?私を虐げ、更なる傷と引き換えに交わした約束さえ守らないと…。セリア様に過去の出来事を詫び、誓いの通りに過ごしてきたこの私との約束に、なんら価値は無いと!」


 あーうーえ…確かに、私が言っているのはそういうことよねぇ…。

 そう考えてみると、彼女の言っている事は正しい…こっちに手を出してきたから力に訴えたとはいえ、力ずくで言う事を聞かせていた事には変わりないし…内々で形をつけている間はいいけど、今回の件が公衆の面前にさらけ出されると…。あれ、ひょっとして随分拙い状況になってる?

 ちらと彼女の様子を横目で窺えば、こちらを非難しつつも、うっとりとした表情は隠しきれていない。

 ああ、変態だ変態。

 彼女、絶対にこの状況にも酔い痴れているでしょ!


 どうしたものかと私が頭を抱えていると、部屋の扉を抜けてマリオンが入ってきた。


「扉の外で聞いておりましたが…お姉様、どうやら今回ばかりは私達の負けのようですわね。彼女がこの状況を公に訴えれば、場合によってはオウトライネンとの外交問題にまで発展しかねない案件ですし、彼女の要求に従う以外に私達が取れる手段と言えば、精々が何もかも捨ててこのお屋敷を出て行く事くらいでしょうか?」


 そうため息混じりに吐き捨ててから、「あら、お姉様と2人きりでの逃避行…それはそれでいいかもしれませんわね。」とマリオンが笑顔でのたまう。


 いや、冗談じゃないって。


「はぁ、どうしたものかしらね…。」


 私はため息混じりに呟くが、マリオンは困り気に表情を歪めて頭をひねってはいるものの、それほど深刻に考えてはいなさそうだ。


「一番穏便な解決方法は…彼女の要求に従うことでしょうか?私的な結びつきとはいえ、従属関係を結んでさえしまえば、彼女もお姉さまの命に逆らえないでしょうし。」


 ふむ、そうか…。

 カスティヘルミさんが望むのは隷属。

 自分が優位な立場に立ったとしても、主人の命に逆らうようではその関係は成立しない。


「隷属関係ですので『自分に一切関るな』等と言った命令には流石に彼女も従わないと思いますが、身近に置いて適当にあしらっておけばそれで満足するのではありませんの?」


「それって…ぞんざい過ぎない?」


「あらお姉様、奴隷なんて物は大抵は寵愛を受けるか虐げられるかのどちらかですわよ?」


 マリオンはにっこりと笑って意外と怖いことをのたまう。

 私はその笑顔に妙な寒気を覚えてぶるりと身を震わせると、カスティヘルミさんに視線を向けた。

 彼女はといえば…長時間首輪を捧げた体勢のままなのでその身をぷるぷると震わせているが、その表情を一言で例えるなら…『至福』といった感じだろうか?


「貴女はそれでいいの?」


「はい、私は貴女様の下僕。それ以上でもそれ以下でもなく、枷を賜る事ができるのであれば、もとより是非もありません。」


「是非も無い…って、隷属を軽く見すぎてない?」


「ふふ、人となりは1年以上影から日なたからずっと見ていましたので、無闇に私を害する事も無いと判断しております。…それに貴女が天寿を全うするまで隷属したとしても、長くて50年程度。森妖精の人生ではさほど長いとは言えず、きっとその時間は素晴らしいものになるでしょう。」


「50年って…故郷(実家)まで連れて行くつもりは無いわよ?お屋敷としても、貴女に急に抜けられたら困るでしょうし。」


「はい、貴女が望まぬのならば、このお屋敷にいる間だけでも構いません。私が恐れるのは、貴女のそばにいながら係わり合いを持てぬ事。身を切るようなその苦しみに比べれば、お傍に置いてもらえるだけで至福の時間が過ごせましょう。」


 彼女の迷いのない答えに、私は大きくため息をつく。

 ああ、そういえば今は昼休みの最中じゃない。

 早く戻ってイネスさんと交代しないと…。



「分かったわ。それを寄越しなさい。」


 そういって差し出された首輪を手に取る。

 手に取り調べてみるが、魔力などは特に感じられない…本当にただの首輪か。

 私はそれをカスティヘルミさんの細い首に巻きつけると、多少緩めにそれを締めた。

 そうか、彼女の服装も奴隷に倣った物か…全く、変なところにこだわるのだから。




 夕刻。

 一礼をして家政婦室から退出した私を、マリオンが廊下で待ち受けていた。


「如何でした、お姉様?」


 心配そうに問いかける彼女に私が微笑を以って答えると、途端に安心したように笑顔になるマリオン。

 私達はそのまま連れ立って廊下を歩くと、家政婦室から距離を取った所で口を開いた。


「とりあえずはお咎めなしといった状況に持って行けたわ。あくまでも私事だし、自由時間内であれば咎める筋は無いって。」


 そしてそのまま歩いて1階から使用人棟に入る。

 結局あの後は、仕事があるので部屋を出るように伝えた私達に対し、カスティヘルミさんは私達が仕事を終えて部屋に戻るまで帰りを待ちわびると頑として譲らなかった。

 早く仕事に戻りたい、さりとて部屋で勝手されるのは嫌だと悩む私は、手っ取り早い解決方法としていつかのようにシーツや部屋にあったロープを使って彼女を縛り上げ、床に転がしておいた。

 簡単には解けない様にしっかり縛っておいたので、とりあえず彼女が室内を漁ったりすることは無いだろう。

 それでとりあえずは安心したが、最近は手荒い解決方法ばかりとっているような気がして、少々自己嫌悪したのは余談である。

 今回もそれの所為で厄介な状況になってしまったしね。

 そして午後の仕事が一段落着いた時に、屋敷内で急速に広まった噂を聞きつけたセリアさんに事情聴取のために呼び出されたのだ。


「そのかわり、広まった噂に関してはこっちで静める様にとの事だったわ。まぁ、カスティヘルミさんが私に従うのであれば、誤魔化すのも難しくないでしょう。」


 私の言葉に、マリオンは暗い笑みを浮かべる。


「ですが流石はお姉さまですわ。侍女長までその配下にしてしまえば、文句なしで女性使用人の最大勢力ですわ。」


 漏れ聞こえる彼女の含み笑いに、私はため息をつく。

 平穏無事に過ごせるのであれば、別に徒党を組むつもりもなかったんだけどなぁ…。


 そんな事を考えているうちに私達は使用人棟を抜け、女性使用人宿舎に入る。

 階段を上がり、廊下を端まで歩けばそこが私達の部屋だが、途中ですれ違う使用人たちの好奇心に満ちた視線は努力して無視する。


 そして扉の鍵を開けようとして…既に開いていることに気付く。

 最近はエミリーたちにも合鍵を渡しているので、誰か来てるのかと思って扉を開けると…そこには、床をのたうちまわる簀巻き状態のカスティヘルミさんと、キャッキャと笑いながら彼女に2人して跨るアリアとアリスの姿が…。



 ちょっと、それ変態だ(ばっちい)から触っちゃだめよ?


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