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男装お嬢様の冒険適齢期  作者: ONION
第3章 近侍のお仕事
97/124

章外18 従騎士の葛藤

  神暦721年 剣の月04日 地曜日


「ハッ!」


 キャロルの剣が対戦相手であるテオドールに向けて振り下ろされた。

 彼女はいままで実家で受けてきた稽古の通りに、まず牽制を繰り返して相手の隙を誘い、そして開いた防御の隙間に決め手となる攻撃を捻じ込む…といったパターンで切り結ぶ。


「なんのっ!」


 だが流石はこの従騎士班で一番の腕を持つというテオドール。

 体勢を崩しつつも、その攻撃を予想していたかの様に難なく捌き、払い捨てる。

 そういったやりとりを幾度も繰り返した後、息の上がったキャロルはその呼吸を整えつつ未だに涼しい顔をしているテオドールを剣越しに見据えていた。


(テオドール殿は正騎士に混じって訓練を行うこともあるとは聞いてはいたが…、流石に強いな。)


 こちらが息を整えている事に気づいていても、テオドールはこちらを見据えて構えたままだ。


(まぁ流石に腕で言えばアレマン殿に比ぶべくはないが、それでもここまで通用しないとは思わなかった。)


 そしてこちらが切りかかってくるのをじっと待っている。


(しかしアレは何なのだろうか。時折見せる不可解な足の運びは…まるで何かを警戒するような…。)


 じりじりと足の位置を動かしながら隙を窺うが、テオドールは尚も動かない。


(まぁそんなことよりも目の前の一戦に集中しなければ。よし、ならば…!)


 頭の中でこれからの攻め筋を組み立てたキャロルは最小限の動きで突きを放つ。

 だがテオドールはそれを予想していたかのように往なすと、同様に剣先を突き入れた…。




「ふぅ。」


 テオドールとの試合に勝負がつき、キャロルは大きく息をついた。

 結果は三本試合のうちの1本目と3本目を取られて彼女の負けだ。


(だが2本目は明らかに手を抜かれていた…テオドール殿の腕であれば、こちらの攻め筋を出端で潰しきって、何も出来ずに終わらせる事もできたであろうに。)


 そう考える彼女に、剣を収めたテオドールが笑顔を向ける。


「良く鍛練されている。しかし基本に忠実過ぎるため少々剣筋が単調となっている。それでは熟練者相手では手に取るように攻め筋を読まれてしまい、勝つことは難しい。」


「…はい。」


 自分にも思い当たる点が多々ある指摘に、キャロルは俯いて答える。

 既にこの試合の前に数人と当たっていたが、勝ちを拾えたのは最初のポールとの試合だけであった。

 しかし、続くテオドールの言葉には、彼女を思いやる気持ちが含まれていた。


「だがそれは誰もが通る道と言ってもいい。基本は十分に出来ている。後は経験を積み重ねるだけだ。」


 慌てて顔を上げるキャロルに、テオドールはぎこちなく微笑を浮かべる。

 それを見て表情を明るくしたキャロルは、改めて試合後の礼を告げた。




 それから数試合を経て班員のすべてと当たり終えたキャロルであったが、結局勝ちを重ねる事は叶わなかった。

 それどころか、彼女より膂力に勝る男衆のみならず同性のユーリアにすら届かなかったことは彼女にとって些かショックであった。


(彼女になら勝てるかもしれないなどと…侮って居なかったと言えば嘘になる。良く考えてみれば、彼女には騎士団での1年の経験があるのだ。初めから勝機など…。)


 訓練場の縁に下がって一息ついたキャロル。

 自らの行いを反省するにつれて彼女の思考は後悔に沈み、つい暗い考えに支配されかけたところでその横に一人の隊員が立った。


「キャロルちゃんおつかれっ!いやー、さすが名門アモーロス家の出身、強いねぇ。」


 ヘラヘラと笑いながら、明るく声を掛けるポール。

 それに対して、彼女は軽く頭を下げることで目礼とした。


「俺なんかさー、この班で一番剣術弱いから、毎日負けてばっかりでさー、初日くらいはいいとこ見せたかったんだけど、いやー、残念だわー。」


 そう言うものの、彼の態度はちっとも残念ではなさそうである。


「でも、日々の訓練も決して無駄じゃないと思うんだよ。同じ太刀筋でも何度も食らってればそのうち慣れるしさ、やっぱり『日々の積み重ね?』ってのは大事だと思うんだ。」


そう言いつつも「それでも勝てないけどね。」と続けるポール。


「まぁ、馴れてくれば相手の癖も分かるし、勝敗にこだわるはそれからでも遅くは無いと思うよ?」


 そう言って彼は、「俺は勝てないけどね。」と締めた。

 そんな彼の照れくさそうに笑う顔を見ているうちに、釣られるように苦笑いを浮かべるキャロル。


(ふむ、随分と自虐が過ぎるようではあるが…あるいはそれが彼の照れ隠しなのかも知れない。)


 そう考えていると、ポールは照れ隠しではない、満面の笑みを浮かべる。


「おおっ、やっぱり女の子は笑顔じゃないとね。」


 だがキャロルはといえば、


「いえ…騎士団に入るにあたり、女は捨てました。」


 と自嘲気味に笑う。

 そんな彼女の態度に、虎の尾を踏んだかと慌てるポール。

 周囲を見渡した彼は、丁度いいものを見つけて慌てて話題を逸らす。


「お、テオとユーリアの試合が始まるよ。アレは見物だよ、キャロルちゃん。」


 彼の指し示す先に視線を向ければ、剣を構えて向かい合うテオドールとユーリア。

 2人とも真剣に相手を見つめ…だが口元に笑みを浮かべて対峙する。


「行くわよ?」


「ああ、来い!」


 そして2人の試合が始まった。



 素早く振り下ろされたユーリアの剣先を自らの剣で逸らすテオドール。

 だが彼が返す刃も、それを読んでいたユーリアに難なく躱される。

 そして2人の試合は激しい打ち合いへと移行する。

 目まぐるしく位置が入れ替わり、いくつもの剣筋が二人の間を行き来する。

 いつ終わるとも知れないその剣戟、だがそれに徐々に変化が訪れる。

 補いきれない膂力の差、それが徐々に剣勢に現れてきたのだ。


「ああ、やっぱり剣勢はユーリアの方が不利か…。」


 呟き漏れるポールの感想。

 それを聞いてキャロルは唾を飲み込む中、2人の剣戟は鍔迫り合いに縺れ込む。


(ああ、こうなってしまってはあとは膂力の差で押し込まれる一方。やはり女騎士では男には敵わないのか…。)


 同性という事だけあって、ついユーリアに共感して表情を歪めるキャロル。

 だがユーリアは口元に再び笑みを浮かべると、さらに一歩を踏み出した。


「えっ?」


 既に2人は身体が触れ合わんばかりの距離にいる。

 そこから踏み出せばどうなるか。

 足をもつれさせるか、身体をぶつけ合い体重の軽いユーリアが跳ね飛ばされるかのどちらかだ。

 だがテオはそれに合わせて、向きを変えながら一歩下がる事で彼女から距離を取る。


「ああっ!」


 その時になって、初めて彼女は気づく。

 ユーリアが踏み込んだ先は、先ほどまでテオドールの足があった場所だ。

 そしてそれを避ける動きは、キャロルとの試合中に見せたテオドールの不可解な動きに一致する。


「さぁ、2人のダンスが始まるぞ?」


 ポールが楽しげに呟いた。




 踏み込むついでに相手の足を払い、位置取りのついでに肘が相手の脇腹を狙い、剣戟の隙を突いては空いた手が相手の腕を絡めるべく伸ばされる。

 だがそれをするのはユーリアばかりではない。

 テオドールも同様に、相手の隙を突いては積極的に仕掛けていく。

 位置を変えて繰り広げられるその応酬は、ポールが例えたようにまるでダンスのようだった。


「ですがアレは、既に『剣術』の枠を超えているのではありませんか?」


 屋敷でのお行儀のよい稽古剣術しか知らなかったキャロルは、いつの間にか集まって来ていた班員達に尋ねる。

 その問いに、彼らは一様に苦々しげに表情を歪めた。


「まぁ確かにそうなんだが、ああでもしないとテオの力押しだけで決着が付きかねんからな…。」


「実戦的…といった観点で言えば、有りだとは思うけどね。両者の同意の上でならだけど。」


「まぁ俺達騎士には、綺麗事を捨ててでも勝たなきゃいけない時もあるしなぁ…。」


 そうして一様に試合に目を向ける。

 気付いてみれば、班員だけではなく他の班や一部の正騎士達の視線さえも、2人の試合に釘付けとなっていた。





 神暦721年 剣の月05日 闇曜日


「…ふぅ。」


 大きくため息をつくキャロル。

 訓練の翌日、市中の日中巡回の合間に彼女は執政館の使用人棟で昼食を取っていた。

 目の前には良く煮込まれたシチューの入った皿とパン、それに野菜の塩漬けなどが並んでいた。


「あれ、口に合わない?」


 そんな彼女のため息を聞きとめて尋ねるポールに、彼女は首を振って答えた。



 昨日のあの試合、その最後にはユーリアが2対1で勝利を収めた。

 その彼女の腕をもってしてもテオドールに勝つ事は滅多に無いとの事で、周囲を巻き込んで大いに盛り上がったのは余談だ。

 彼女は午後の訓練には残念ながら何やら用事があるとの話で参加しなかったが、訓練後にはキャロルの歓迎会があり、ユーリアたちも含めてみんなで酒場に繰り出した。

 その酒場ではユーリアや彼女の同僚、そして酒場に居合わせた水軍の者達とも酒を酌み交わし、大いに盛り上がる。

 良家の子女である彼女にとっては、酒場での飲み食いなど初めての経験であったが、中々に楽しい時間を過ごす事ができた。


 そして今日、午前中にポールの案内で町中を歩き回ったが、その時々に思い出されたのが脳裏に焼きついた昨日の試合の光景であった。



「…ふぅ。」


 その光景を思い出し、再びため息をつく彼女。


(ユーリア殿はこの街に来て1年との話であったが、果たして1年後の自分は今の彼女に匹敵する事ができているのであろうか…。)


 そう自問しながら皿に匙を伸ばす。

 春の日差しとはいえ、一日中歩き回れば汗もかく。


(ああ、野菜の塩気とエールの苦味が身に染み入る。)


 無意識のうちに彼女の身体が欲する欲求が満たされた事で、彼女は別の意味で息をつく。

 なお、そんな感じで一人自問する彼女を慮ってか、班員の従騎士達は今日は静かにしており、食堂のこの一角には彼らしかいない。


(彼女はお屋敷で働いているとの事だったが…確か近侍と言っていたか。最初に聞いた時は耳を疑ったが、成程、凛々しい彼女にはお似合いだろう。)


 そんな事を考えていると、彼女に声が掛けられた。


「ここ、失礼するわね。」


 その声に振り向き、頷こうとするキャロル。

 だが彼女は振り返ったところでその動きを凍りつかせた。


「おっ、ユーリア…って珍しいな、侍女()の格好は。」


 キャロルの視線の先には、一分の隙なく侍女服を着こなしたユーリアとマリオン、そして眠たげなマリエルの姿があった。


「今日は奥様とお嬢様のところにお客様が参られたのよ。お客様が若い()だったらあの格好もありなんだけど、流石に礼儀に五月蝿い年配の方だったから…ね。」


 と従騎士に答えて席に着くユーリア。

 そしてマリオンといえば「侍女服のお姉さまも素敵ですわ。」と表情をだらしなく緩めて食事を始めており、マリエルはおそらく二日酔いだろう「あ~、頭がガンガンするんじゃ~。」とぶつぶつ呟いて頭を抱えている。


 一方、キャロルといえば呆然とユーリアに視線を向けたまま、それを逸らせないで居た。


(歓迎会に交わされた話では、ユーリア殿は奥様付きの侍女からお嬢様たっての願いでお付きの近侍になったとの話であったが…。奥様付きと言えば侍女の中でも花形…あれ程の腕を持ちながら、淑女としても人並み以上とは…。)


 そして彼女はぎりりと唇を噛む。


(それに比べて自分は何だ。事あるごとに剣に生きる為に女を捨てた事を免罪符にしておいて、剣の腕も女としても彼女に敵わない体たらく。)


 そしていつの間にか彼女は俯き、目の前の皿をぼうっと眺めていた。


(積み重ねた一年の時間も、言い訳にしかならない。彼女が騎士団に入った時には、既に他の従騎士達と互角以上にやり合って居たというのだから。…やはりお屋敷での稽古など児戯に過ぎないのか…。)


 そう思考に沈みながら、彼女は一人、自らを責める。

 そんな彼女を、テオドールが静かに見つめ、そして今度は彼が小さくため息をついた。






「あまり思いつめない方がいい。」


 午後の巡回中、テオドールとともに町を囲む城壁の上に出たキャロル。

 自信を喪う出来事の連続でつい里心がついたのか、無意識に王都の方を見つめる彼女にテオドールはそう声を掛けた。


「な、何のことでしょう?」


 まさか内心を見透かされているのかと戸惑う彼女は咄嗟にとぼけるが、それを見てテオドールは苦笑を浮かべた。


「あいつはなぁ、まぁなんと言うか…特別だからな。」


「特別…ですか?」


 キャロルの問いに、頷きを返すテオドール。


「ああ。俺は…あいつが来るまでは従騎士達の中で一番の腕だと増長して、それで満足していた。あいつが騎士団の訓練に混じる事になった時も、所詮お嬢様のお遊戯剣術だと内心馬鹿にして侮っていた。だがあいつと手合わせをして…そして負けた。高くなっていた鼻をへし折られた。だが感謝しているんだ。おかげで目が覚めたと。今じゃ貪欲に上を目指して、正騎士たちの訓練に混じってはボコボコにされてるよ。」


 そう言って照れくさげに笑う。


「彼女の家は爵位で言えば伯爵どまりだが…家柄で言えばこの国でも古い血筋と言ってもいい。王家とはほとんど交わりがないけどな。しかもあの家の領地は国境の要所。普通、生半可な武勲じゃそんな要衝を領地などに与えられることはない。しかもあの家の過去を遡れば、剣術だけじゃなく魔術にも才能を持った人物が少なくない。知っているか?魔術の才能ってのは、その血が濃くなるほど強く出る事が多い。あいつは騎士じゃないから午後の訓練には参加していないが、その時間はお屋敷の魔導師であるカロン殿の手ほどきを受けていて、駆け出しの魔術師…程度では収まらない腕を持っているとの事だ。」


「ま、魔術まで?」


 キャロルはごくりと唾を飲み込む。

 魔術師といえば、並の人間には扱えぬ力を持った畏怖すべき者達だ。

 その才能を見出された者は、みな高名な師匠の下に引き取られ、その後の人生を魔術の習得のみに没頭する物だと聞いている。

 それは貴族においても変わりはなく、強大な力を持つ魔術師が誕生すればそれだけで一族の誉れとなる。

 もちろん、中には魔術を極める前に挫折し転落の人生を歩む事になる者も少なくはないが。


 尚、テオドールはユーリアの精霊術については知る由も無い。

 もし知っていれば…その衝撃は如何程だっただろうか。


「ああ。剣術、魔術に優れて侍女という高級職も十二分にこなし、その上貴族の生まれ…で見てくれも悪くない…まぁ、おしとやかにしているのならな。あいつはそんな奴だ。高望みして目標にするのなら止めはしないが、彼女と比べて自分を卑下するのなら…身の程を弁えろと言わせて貰うぞ?」


(そういえばあいつを城壁の上(ここ)に連れて来た事もあったか…あの時に…。)


 テオドールはそう忠告交じりに発言してから、過去にユーリアとこの場所を訪れた時の事を思い出しつつキャロルの様子を窺う。


「あは、ははは…。」


 キャロルとは言えば、最早笑うしかないのか表情を引きつらせたまま声を上げる。

 だがやがてそれも止み、彼女は大きく息をつくと一言呟いた。


(いくらなんでも、焦りすぎか。)


 そして肩の力を抜いて、テオドールに一礼する。


「班長、ご忠告ありがとうございました。」


 その表情は、まるで付き物が落ちたかのように晴れやかだ。


「彼女を目標とするしないはともかく、まずは正騎士叙勲を目指し、地道に鍛練を重ねようと思います。」


「そうだな、それがいい。こちらとしても、将来有望な新人に早々に潰れてもらっては今後の評価に響くからな。」


 そう茶化した後に、「もちろん冗談だが。」と続けるテオドール。


「さて、いつまでもここでぐずぐずしているわけにもいかない。さっさと一周まわって、詰所に戻ろう。下手に時間をかけて、ポールに邪推されるのも鬱陶しいからな。」


 そう言って歩き出すテオドールを追いかけ、キャロルは足取り軽く駆け出した。





「いたたたた…。」


 夕刻。

 昼間の任務を終え、城砦に戻ってきたキャロルたち。

 そのまま夕食を済ませ、班でまとまっての行動は解散となった。

 その後はそれぞれ、街に繰り出すも自由、宿舎で休むのも自由だ。


 そしてキャロルはといえば、執政館の使用人棟で湯に漬かっていた。

 今日は一日中外を出歩いていた為、陽に晒された真っ白な肌は赤く日に焼け、湯が染みることで痛みを生む。

 だがそれは1日中職務に励んだ証。

 彼女は僅かな満足感に表情を綻ばせ、口元まで湯に沈んだ。


(ユーリア殿…凛々しくもあるが飄々として、どこか捉え所のない人だと思ったが…若くして随分と多才な人なのだな。そうか…まずは何か一つでも彼女よりも優れるものを持つ事を目標としようか。)


 キャロルはそう決心して、気合を入れるために湯を掬って顔にかける。

 瞑ったまぶたの外を湯が流れ落ちる。

 それが一段落し、目を開いた彼女が見た物は、マリオンとともに浴場に入ってきたユーリアの姿だった。


「あら、キャロルもお風呂?」


「はい。使用人用の浴場と聞いていたので、数人での利用が精々と思っていたのですが…。」


 彼女の視線の先、湯気の向こうに見えたユーリアの裸体。

 女性特有の丸みを残しつつも良く鍛えられている事が一目で分かるその身体を見て、キャロルの言葉が途切れる。


「何よ?」


 キャロルの視線に、怪訝そうな表情を浮かべるユーリア。


「いえ、ここまで広いのは嬉しい誤算です。流石、侯爵家といったところでしょうか。」


 そう答えつつ、身体に湯をかける風を装って視線を逸らす。

 そして一息ついた彼女は、内心頭を悩ませる。


(…さて、次は何を目標としようか。)

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