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男装お嬢様の冒険適齢期  作者: ONION
第1章 お嬢様の旅立ち
9/124

1-09 お嬢様、指揮を執る

 神暦720年 王の月12日


 私たちは2つ目の集落の捜索を完了した。

 だが、いつの間にかアンジェは剣牙猫(ミーア)に抱きついたまま寝入ってしまっていた。

 戦闘時とはいえそれを叩き起こすのも忍びなく、かといって眠ったまま連れ歩くわけにもいかなかった為、仕方なくこの集落の家の中に寝かせて先に進む事となった。

 最初はアンジェに手を伸ばそうとするとミーアが威嚇してきたが、ミーアのほうに手を延ばしてその匂いをかがせると、警戒を解いたのか大人しくなった。

 その後アンジェを抱き上げ家の中に運ぶと、ミーアもついてきて部屋の隅に横たえられたアンジェの脇で丸くなった。

 まぁこれが見守ってくれているのなら大丈夫…だろうか?



 集落を出た私たちは、次の集落を目指す。

 一応警戒しつつも支道を進むが罠も無く、難無く次の集落にたどり着く。

 見張を警戒して集落の建物を端から捜索したが、使用した形跡のある毛布などの生活用品以外は見つからなかった。

 襲撃に気づいて逃げたか、一旦下がったか…。

 そして最終目的地、最奥の集落に向かう。



 最奥の集落が視界に入ったとき、前方からこちらに向かってくる集団が見えた。

 炎に照らされ、降り注ぐ矢に盾を翳すことで凌ぎ、一目散にこちらに走ってくる。

 その数およそ20人弱。

 当初の予想よりもあまり減っていない。


「騎士以外は下乗!戦闘準備!!」


 ボーダンさんの号令で盗賊たちが馬を下りる。

 ちょうど目の前を遮るように小川が流れている。川幅は約3キュビット(1.33m)、深さは2キュビット(0.88m)程度。防衛線とするにはまずまずだ。


「お嬢様、隊員の指揮をお願いします!」


 下乗した盗賊たちが戦闘準備を整える中、ボーダンさんが叫ぶ。


「貴方は!?」


「騎士の指揮を執り、一撃を加えた後に敵がこちらにたどり着く前に戻ります!」


「わかった。任せなさい!」


「はっ!!」


 せめてもの支援だ、精神を4人の騎士達に集中し、解き放つ。


『彼の者たちを守れ、力の盾よ―――マルチプルターゲット・フォースシールド』


 力が騎士達の体を包み、ほのかに光りだす。

 それに気付いたボーダンさんが、自らの身体を眺めた後にニヤリと笑って声を上げる。


「お嬢様のお力添えだ!ご好意に応えるぞ、目に物見せてやれ!!」


「「「応っ!!」」」


「騎士隊、突撃!我に続け!!」


 拍車を当てて駆け出すボーダンさんに残りの3騎が続き、大きく左に孤を描いて敵集団に向かう。

 敵集団の向かって左側、そこを駆け抜けるつもりか?


「一斉射撃用意!」


 残った隊員たちに号令を掛けながら、自分も弓を構える。


「狙うは敵集団の向かって左側、騎士に当てるなよ!…放て!!」


 騎士の突撃を察知し、スピードを落として盾を構えて待ち受ける敵左翼。

 だが盾を構えた前方からではなく、がら空きの上方から一斉射撃の矢が降り注ぐ。

 そして傷つき、怯んだところに容赦なく騎士の突撃が襲いかかる。

 敵集団を突破する騎士達。今ので7人ほど削れたか?


「よし、では3斉射だ!1射目、狙うは敵集団中央…放て!!」


 敵集団に矢が吸い込まれ、2人ほどが倒れる。

 そしてその向こうでは、騎士達が徐々に方向転換していく。

 東西からの射撃も届いてはいるが、距離の関係で山なりの弾道でしか届かない。

 走っている敵にはそう当たるものでもない。


「2射目、同じく敵集団中央…放て!!」


 放たれた矢が敵集団に降り注ぐが、人数が減りまばらになっている所為か、一人も倒れない。

 その間に、騎士が敵の背後に迫る。3射目いけるか…?


「3射目、同じく敵集団中央、狙え!」


 弓を構え引き絞る。


「待って、騎士に当たるわ!」


 同じく弓を構える女盗賊が叫ぶ。

 だが…


「いいから狙って!!」


 命令に従い、全員が弓を引き絞った。

 敵集団がそれを見て、盾を構える。

 身体を小さくし、盾の影に隠れ、射撃に備え…たところに、背後から騎士が襲いかかった。

 してやったり!

 十分に意識をひきつけることで、弓の一斉射以上の支援となった。


「撃ち方やめ!」


 ニヤリと笑いながら、指示をする。残りは4人。勝った。


「お前とお前!騎士が下馬したら馬を下げて。あとは左右に分かれて各員敵を射て。」


 そう指示して、『凍える大河(フローズンリバー)』を引き抜いた。

 そうしている内に、戻ってきた騎士達が目の前まで駆け寄ってくる。

 下馬した彼らは、小川のこちら、私の前で敵部隊に対する壁となった。


「お嬢様、下がっていてください!」


「傭兵崩れが相手なら、4対4じゃ圧倒的優位とまでは言えないわ。死角から支援するわ!」


「わかりました。ですが、あんまり無茶はせんでください。」


「善処するわ。」


 そう答えつつ、『凍える大河』に意識を集中する。


『宿れ、氷の力よ―――アイスエンチャント』


 冷気属性付与の呪文を唱える―――が、発動しない。

 発動に失敗したかと考えてると、一拍遅れて、脳裏に声が響いた。


『―――封印解除、魔力開放』

『―――発動、氷河の刃(グレイシャーブレード)


 その瞬間、『凍える大河』の刀身から水が湧き出し、それが瞬く間に凍り付いて大剣サイズの氷の刃となった。


「何よこれって…?」


 思わず呟く。何が起こった…まさか魔剣!?

 小金貨22枚で買った…魔剣!?

 ないわー。

 そりゃないわー。

 フェリクスも目を丸くしている。

 そして敵が近づいているのに呆けている。


「ちょっとフェル、敵!」


 そう注意を促しつつ、フェリクスの前に出て、敵を迎え撃つ。

 迫る男達。

 組し易しと見たか、明らかに進行方向をこちらに向けてきた一番先頭の男に切りつける。


「ハッ!!」


 小手調べに首筋を狙い、軽く剣を突き出すと、自分の予想よりも遥かに上の速度で、刃が突き出された。

 それは切っ先を逸らそうと繰り出された相手の剣が阻むより先に首を突き刺さり、手元に引き戻される。

 自分でも目が点になる。何なんだこれは。まるで小剣並のスピードと切返しの速さだ。

 相手がこちらに倒れ込んでくるのを横に避けながらそれを横目で観察すると、突き刺した首の周辺が白く色付いていた。

 これは…冷気属性?

 そんな間にも敵は近づいてくる。心なしか全員が一直線にこちらに。

 大きな驚きに目の前の風景を遠くに感じながら、身体に染み付いた動きで柄を両手で握り、相手の胴を薙ぐ。

 長い柄はこのためか。

 相手がその攻撃を盾で受け、大きく弾き返す。

 あ、やっぱり盾の受けた部分、白く凍り付いてる。

 私が使っているのが普通の大剣であれば、弾き返された剣に引っ張られ、体勢を崩すところである。

 が、私は難なく『凍える大河』を切り返すと、返す刃でがら空きの左足を深く切りつける。

 噴出した血ごと傷口周辺が凍りつき、相手は転倒する。

 そこで一旦距離をとり、周囲を確認する。

 後の2人は騎士達が1対2で優位に相対している。

 うまい具合に盗賊たちからも矢が飛んでおり、手を出す必要もなさそうだ。

 やがて1人が倒されると、最後の1人は武器を放り出して降参し、戦いに決着がついた。

 ふと気がつけば、随分と息が上がっている。

 そういえば、この手で人を殺めたのは初めてか。


「なんだ、大した事ないじゃない。」


 私は自分に言い聞かせるように、そう呟いた。



「おいユーリア、何なんだよその剣。見たことないんだけど。」


 フェリクスが聞いてくる


「え…ええ、今日買った剣よ。…白銀鋼(ホワイトスチール)の。」


 答えた後で、大きく息を吸って気を落ち着かせる。


「だけどそれ魔剣だろ?大金貨何枚よ?」


「小金貨22枚。」


「大金貨22枚?意外と安いな。だけど、よくそんな金が…。」


小金貨(・・・)22枚。」


「えっ?えっと、その…ないわー。」


 まったく同感である。


 降参した敵と倒れ伏してまだ息のある敵を拘束した後で、馬を引き連れたまま歩いて最奥の集落に到着する。

 やっと空が空けてきたが、まだまだ明かりが必要なくらい暗い。

 ちなみに『凍える大河』に意識を集中していろいろやっているうちに氷河の刃は解除できた。

 よかった、あのままじゃ鞘に納める事もできやしない。

 騎士と冒険者が建物の捜索をしている間に、ダミアンさんとオデットと合流し、それぞれが状況を報告した。


「おうお前ら、何人仕留めた?ちなみにこっちは5人。」


 とダミアンさん。


「下の集落で1名生け捕り、最奥から逃げ出したのを18名であります。」


 とボーダンさん。


「逃げ出してきたのを4人。」


 とオデット。


「合計28人…最低でもまだ2人、最悪10人程度いるはずですな。」


「あと錬金術師らしき奴は見つかったか?」


 ダミアンさんの質問に、皆は首を振る。


「とりあえずは、建物の捜索待ちね。」


 そう言って集落の方に目をやると、皆もそれに倣った。

 井戸から水を汲んでの、消火しながらの捜索作業が進行中だ。


「しっかし、遠目には見てたが、やっぱり騎馬突撃は強ぇなぁ。」


 しみじみと呟くダミアンさん。


「まぁ、お嬢様に効果的に支援をしていただけたので、最上といえる結果を出せました。」


「うまくいってよかったわ。あ、アンジェと下の捕虜連れてこないと。ダミアンさん、馬3頭と人手を2、3人、ちょっと借りていい?」


「ああ、構わんよ。」


 私のお願いに、ダミアンさんが素直に頷く。


「だったら私が行くわ。あとは…ブリジット、馬を3頭用意して!」


 そう言って、オデットは女盗賊に声を掛ける。あ、彼女ブリジットって言うんだ。

 馬を用意している間に、遠くから声が聞こえた。


「ボーダンさん!」


「どうした、フェリクス?」


「建物を捜索したところ、先日商人がデファンス領で盗賊に奪われた…ものと特徴が一致する馬車が発見されました。」


「それは…この前のアレか?」


「はい、そうです。」


「よし、案内しろ……」


 馬に跨りながら、そんな話を横で聞く。

 そうか、こいつらがデファンスで商人を襲ったのか。



 馬に乗り、3人で先にアンジェのいる集落に向かう。

 ちなみに、私は問題なく馬に乗れる。

 基本的に馬術は貴族の嗜みであるし、故郷では母上に教わったり、騎士隊に混じって伯父上の訓練を受けたりもした。

 馬術、特に障害走は大好きだ。

 ただ今回は、弓や魔術での支援を中心にするつもりだったので、二人乗りで最奥まで来ていた。

 だがそれよりも、ブリジットと呼ばれた女盗賊がうまく乗りこなしているのを見て驚く。

 馬に乗れないから馬車にいたんじゃないのか?


「ああ、彼女は普段は私に付くんだけどね。むさい男だけじゃ、何かと不便だろうから貴女に付けたのよ。」


 とオデット。

 意外と気を使っていてくれたのか。


「何かあって、岩鬼と事を構えるのは御免だしね。」


 それが理由か。だが、彼女は甘い。

 私に何かがあれば、岩鬼(おじうえ)よりも先に羅刹となった鬼女(ははうえ)が出てくるだろう。



 集落にたどり着くと、なにやら騒がしい。

 アンジェのいた家の前…戸口を囲む数人の男たちの前に、ミーアと呼ばれた剣牙猫(サーベルキャット)が立ちふさがって、威嚇している。

 アンジェは建物の中か?

 それに気づくと、オデットとブリジットは下馬し、オデットは大振りの短剣、ブリジットは弓に矢を番えて男たちに向かう。

 私は意識を集中し、最奥の集落の方向へ解き放つ。


『打ち抜け、魔力の矢よ―――フォースアロー』


 空はずいぶんと明るくなっている。気づいてもらえるか不安だが、やらないよりかはマシだろう。



 私も下馬し、オデットたちの後に続く。

凍える大河(フローズンリバー)』を抜き放ち、魔術を発動する。


『我らを守れ、力の盾よ―――マルチプルターゲット・フォースシールド』


 氷河の刃(グレイシャーブレード)は起動しない。

 まだよくわからない剣なので、普通の剣として使うことにする。

 ヴァレリーについたら鑑定してもらおう。

 マリエルにならお友達価格でやってもらえるだろうか?



 そんなことを考えているうちにこちらに気づいた男たちが向かってくる。

 革鎧に身を包んだ男が3人、小さな杖を持ったローブ姿の男が1人…こいつが錬金術師か?

 鎧姿のうちの1人は、見覚えがあるような気がする。下の集落に転がしておいた捕虜だ。

 ブリジットが速度を落とし、横に移動しながら矢を放つ。

 狙われた鎧の男のうちの1人が、盾を構えてその影に身を隠す。

 傷を負わせることは適わなかったようだが、速度が落ちた為他の2人から遅れさせる事ができた。


『彼らを守れ、力の盾よ―――マルチプルターゲット・フォースシールド』


 錬金術師が呪文を叫び、目の前の男たちの体に淡い光が宿る。奴も魔術師か。

 不味い…こちらがかなり不利だ。人数で4対3、前衛の数で言えば3対2、魔術師の数は同数だが、あちらは専門、こちらは前衛との掛持ちだ。しかも全体的な腕力ではあちらが上。

 双方に防御魔法がかかっているため、さらにその差が大きくなる。

 先にこちらの1人が倒されれば、逆転は不可能に近い。

 だったら…出し惜しみは無しだ!!

 足を止め、意識を集中する。

 接敵したオデットが、2対1で男たちと切り結ぶ。少しの間、持ちこたえてくれと祈りながら、呪文を叫ぶ。


『奴ら打ち抜け、氷の二矢よ―――マルチプルターゲット・ダブルフリーズアロー』


 フォースアローに4人分の対象拡大、本数倍化、冷気属性付与。

 精神力をごっそり持っていかれる感覚に、歯を食いしばることで膝が砕けそうになるのを耐える。

 だが、その価値はあったようだ。


「グワーッ!目がっ!目がっ!」


「クソッ、寒い!体が動かんっ!!」


「うわっ!腕が盾ごと凍りつくか!!」


「畜生!?集中が!」


 矢の一本が顔面を掠めた男は目が見えないのか遮二無二に剣を振り回し、

 体に2本とも直撃された男は凍えてまともに動くことができず、

 盾で矢を防いだ男は凍りついて重量を増した盾を使うことも手放すこともできず、

 錬金術師はダメージ自体は浅そうだが、集中を乱され放とうとした魔法が立ち消えたようだ。

 …というか、これも『凍える大河』の効果なのか?

 明らかに冷気属性が強化されている。


「ブリジット、魔術師を狙って!」


 そう指示し、オデットに追いつく。

 そのオデットは、振り回される剣を掻い潜り、男に襲いかかる。

 二の腕を切りつけ、膝上を刺し貫き、膝から崩れ落ちた男の首筋を掻き切る。

 かなりの手練だ。

 そして追いついた私は、もう1人の…捕虜だった男の横をすれ違いざまに切りつける。

 凍えて動きの鈍い男の首筋に、狙い澄ました一閃。

 骨を断ち切る…どころか、剣先が皮膚を切り裂く感触すらも手に感じ取りながら、その横を駆け抜ける。

 …大人しく捕虜をしていれば、もう少しは生き長らえた物を。


 そのまま、凍りついた盾をだらりと下げた男に向かう。

『彼の者に宿れ、炎の力よ―――ファイアエンチャント』

 呪文と共に、男の盾が炎に包まれる。

 突然のことに、軽く悲鳴を上げた男だが、すぐに錬金術師のほうに振り返る。


「ダンナの魔法か!ありがてぇ。」


 そう言って剣を構える男。また左腕は動かないようだが、直にそれも治るだろう。

 錬金術師のほうを見ると、肩に矢が刺さりながらも満足げに痛みに歪んだ笑みを浮かべていた。

 矢の回避よりも術の発動を優先させたか。

 敵ながら見事!

 男が剣先を繰り出す。

 威力はないが、手数が多く隙の小さい太刀筋だ。

 こちらを守勢に回らせ、盾が使えるようになるまで時間を稼ぐ気か?

 だが甘い。手数だったらこちらが上だ。

 剣を弾き、躱し、その間に幾度も刺突と斬撃を織り込む。

 やがて相手の方が防戦一方となり、顔に焦りが浮かびだす…が、その表情がニヤリと歪む。


『シールドアタック!』


 叫びと共に武技を発動させ、男が炎に包まれた盾を高速で跳ね上げる。

 私はそれをすんでのところで躱す。

 相手の表情で予測していなかったら危ないところだった。

 男の守りが大きく崩れる。

 と、私の後ろから影が飛び出した。

 その影は男に走り寄り、左腕を大きく振り切った男を短剣で突き刺す。

 無防備な腋の下に深々と刺さったその大振りな短剣は、おそらくは肋骨の隙間を抜け、肺腑を抉って心臓にまで届き、結果として男の命を刈り取った。

 狙い澄ました、必殺の一撃だ。

 そのためにタイミングを計っていたのだろうが…遅いわよ、オデット。


 崩れ落ちる男を無視して最後に残った錬金術師に向き直る。

 1対3、前衛無しで無防備、しかも手傷を負っている。圧倒的な不利。

 それでもこちらを睨み、油断無く矢を警戒しながら、杖を構える錬金術師。

 と、その背後から足音を忍ばせ、剣牙猫(サーベルキャット)が首筋目掛け飛び掛った。

 突然の背後からの攻撃に驚きながらも、何とか首筋から剣牙猫(ミーア)を引き剥がした男。

 だが、その注意は今この瞬間は明らかに目の前の獣にだけ向けられており、ブリジットが狙い澄ました矢を放つと、それは首筋に深々と突き刺さり男が崩れ落ちた。



 派手に魔法を使ったため、疲労感が酷い。

 気を抜けばその場にへたり込んでしまいそうになるので、魔力回復の魔法薬の小瓶を取り出し、一気に呷る。

 酷い味だ。

 そして倒した男達の息を確かめる。うん、全員死んでいた。

 振り返れば、オデットの素早い動きを生かした戦い方は素晴らしかったし、ブリジットの弓の精度も高かった。

 連れて来たのがそこらの下っ端だったら、かなり危なかっただろう。

 運がいい。

 アンジェが家の前に立っているので、そちらに向かう。

 ミーアは既にその足元にいた。

 近いたところで気付くが、アンジェは抜き身の短剣を握っていた。

 だが別段怪我をしているようにも見えず、また短剣も使われたように見えなかった。


「アンジェ、戦闘は終わったわ。それをしまっても大丈夫よ。」


 短剣を収めるように促すと、彼は素直に頷いた。

 だがその手は若干震えているように見えた。


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 フェリクス:原付バイクを買いに出かけたユーリアが、中古のフェラーリに乗って帰ってきたでござる。


 だいたいこんな感じで。ちなみに大金貨1枚で10万円相当。小金貨、銀貨、銅貨とそれぞれ10分の1になります。

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