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第五話 優しい骨の人

話をしよう、俺は西沢紅、上格市にある夢異高校に通う幽霊好きの至って普通の学生だ。

夏休みに入り意気揚々と部員全員と深夜に廃村へと出掛けたが、そこには幽霊は居ないと言われる、これでは部長としての威厳が保てないと思った俺は、一人で村を調査する事に。

湖に来ると脳裏に娘を虐待する父親の映像が。

ふと足下を見るとそこにはボロボロに錆びた簪が、視点をもとに戻すと着物を着た女性が湖へと入っていった、怖くなった俺は死に物狂いで家に帰った。

そして次の日、俺は女になっていた。

そのあと、なんやかんやあって俺の名前が朱祢になったり、学校には転校生扱いにするとも言われた。

そして、俺は今お風呂に入ろうとしている。


<途中の「なんやかん」って何ですか?>

『「なんやかんや」は「なんやかんや」です!!』

<す...すみません...>

『兎に角!今この時この瞬間をどうするかを考えるんだ!』

<単純に、私が入りましょうか?>

『?...どういう意味だ?』

<百聞は一見にしかず!えいっ!>


そう言って朧は紅の体に入っていった。


『え!?ちょ!何すんだ!』

『<大丈夫、大丈夫、ほら!これでこの体は私のもの~>』


体が勝手に動く、まるで誰かに操られてるようだ。


『<それじゃ!お風呂にレッツ!ゴー!>』

<『おい!ちょっと待て!何で俺は魂が出てないんだ?普通他の魂が体に入ったら俺の魂は弾き出されるんじゃ...』>

『<普通はそうです、しかし私は強い力を持っていますから、あなたの魂も残ったままにできるんです>』

<『それじゃ意味ないだろ!俺はどうやって自分の体を見ないで入るか考えてたんだ!俺の魂が残ったままじゃ見えちゃうだろ!』>

『<人は同じ事を繰り返すと飽きてしまう...>』

<『......何が言いたい...』>

『<つまり、自分の体を見飽きてしまえばいいんですよ!>』


根本的に解決してね~!!

紅の心からの叫びは響き渡ることはなかった。


PM 7:46 お風呂場


<『おい!いつまで鏡の前にたってる気だ!目のやり場が...』>

『<まったく...そんなんじゃいつまでたっても一人でお風呂なんかに入れませんよ?>』

<『いいよ別に...お風呂に入る時は朧にお願いするから』>

『<甘えん坊~>』


朧は濡れて水を吸った髪を絞り、タオルで髪を纏めてから湯船に浸かった。


『<ふぅ...いいお湯ですね~>』

<『湯船に浸かってる間に色々聞きたい事があるんだが』>

『<何でしょう?>』

<『さっき言ってた「強い力」って何だ?』>

『<何でしょうね?私にも分かりません>』

<『知らないのかよ!』>

『<はい、なんか黒い布を被った骨だけの人がそう言ってました>』

<『言われただけで信じちゃうのかよ...じゃあ次に、何で髪が水色でこんなに長いんだ?』>

『<これも骨の人から聞いたんですが、何でも生前に思い描いた姿が紅に反映したらしいですよ?>』

<『なるほどな~朧はこういう姿がよかったんだ~、ふ~ん』>

『<何ですか?......>』

<『別に~、あと、さっき俺のゲームやってたじゃん?よくゲームのやり方わかったな』>

『<あぁ、それはですね、紅と私は一心同体ですから紅の記憶・感覚、様々な事が共通にできるんですよ、それでさっきはゲームの記憶を見させてもらいました>』

<『まじかよ...あんまり記憶を漁るなよ』>

『<は~い、それじゃ、私からも質問させてもらいますね>』

<『ん?なんだ?』>

『<これからは「紅」って呼べばいいのか「朱祢」って呼べばいいのか...>』

<『紅でお願い致します』>

『<分かりました!朱祢ちゃんってこれからは呼びますね♪>』

<『おい...』>

『<あ~、それから、幽霊を見るときは目が光りますからね、気をつけて下さい>』

<『どういうことだ?』>

『<お風呂から上がったら説明します>』


脱衣所に出るとそこには全体的にピンク色で花柄の寝間着が置かれていた。

いつの間に買ったんだ...こんなもの...


PM 8:22 紅の部屋


『ふぅ...やっと元に戻った...』

<フフ...似合ってますよ朱祢ちゃん>

『その名前で呼ぶな!...はぁ、で?幽霊を見ると目が光るってどういう意味だ?』

<はいはい、え~コホン、これも骨の人から聞いたんですが、なんでも朱祢ちゃんは自分で意識すればいつでも幽霊が見れるらしいですよ>

『マジで!?ヨッシャー!これで俺も霊能力者の仲間入ッング...!』

<話は最後まで聞きましょう>


コクリと頷くと口が開くようになった。


<見れる様になるんですが、見ている間は目が紅く光るんですよ>

『そんなもん、人がいない所でやれば何も問題ないだろ?』

<いえ、その、普通に幽霊が見えても目が光ってしまいますから気をつけて下さい>

『ふ~ん、まぁ、別に幽霊なんて早々見えやしないんだし、気にすることはないよ、そんな事より本当に見えるのか試してみるか!』

<それでは、目を三秒ほど閉じてから開けてください>


一息ついてから紅は、目を閉じた。


(一、二、三)


目を開ける。

そこには紅を見つめている朧意外誰もいなかった。


『?...なんだ?失敗したのか?』

<朱祢ちゃん、鏡を見てください>


俺は自分の部屋に置かれている姿見を覗いた。


『目が...光ってる...』

<この家は私が陣取ってますから他の霊は近寄れないんですよ>

『先に言えよ!』


朧がテヘペロと言って舌を出している...ムカつく


『どうしたら光ってるのを止められるんだ?』

<さぁ?>

『さぁ?って、知らないのか?』

<はいっ!>


うわっ...開き直りやがった。

この先大丈夫かな?


<大丈夫ですよ!>

『だから、心を読むなって!』

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