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第四話 歌と怨霊とツンデレと

Q:何で歌ったんですか?

A:もちろん!文字かせg...紅が歌いたかったからです!

『さ~ってと、そろそろ帰りますか!』


春斗が立ち上がり伸びをしながらみんなに言った。


『え~、もっと遊んでた~い!』


それは俺で「遊ぶ」という意味ですか?


『村沙先輩ダメですよ!西沢先輩が困ってます!』


そうは言ってますが多々良さん?ずっと俺の手をサワサワしてますよ?

葵は...


『紅くんの髪サラサラ~、いいな~、』

『髪を触ってないで助けてくれよ...』

『え?何で?』


「何で」って...ここは一番冷静な八雲にたす――


カシャッ


『保存っと...』


――けはお願いできないな...


『おい...何撮ってんだよ...』

『!?...な...ち、違うぞ!これは...その...そう!脅し用だ!脅し用!決して部長が可愛かったから部屋に飾ろうなんて...微塵も思ってないからな!か...勘違いしないでよね!』

『お、おう...』


顔を真っ赤にして向こうを向いてしまった。

いや...助けてくれよ...まあ、貴重なのが見れたからいいかな...


『はいはい、もうその位にしとけ、紅だって色々考えたい事だってあるんだから。』


春斗...いつもは下ネタばっかりで皆から引かれているのに、いざ、というときは頼りになる。


『下ネタのところは別にいいだろ』

『サーセン』


心を読まれてしまった。





『それじゃ、紅くんまた明日ね!』

『おう!』


春斗が「まだ遊びたい」と駄々をこねている純を引きずりながら帰っていった。

そして俺は今、とても機嫌が良い、純から開放されたのもあるが、何よりも皆が自分を受け入れてくれた事に。

ドラマなどでは、呪われた人がいると軽蔑されがちだが、皆は呪いなどお構いなしに接してくれた。

いい友達を持ったと、上機嫌な俺はソファーで寛ぎながら――




『♪~~~♪~~』


歌っていた。


『いや~やっぱりこの曲はいいな~♪』


皆と楽しい時間を送っていた紅は、まだ、やらなければいけない事が残っていた――


『『『ただいまー!』』』


それは――


『お!帰ってきた!お帰りなさい!』


家族への――


『あなた...誰?』


説明――



『それじゃ、本当にお兄ちゃんなの?』

『さっきからそう説明してるだろ』


凛は納得しているが、両親がまだ納得いっていない顔をしている、まぁ無理もない、17年間育て上げた息子が、ケータイショップから帰ってきたら女の子に変わっていたら、そりゃ受けいれ――


『あなた!うちの子がこんなに可愛くなったわ!男の時もイケメンで私好みだったけど、こっちもなかなか...ゲヘヘ...じゅるり』

『紅、今日はお父さんと一緒に寝ようか』

『あなた!紅は私と寝るんです、ね!紅!』


――ちゃうんだもんな~この変態夫婦は、それと俺は二人のどちらとも寝ません、さっきまでの真剣な空気は何処へ。


『これからはお兄ちゃんじゃなくて、お姉ちゃんって呼んだ方がいいのかな?』

『別に、お祓いすれば元に戻るんだから呼び方なんていいって』

『お母さん!紅の新しい名前考えました~♪』


唐突にお母さんがそんなことを言い出した。

わ~、パチパチとお母さんと凛が盛り上がっている、何故名前を変えなきゃいけないんだ、このままでもいいのに、というより、勝手に変えれるものなのか?


『では、発表します!』


口でドラムロールを言ってから、ジャン!と画用紙を出した。


『「朱祢(あかね)」です!』


凛とお父さんが「おぉ~」とため息を漏らす。


『朱祢お姉ちゃん!』


わぁ~!と言って俺に抱きついてきた。あれ?どこかで同じことがあったような。

お母さんも抱きついてきた。うわぁ...鼻息あらいなぁ......

お父さんが何かソワソワしてる。


『お父さん、抱きついたら警察呼ぶから』

『な、なにをいいい言っているんだ!家族の大黒柱がむむむむす娘にだき、抱きつくなんて...』

『わかったから、この二人をどうにかして』

『あ、あぁ』


お父さんが二人を引き離してくれた。あぁ~、苦しかった。

お母さんと凛がイスに座りなおす。


『それじゃ、お父さん、明日、市役所行って、住民票の変更手続きとかよろしくね~』

『ええ!本当に改名するの!?』

『当たり前じゃない、そんな姿じゃ学校に行ったって誰も「西沢紅」だって信じてくれないわよ?だからこれからは転校生って事で、ね?』



PM7:15 紅の部屋


『うあー、疲れたー...』


俺はベッドへとダイブした。

結局、「春斗達は信じてくれた、」と何度も言ったのに軽く流されてしまい、晩飯を食べているときでも凛がベタベタ触ってきたりと、精神的にも肉体的にも疲れきっていた。


『こんな(もの)、拾わなきゃよかった...』

<後悔してますか?>

『相当な...って、え?』


ちょっとまて、ここは俺の部屋、俺は一人のはず、もし凛が入ってくれば音で分かる、空耳か?


<残念、空耳ではありません>


心を読まれた。

俺は覚悟を決め、振り返った。


<どうも~>


そこには、廃村の湖で見た女性がゲーム機で遊んでいた。それ、俺のなんですが...


<いいじゃないですか~別に減るもんじゃないんですし>


また心を読まれた。

なんだろう、この遣る瀬無い感じは。

そして何より...


<何より?>


フランクすぎる。

今もうつ伏せになってる俺の上に同じ格好で乗っかりながらゲームをしている。


『って...うわぁーッング!?・・・』

<い、いきなり大声を出さないでくださいよ~、びっくりしてあなたの口を開かない様にしちゃったじゃないですか>


開かない様にしただって?なら早く開けてくれよ、どうせ、この心の声も聞こえてるんだろ?


<え~、どーしよっかな~、どうせまた叫ぶでしょー>


首を横に振る。


<本当ですか~>


コクリ、と頷く。

すると、口が開くようになった。


『さてと、色々聞きたいがまずは、お前は誰だ?』

<自己紹介が遅れました、私は「(おぼろ)」と申します、覚えているのは名前と自分が幽霊ってだけです>

『やっぱり幽霊なのか...それじゃあもう一つ、何でこんな時間に出てこれるんだ?大体は午前2時とか、寝てる人の枕元とかなんじゃ...』

<それはですね、お侍さんが自害をするときにお腹に短刀で漢字の七って書いていたからですよ、それで七の付くものは縁起が悪いんですよ、それでこんな時間からでも出て来られるんですよ>

『でもラッキーセブンとかって言うじゃん、それは?』

<偶然七の時にいい事があったんじゃないんですか?>

『ふ~ん...そんなもんなのかな?』

<そんなもんですよ>


会話が終わってタイミングよく、コンコン、とドアがノックされた。


『お姉ちゃん、お風呂入れるよー』

『うん、わかった』


パタン、とドアが閉まり、凛は自分の部屋へ戻っていった。


『さてと、風呂に入るかなー』

<その体でですか?>


朧が上を退き、そんなことを言って来た。

ベッドから起き上がり自分の姿を思い出す、今自分は女の姿、こんな姿ではお風呂に――


『入れない!?』

元ネタ


紅が歌っていた曲、

水曜どうでしょうED「1/6の夢旅人」


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