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第一話 幽霊出ません

タイトルは部員達の主観です

『お~い このバカ野郎!』

『お なんだコノ~』

『なんだじゃないだろ、何もいねーじゃねーか』

『あれ おかしーなー』

『なにもおかしくないんだよ お前がおかしいんだよ』


 30分ほど廃村へと続く道をあそこに霊がいただのいや気のせいだなどを言い合い眠気も手伝い紅と春斗は某深夜旅番組のようなノリになっていた。

え~コホンとわざとらしい咳払いをして部員に告げる。


『諸君! 遂に我々は禁断の領域 闇沢村に到着した! フフ、ハハハ、ハーッハッハッハッハッ!!』

『・・・絶好調だなこいつ』ッハッハッハ』

『そんな大きな声で笑ったら喉が潰れちゃいますよ?』ッハッハッゲホゲホ』

『優しさの裏に見えるその黒いオーラ、フフン、あと少しで尻尾を掴めるわね』ゲホゲホゲーホゲホオェッ』

『・・・』だ…誰か…さんそ…酸素を…』

『? どうしたの由紀ちゃん』

『ここ…霊…いない……』

『フフフ、ゲホゲホ、八雲くん帰りたいからってそんな嘘をつくもんじゃーないぞ!』

『嘘じゃない…』


 八雲由紀(やくもゆき)

 縁と同じ後輩でなんでも八雲家の女性は代々霊感が強く霊から発せられる霊波とやらを感じ取りその場に霊が居るのか居ないのかがわかるという。


『やっぱり居ないじゃないか! 大泉君!』

『誰が大泉だ! いや、そんなことより八雲くんそれは本当か?』

『居ないと言っている、聞こえていなかったのか? それとも聞こえていたが理解が出来ないほどの低脳なのか?』


 くっ、後輩なのに相変わらずの毒舌、それにみんなからの冷たい視線が痛い…これでは部長としての威厳が保てない、ここは名誉挽回のためにも……。


『君達はもう帰れ、俺はもう少しこの村を調査する』

『え! マジで! ヨッシャー!!』

『それじゃ西沢君、後は任せたわよ』

『探し損……』

『それでは西沢先輩、私達はこれで失礼します』





『はぁー』


 あの後1時間ほど探ししたが霊らしき者は一切現れず疲れと眠気だけが積もっていく。


『だいたい幽霊なんてプラズマで説明が……、って何を言っているんだ俺は非科学を研究しているのにこんな科学的なことを……お?』


 ふと気づくと目の前には月明かりに照らされた大きな湖に出ていた。


『おお……なんとも幻想的…』

(……さい)

『ん? なんだ?』

(ご…な…い)


 誰か居るのかな?

そう思い後ろを見るがそこはさっきまで歩いてきた道が広がっているだけで隠れられるところなど何処にもない、気のせいと思い湖に向き直る。

すると……。



(何でお前なんかがこの家にいるんだ~? あぁー!!)

(ごめんなさい!! ごめんなさい!!)

(あなた!! もうやめて下さい!!)

(ごめんなさい!! ごめんなさい!!)

(お前は黙ってろ!!)

(ごめんなさい!! ごめんなさい!!)

(きゃあ!!)

(ごめんなさい!! ごめんなさい!!)

(てめぇ! さっきからうっせぇぞ!!)

 やめてよ…。

(あなたやめて!!)

 やめてよ…!

(ごめんなさい!! ごめんなさい!!ごめんなさい!! ごめんなさい!!)

 やめて!!


『ととっ……あれ?』


 なに……今の……。

娘を虐待していた父親らしき人を止めようと、足を一歩踏み出すとその光景は消えた……。

疲れてるのかな? そう思った僕は帰ろうと足を動かすと、何かが足に触れた。


『何だろうこれ? 随分汚い……簪?みたいだけど…』

(憎い……)

『え?』


 着物を着た女性が重い足取りでうつ向きながら裸足で湖へと歩いていく、足下には藁草履とその上には遺書らしき紙、簪が置かれていた。

遺書らしき紙……。

遺書らしき……。

遺書……。


『遺書?! ちょ……貴女死ぬ気なんじゃ……あれ?……』


そこにはもう女性はいなくなっていた。


(まただ……)


 すると急に辺りが冷たくなり、僕に悪寒が走る……。

(此処にいたらまずい)

 そう思った僕は死に物狂いで走った…後ろから妙なプレッシャーを受けながら。



その後のことは覚えていない、気がついたら僕は自分の部屋で布団に包まりながら震えていた。


『プラズマだプラズマだプラズマプラズマ……』


 暗示をかける用に何度も何度もそう呟いていた。すぐにでもあの女を忘れたくて。

元ネタ


某深夜旅番組→水曜どうでしょう


大泉→俳優 大泉洋の事

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