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第十三話 女が女を好きで何が悪い

『伊織お姉様~♪』

『も~、あかねっちは甘えん坊っすね~♪』

『だってお姉様のこと大好きなんだもん♪』


伊織お姉様が僕の頭を撫でてくれる、気持ちよくて目を細める。・・・伊織お姉様?......まぁ、いっか...。


『そろそろ来るかな...』

『何がですか?』

『んー?強いて言うなら、拘束員?』

『拘束員ってなんだー!!』


部室の扉を勢いよく開けて、見知らぬ女性達が男性を引きずって入ってきて、伊織お姉様と睨み会っている


『待ってたっすよ、拘束員の皆さん』

『だ・か・ら!!その拘束員って何なのよ!』

『あぅ、お姉様、この人達は?』

『あかねっち気をつけて、この人たちはあかねっちを拉致しようとしてるっすからね』

『はぁ?あんた何いってるの?ほら!朱祢ちゃんも雛森(そんなやつ)の後ろに隠れてないで、部室に戻るわよ!』

『え?や、いや!離してください!!お姉様助けて!!』


お姉様が私と、私を引っ張っている女性の間に入り私を抱き寄せる。


『やめるっす!私の“妹”が困ってるじゃないっすか!』

『妹?!』

『ふぇぇ...お姉様ー!』

『よしよし、怖かったすよね、帰りにケーキ買ってあげるっすからね』

雛森(あんた)大丈夫?、まぁ?朱祢ちゃんが可愛すぎておかしくなっちゃうのも分からなくないけど?』

『何でそんなに誇らしげなんだよ...、紅は誰のものでもないだろ』

『“誰のものでもない”っすか?......、いいわ、教えてあげる......、あかねっちが!』


丸投げか...、まぁいいや、お姉様が私に頼んでいるのだから断るわけにはいかないよね、うん。


『初めまして、私、伊織お姉様の妹、雛森朱祢と申します、ふつつか者ですが、よろしくお願いします...』


よ、よし!噛まずに言えた!・・・て、あれ?どうして皆目を丸くしてるんだろう...、もしかして、挨拶が変だったのかな?もしそうだったらどうしよう...、うぅ、何か顔が赤くなってきたような...。


『あ、朱祢ちゃん...?そんな冗談はやめましょ...?ご両親が悲しむわよ?』

『冗談じゃないっすよ、もうあかねっちは私の妹になったすよ』

『何でだよ!紅はお前の妹じゃないだろ!凛ちゃんの兄じゃないか!な、そうだろ?紅?』


何を言ってるんだろう?私は妹であって、兄ではない、第一私は男じゃないし、凛なんていう妹は...、凛...?どこかで......。


『あっ!いたいた!お姉ちゃん一緒に......あー・・・もしかして、取り込み中でした?』

『おお!!ちょうどいいところに、凛ちゃんからも何か言ってやってくれよ、紅が雛森の妹だって言い張るんだよ』

『?、それは妹ごっことかそういうのですか?なら私も混ぜてください!私は「お姉ちゃんのことが大好きな妹」という役で!』


この子は何を言っているんだろう?伊織お姉様は私のもの。もし、この子がお姉様のことを狙っているとしたら......殺さなきゃ...。


『お姉ちゃん?が...ぁ......く...くるしい......おねえちゃん...』


凛に近づき首に手をあて、親指に力をいれる。


『わわわ!!何してるっすか!!と、とりあえず “洗脳”を解くっす!!』

『『『『『洗脳!!!???』』』』』


お姉様が私の目を後ろから覆ってきた。何をするんだろう?


『よし!いくっすよ......いたいのいたいのとんでいけー♪』

『はぁ?お前なめてんのか?そんなんで洗脳が......』

『あれ?僕は何を...』

『解けてるわね...』

『ゲホゲホ......ハァ...ハァ...お、お姉ちゃん...よかった、元に戻ったんだね』

『え?凛、どうしたの?なんか苦しそうだけど...』

『大丈夫、全然平気だよ!』

『そう?』


とりあえず、凛を近くのイスに座らせ、一体何が起きていたのか説明を聞く。

なんでも、僕は伊織くんに連れ去られたあと、洗脳をさせられて伊織くんの妹にさせられていたらしい......、何か隠されてるような...。

主犯者はというと、イスに縛り付けられ水蓮寺くんに質問されている。あれ?何処かで見た光景...。


『ふぅ、これは逃げられないっすね...、とっとと白状して家に帰るっすかね』

『それじゃあ聞かせてもらうわね、何で朱祢ちゃんにあんな酷いことをしようだなんて思ったわけ?』

『私だってあんなことになるなんて思って...ひゃん!』

『そ、その事はいいの!いや、よくわないけど!』

『あんなこと?』

『お、お姉ちゃん!私はどんなことをされても、お姉ちゃんのことが大好きだからね!』

『え、あー、うん、僕も大好きだよ?』

『で、何で洗脳しようと思ったの?』

『・・・』


伊織くんが少し下を向き、何かを呟いている。


『・・・きだった・・・す』

『え?何?』


伊織くんが顔を上げ、大きく息を吸い、大きな声で言った。


『紅くんのことが好きだったんです!!!!だから!!独り占めしようとしたんです!!!!』


伊織くんがそう言い放つと部屋中が静まり帰り、伊織くんの荒い呼吸音だけが聞こえる。

一番に沈黙を破ったのは水蓮寺くんだった。


『何を当たり前なことを言っているの?私だって紅くんのこと好きにきまってるでしょ!あ、もちろん、朱祢ちゃんになってからも好きよ?』

(あたし)も好きよ?』

『わ、私も好きです...』

『・・・私も...』

『お、俺も...』

『『『『お前はダメだ...』』』』

『な!?ひでーお前ら!!凛ちゃん、こいつらに何か言ってやってくれよ~・・・』

『貴方にお姉ちゃんは絶対に渡しません、覚悟してくださいね』


さっきまでの暗い空気から一変して明るい空気に変わった。春斗(ひとり)を除いて...。


『さて、どう制裁を下したものか...』

『え?!許してくれるんじゃ...』

『誰がそんなこと言った?』

『・・・朱祢部長を独り占めするのは私...』

『とにかく、朱祢ちゃんを洗脳して独り占めしようとした罪は重いわよ...、覚悟なさい!!』

『ひっ!』

『ちょ、ちょっとまって!』


何故か伊織くんの胸に手を伸ばしている水蓮寺くんの腕を掴む。なんで胸に......うわ!?目付きがエロい...、ハァハァしないでください。


『なにも、制裁を下さなくても...、僕は怒ってないから、ね?』

『・・・朱祢ちゃんがそう言うなら...、命拾いしたわね』


掴んでいた腕を離すと、伊織くんの胸に伸ばしていた手が引っ込む。

伊織くんに近づき伊織くんを縛り付けている縄をほどく。


『えっと、なんて言ったらいいか分からないんだけど...、僕も伊織くんのこと好きだよ...』


あ、あれ...?なんで皆僕を睨んでるんだろう...、あ、やばい、春斗くんが囲まれてる。でも、春斗くんはサンドバックだからいいかな...、いやダメか...。


『あ!えっと~・・・、み、みんなのことも大好きだよ!?だから、その~、明日もこれからも今まで通りに過ごそ!!ね?ね?』


と、とりあえず、(春斗くんへの)危機は去ったかな。あれ?次は僕ですか、そうですか。


『あのね、私、朱祢ちゃんの為なら人が沢山居ても心霊スポットに行けるように努力するよ?』

(あたし)は~、朱祢ちゃんによってくるクズ野郎から守ってあげるよ』

『私は、お姉ちゃんの為ならケーキを沢山買ってあげるよ!』

『わ、私は、部長が過ごしやすいようにいつも部室を綺麗にしてます!!』

『・・・私は、朱祢部長に健康の(おまじな)いをかけてあげる...』

『私は、洗脳をして妹にさせてあげるっす』

『『『『『それはダメ!!!!!』』』』』


女性陣が僕を囲み逃げられなくしている。な、何でみんな目が血走ってるんだろう?


『紅...、なんて罪作りなんだ...、しかも天然...羨ましいぜ...』

『え?ええぇぇぇ!!??』



<この後、レストランで昼食を取りながら、女の60分のような時間があったとかなかったとか...、でも、その話はまた今度...>

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