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第十一話 春斗は二度死ぬ

夏休み明けだからなのか、この学校が変わっているのか、女の子になって初めての登校がほんの数分だけの始業式と言うなの校長の「早く帰ってゲームがしたい」というどうでもいい一言で終わってしまった。いいのかなそれで...生徒たちからしたら「校長グッジョブ!」なのかもしれないけど。10分もしない内に始業式を終えて、教室に戻り二学期の学校行事について軽く話してこの日は終わった。

放課後になり、やっぱり転校生は質問攻めされるのかなぁ、と考えながら帰り支度をしていると、案の定クラスの全員に囲まれて一斉に質問されてしまった。


『ねぇ!ねぇ!何で髪が青いの?もしかしてハーフ?』

『何で眼が紅いの?クォーター?』

『彼氏っているの?』

『朱祢ちゃんって、髪が長くて肌も白いからお人形さんみたい!やーん!かわいー!』

『あっ...えっと...その...』


皆が好き勝手に喋りかけてきて、何を言っているのか全然分からない...ここは誰かに助けを...。


『水蓮寺さん、見えた?』

『えぇ、水色の縞模様よ!』

『水色の縞模様!?オーバードライブ!!』

『ちょ!?覗かないで下さい!』


しゃがんで人の下着を覗いている変態ズは無理かな...。


『お前ら、こ...西沢さんが困ってんだろ、一人づつ質問しろよ』


春斗がそう言い放つとクラス中が急に静まり帰り、近くの人と何か囁きあい、その内の一人がクラス代表として質問をしてきた。というか、春斗くん...助けてよ...。


『えー、こほん、西沢さんに質問をさせていただきます』

『はい』

『部活はどこに入るんですか?』

『部活...ですか、もちろん、心霊研究部です!』


一瞬にして空気が変わった。あれ?もしかして、答え間違えた?でもみんな春斗くんを睨んでるのは何でだろう?。


『あかねっち、無理しなくてもいいっすよ、はるっちにそう言えと脅されたっすね...』

『あかねっち!?』


僕のことを「あかねっち」と呼んでいる「安全第一」と書かれたヘルメットを被っている少女が話しかけてきた。


雛森伊折(ひなもりいおり)...さん』

『ん?あたし、自己紹介したっすか?まぁ、そんなことは置いといて、心霊研究部より動画撮影部に入らないっすか!色んな秘密が知れるっすよ!』

『動画撮影部ですか?』


動画撮影部

その名の通り、ただ動画を撮影して撮った映像を部室のテレビで見るだけの至って普通の部ではあるのだが、時々犯罪ギリギリのことをすることもある、心霊映像も撮れるので、よく心霊研究部と活動をしている。


『入るっすか?入らないっすか?』

『え~っと...』


視線を春斗くんだったものに向けると「断れ!」というオーラが感じられる。


『入れてくれる気持ちはありがたいんですが、その、春斗く...さんがどうしても入ってくれと言うので...』


あっ、春斗くんが連行されいく。





AM9:11 旧校舎(通称 部室棟)4F 心霊研究部


渡り廊下から旧校舎に渡りガタガタで今にも砕けそうな階段を慎重に4階まで上がり、一番奥の貞子が描かれている壁の目の前に、我が部の部室が設けられている。扉には可愛くデフォルメされた貞子が描かれている。

部室内は6~7人入れる位の広さで、部屋の中央にはソファーが二つ、ローテーブルを挟む形で置かれてるだけのシンプルな部屋になっている。

春斗が扉側のソファーに座り、俺は窓際のソファーに座る。


『あーあ!みんなを説得するの疲れたなー!テンションも下がっちゃったなー!ねー!紅!』

『ふん!知るかバカが!俺は西沢朱祢を演じるのに忙しかったんだよ!そのくらい分かれよ、このド低脳が!...いや、障害か?ん?どうなんだ、クズ!』

『いいのか?俺にそんなことを言っていいのか?』


春斗がソファーから立ち上がり俺に顔を近づける。


『な、何...?』

『実は高飛車な口調が演技だって村沙達にバラすぞ?』

『春斗くん...強姦...』

『は?なに言って...うお!?』


春斗くんを僕の方に引き寄せ、僕が下、春斗くんが上になり、まるで春斗くんが僕を襲っているような形になっている。


『そろそろ村沙くん達が部室に来る頃だけど、こんな格好で僕が悲鳴をあげたらどうなるんだろうね?』

『お、おい!ふざけんなよ!あいつら容赦ないから俺が消えちゃうだろ!』

『バラされるくらいなら僕はなんだってするよ?ほら、村沙くん達の声が聞こえてきたでしょ?』


廊下から楽しそうな笑い声が部室に近づいて来ている。その声を聞いて春斗くんが僕から離れる。


『離れても僕が悲鳴をあげれば、春斗くんは強姦者になっちゃうね、どうする?』

『くっ...!こいつ、性格の話になると途端に嫌なやつになるな...はぁ、降参だ、誰にもバラさないから機嫌を直してくれ』

『わぁ!春斗くん大好き!...ん』


ソファーから起き上がり春斗の首に手を回し唇を合わせる。


『!?...な、何すんだよ!』

『えへへ、僕の機嫌を直してくれてありがと、そのお礼、もしかして嫌だった?』

『嫌じゃないけど...いきなりキ、キスは、その、お前はどうなんだ?』

『僕は別に?恋愛とかそういうのは全然興味ないから、もしかして、もう一回してほしいの?』

『はぁ!?んなわけ...んぶ!』


もう一度顔を近づけ唇を会わせる、それと同時に部室の扉が勢いよく開き村沙達が入ってきた。


『ちわー!村沙純!本を返してきました!途中で水蓮寺さんに......』

『おー!よく来たな、それじゃ夏休みに行った廃村のほうこ――』

『キャァァァァァ!!イヤァァァァ!!』


部屋を揺らすほどの奇声を上げる村沙、春斗を睨む水蓮寺、春斗を睨み何かを呟いている八雲、顔を手で隠し指の間からこちらを見ている多々良、この世の終わりのような顔をする弓矢、そして、状況を読み込めていない朱祢ちゃん。


<一体どうなってしまうのか!次話を待て!......私ですか?今の状況を朱祢ちゃんの後ろから楽しませてもらってますよ、ふふ♪>

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