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第十話 夢異高校にようこそ! 

9/1 AM6:25 紅の部屋


窓のスキマから風が吹きカーテンを揺らす。

外では鳥たちが太陽の熱い洗礼を受けながら寝ている人達に「起きて」と声をかけている。

そんな鳥たちの目覚ましを聞きながら紅は後輩の八雲由紀のお店から買った学校の制服に着替えていた。

水色と白のチェック模様のスカートを履き、ブラウスを着て、ハイソックスを膝上まで上げて、最後に赤色のネクタイを付けて着替え終了。

ちなみに下着は、上は薄い青色で、下は青のストライプ(朧が無理矢理履かせた)。

着替え終えた紅は、ベッドに腰掛け時計を確認する。


『6時30分......んー...もう眠くないし、どうしようかな......。あ!そういえば!』


胸の前でパン!と手を鳴らしてベッドから立ち上がり、音を立てないように扉を開き一階へと降りて行く。


<むぅ!「そういえば!」なんて言うから私に「朧、おはよう」って言ってきたら私が「朱祢ちゃん、おはよう」って挨拶をした後にベッドで......きゃー!朱祢ちゃんったら以外と大胆!・・・朱祢ちゃんとこ行こ...>


階段を降りてすぐ右の襖が少し開いている。

中を覗くと、部屋の真ん中にテーブルが置かれており、壁には丸く型どられた窓が付けられており、部屋の一角に仏壇が置かれている、紅が仏壇の前に正座をして手を合わせている。


<あ、ここに居たんですか、お祖父様に自分が女の子になっちゃった事を伝えてるのかな?フフフ...ちょっと驚かせちゃおっと>


襖をすり抜け和室に入り紅の後ろ立つ。


『夏休み以来ですね...』

<フフ...まったく気づいて......あれ?この遺影......>


ふと、仏壇におかれていた遺影を見る。


『お久しぶりです...』


そこに写っていたのは。


<え?......うそ...なんで...>

『圭お兄様』


―――――――


『行ってきます』


あの後、特にすることもなくリビングのソファーで新聞を読んでいるとリビングの扉が勢いよく開き、お母さんが慌てて入ってきて朝食を作ってすぐに仕事に出掛けていった。


『あっ!お姉ちゃんちょっと待って!』


凛が玄関のカギを閉めて慌てて近づいてくる。


『そんなに慌てると転けちゃうよ』

『大丈夫だよ、私運動神経いいから、お姉ちゃんは心配性だなー』

『むぅ、茶化さないでよ、こっちは本当に心配してるのに...』

『ふふ、ありがとう、お姉ちゃん大好き!』


凛が僕に抱きついてきた。あの、当たってます...。


『わぁ!?ちょ!抱きつかないでよ!歩きづらいし、こんなところもし誰かに見られでもしたら...』

『大丈夫、大丈夫、人が多くなったら離れるから』


いや、たしかに人は数えるほどしかいないけど...すごい見られて恥ずかしい、もし春斗にこんなところ見られたら・・・。


『おぉ!紅に凛ちゃんじゃないか!朝からラブラブだねー』

『あっ、弓矢先輩、おはようございます』


見られた.....今一番見られたくない奴に...見られてしまった。


『消さなきゃ...』

『お姉ちゃん?』『紅?』

『春斗くんの記憶を消さなきゃ...』

『ちょ!お姉ちゃん!?』


携帯をふりかざし、春斗くんに近づこうとしたが抱きついていた凛が力を入れて止められた。


『離して...この姿を見た者の記憶を消さなきゃいけないの...』

『紅!台詞がなんか悪役みたいだぞ!それに、紅に凛ちゃんが抱きついていた事なんて誰にも言わないって!』

『本当?』


紅が上目遣いに聞き返してきた。あれ?なんで涙目なの?


『当たり前だろ』

『春斗くん...大好き!』


紅が凛ちゃんから離れ、俺に抱きついてきた。あっ、可愛い...いやいやいや!紅は男だぞ!いや、でも今はどこからどう見ても女の子だし...でも心は男だし...う~ん......ん?なんか、視線が...。


『弓矢先輩、くれぐれも夜道は背後に気をつけてくださいね』

『ひぃぃぃ...』


****


『お姉ちゃん、また後でね!』

『うん、また』


昇降口で凛と別れ、春斗と二人きりになる。


『それにしても、すごい注目されてたな、朱祢ちゃん』

『血桜って、綺麗なんだろうなー、ねぇ、春斗くん?』


「すいませんでした!」と頭を下げている春斗を横目に周りを見回すと、「バッ!」と音が聞こえるほどの勢いで皆が明日の方向を向いた。


『やっぱり、この髪と眼は目立つのかな?』

『紅が可愛いからじゃね?』

『え?...かわいい...?』

『ん?うん、可愛いじゃん』

『あ...えっと...し、職員室行って先生に会ってこなくちゃ!、ま、また後でね!』

『応!またな!』


春斗に軽く手を振ってから小走りで職員室へと向かう。

うぅ...なんなんだよ...いつもは下ネタばっかり言ってるくせに、たまに、あんな...か、可愛いだなんて......今度何か奢ってあげようかな?

そんなことより、顔赤いのバレてないよね?







『うぅ、朧さん何してるんですか!早くしないと僕の紹介が始まっちゃいます!.....朧さん?』


辺りを見渡しても朧が居る気配は全くせず、聞こえてくるのは先生の話声だけ。


『あれ?もしかして僕、騙された?・・・うわー!?どうしよう、そろそろ先生が僕のこと紹介しちゃう!どうしよう!どうしよう!』

『おーい!入ってこい!』

『!!呼ばれちゃった...こ、こういうときこそ一旦落ち着こう、素数が一、素数が二、ふぅー、よし!』


間違った素数の数え方をして落ち着いた朱祢ちゃんは覚悟を決め自己紹介という名の戦に出向いていったのであった。


<ちなみに、自己紹介は先生が適当に済ましたそうです>

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