プロローグ
『憎い……』
草木も眠る丑三つ時、夜空には紅く不気味な月が村を徘徊する一人の女性を照らした。
『憎い……』
そう呟きながら村外れの湖へと歩みを進めていく。
水辺まで来ると女性は履き物を脱ぎその上に一枚の紙と簪を置き湖へと入っていった。
『憎い……』
最期までそう呟きながら。
『今から廃村へ行く!』
心霊研究部部長西沢 紅は帰りたいオーラ全開の部員に向けて高らかに言った。
『嫌だ』
『眠いです~』
『一人で行け……』
『バ~カ(笑)』
総勢5名の部員全員からのブーイング(明らかに一人だけ罵声だけど多分空耳だろう)を受ける紅
『な…、お前らそれが部長に対する態度か!!』
『こんな夜中に集められたら、そりゃこうなるわな』
そう言いながら紅の頭を叩き続けているのは、幼馴染みの由宮 春斗だ、幽霊には興味があり紅と二人で心霊研究部を作った。ちなみに『バ~カ(笑)』と言ったのは彼である
『こんな時間だから集めたんだ』
只今の時刻、午前1時30分
『いいか、幽霊は午前2時になったら活性化するのは知ってるよな?そして!幽霊がよく集まる場所は廃村だ!』
一目見たら一日中不愉快になる事まちがいなしのどや顔をする、すると。
『でも、どうやって廃村に行くんですか?』
どや顔を決めている紅に後輩の多々良縁が質問をする。
『いい質問だ多々良君、君たちは此処私立夢異高校校門前に何で来た?』
『自転車』
『自転車です』
『自転車よ……』
女性部員は自転車と答えた、しかし口を開けばガッカリ王子だけはいつもどうりだった。
『ナニっておまえ……、言わせんな恥ずかしい///』
何故頬を染める、正直キモイんだが……、まぁいい。
『そうだ! 自転車だ! そして廃村に向かう道中にも霊と遭遇するかもしれないだろ?』
『へぇー、西沢君にしてはいいアイデアじゃない』
『西沢君に【しては】が余分だぞ村沙純、まあいい、では諸君廃村へ、いざ行かん!』
『『『『おぉ~』』』』
こうして西沢紅の悪夢が始まるのだった。