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あの星空の下で  作者: 神城 奏翔
改正後
36/38

第9話 悪巧み……



「……で、ここはこの公式を使って――」

 会長からの呼び出しからは、普通に授業を受けたり、学食で昼食を食ったりして普通に過ごしていた。

 そして現在、俺は放課後直前の昼休みに飯を食って食欲が満たされ、あとは睡眠欲が……ってことでかなり眠たくなることで有名な六時間目の最中だ。

 しかも数学だし。

 別に数学が苦手ってわけではないんだけど、一番眠たい時間に数字みてたら眠たくなるんだよね。


 ……ついさっきまでスルーしてたけど、なんで入学式の二日後に普通に授業があんだよ。おかしいだろと、心の中で愚痴る。

 口にだして言っても、意味ないですからね。

 すでに決まっていることに文句を言っても意味ないし、どうにもならないことだ。

 だからと言って、諦められるほど人間上手いこと出来てませんけどね。



「はい、ではチャイムもなったことですし。今日はこのくらいにします。明日も数学はあるので、予習・復習はしておくように」

 数学担当の先生はそれだけ言い残して教室を去っていく。

「はぁ、やっと終わった~」

 途中、何度も船を漕いでいたが無事に寝ることなくすんだ。

 いつも寝ていたためか変なクセがついてしまっていて数学の時間だけずっと起きてるのがしんどいのだ。

「兄さん、大丈夫ですか? ずっとしんどそうでしたけど」

「あなたのことだから、寝ないでゲームでもしてたんじゃないの?」

「……ちげぇよ。ただ夢見が悪かっただけだ」

 普通に全然寝れなかっただけだしな。

 優奈からの言葉はいつも通りの気遣いの言葉で、理恵からの言葉もいつも通りすぎて逆に笑えてきた。

 こいつらって本当に予想通りの言葉しか送ってこないよなぁ。

「へぇ、まあそういうことにしてあげるわ」

「サンキュー」

 まぁ、俺が言った言葉は本当のことなんだけどな。

「…………」

 そんな感じで理恵と話していると、優奈が暗い表情で何か思い込んでいた。

「優奈、どうした?」

「い、いえ、何でもないです。ところで兄さん、球技大会何にでますか?」

「そうだな……」

 野球――いや、今さらだけどソフトボールだったかな?

 女子が入っても出来るようにソフトボールでやったはずだ。硬球を使う野球は部活だけだったかな。

 ま、それは別にいいとして。

 ソフトボールも面白そうだけど、バスケにしようかな。

 バスケって面白いし、球技の中で一番好きなのはバスケだし。

「……バスケかな」

「バスケットボールですか。なら私もそれにします」

「良いのか? そんな理由で決めて」

 なんか俺がバスケにするからバスケにしたみたいな感じでなんか嫌なんだが。

 優奈が決めたなら俺は何も言うつもりはないから良いけどさ。

「その他にも兄さんと一緒だと、簡単に球技大会で優勝できるっていう特典もありますしね」

 おいおい、そんな期待されてもな。俺、そんなに運動神経良くねぇし。

「それに個人的にバスケットボールは好きですし……」

 ――そういえばそうだったな。

 優奈って中学時代、女子バスケットボール部に入ってたことあったからうまいしな。

「そっか、なら良いか。理恵も一緒にバスケするか?」

「えっ、私も入っていいの? バスケットボールなんてあんまりやったことないんだけど」

「別にいいんじゃないか? こういうのは楽しめば良いんだからさ」

 俺がそういうと目の前にいる二人とも同時に笑う。

「なんで笑ってんだ?」

「ふふっ――。いえ、別に」

「ただそう言ってる割りには、顔に『絶対に勝ってやる』って出てるのよ」

 そうか……?

 試合や勝負ってなると絶対に勝ちたいしな。なんていうか負けず嫌いってやつなのかな。俺って。


ガラッ


「おーい、HR始めるから席につけ――!」

 優奈達と話をしているといきなり教室の扉が開き、先生が入ってきたので俺達は急いで席につく。

「……これで全員、揃ってるな」

 そして全員が席についたあと、人数を確認する。

「ええっと、今日でお前らが入学してから2日経ったことになるが、雰囲気が独特なこの学校には慣れたか?」

 この学校が独特なのは事実だが、教師である自分が言うなよ。

 それに学校よりも教師のアンタのほうが独特だよ。

「まあ、学校生活には徐々に慣れてくれれば良い。そして――」

 この言葉をきっかけに川村先生にしては珍しく真面目な話だった。

「で、これが最後の話となるが、部活動についてだ。明日一日使って部活動紹介をするから、興味がある部活を見つけたらできるだけ入って欲しい。これで俺からの報告は以上だ」

 部活動ね……。

 去年はあまり行けてなかったし、そろそろ行ったほうが良いかな。

「ああ、そうだ。最後に一つ。水無月兄は明日、7時に来て部室に来いだとよ。その代わり、朝のSHRにはこなくていいからな」

「……了解です」

 明日の朝、7時からかよ。

 なんか明日の出し物の打ち合わせでもするのか?

 明日の出し物っていうのは、翌日――部活動紹介というものがあるからだ。

 部活動紹介で何をするのかすら聞いていない俺は、ダメなんだろうな。


      ★彡



「そういえば兄さんが入ってる部活って何ですか?」

 学校からの帰り道、俺は優奈と一緒に帰っていた。

 一応、家が近いから理恵も誘ったのだが、『今日は他の友だちと遊ぶから一緒に帰れない。ごめん』と、言ってきたので俺達、兄妹だけで帰っているというわけだ。

「ん、俺か? 一応、放送部に入ってるけど」

「一応ですか?」

「おう、一応な」

 ちなみに俺が入ってる放送部の説明をすると、色々してるとしか言いようがない。

 現在では生徒会長をしているあの人が放送部の部長でもあるからな。

 あの人が関わると面倒なことになるから来てほしくなんだけど、生徒会の仕事をきちんと終わらせてから来るもんだから、『生徒会の仕事をまず終わらせろや』みたいな文句も言えないんだよな。

「それじゃあ私も放送部に入ろうかな。理恵さんも誘ってになりますけど」

「良いんじゃないか。他に入りたい部活がなかったらだけどな」

「なら、他に入りたい良い部活がなかったら放送部にいきますね」

「了解、あの人にも一応、言っておくよ」

 俺達はそんな話を楽しくしながら家に帰っていた。

 だが、この時間にもあの人の計画(悪巧み)が刻々と進んでいたことを俺は知る由もなかった。



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